Wovn Technologies

Wovn Technologies

スピーディーにMarketo Engageへのリプレースを完了し成果を上げる

企業のweb サイトやアプリを多言語化するソリューション「WOVN.io(ウォーブン・ドットアイオー)」および「WOVN.app(ウォーブン・ドットアップ)」の開発・運営を実施するWovn Technologies株式会社。最大43言語・76のロケール(言語と地域の組み合わせ)に対応し、海外戦略・在留外国人対応を進める上で、多言語化に必要なコスト、リソースを削減するツールとして支持を集め、「WOVN.io」は国内外の18,000サイト以上で活用されている。

同社では、さらなる市場拡大や業種業界によって多様化するニーズに対応すべく、2020年9月よりMarketo Engageを導入。その3カ月後に迫っていた自社大型イベントに備え、ほぼゼロの状態からデジタルマーケティングに着手。コロナ禍の中、オンラインイベントの成功を経て確実に成果を上げているという。

同社はいかにスピード感を持って、導入から具体的な施策の実践まで進めていったのか。同社マーケティング担当の香川亜友氏に話を聞いた。

自社に合わせた運用体制を構築すべくMAのリプレイスを実践

香川氏が同社に入社したのは19年2月のこと。その3カ月前より他社MA(マーケティングオートメーション)が導入されていたものの、「リード獲得は主にイベントや展示会の場で実践しており、MAは獲得したリードに対するメール配信ツールという位置付けで、MA活用のノウハウもリソースもまだまだといった状態でした」と香川氏は振り返る。

実は香川氏自身、前職では営業担当でMAは触ったことがある程度という状況の中、デジタルマーケティング担当にアサインされた。インサイドセールスチームとも連携し、手探りの状態でMAの活用をスタートさせるが、いくつかの壁にぶつかることとなる。

「例えば、リードをナーチャリングしていく上で、当社の営業、マーケティングのプロセスに合わせてステージを定義し、ファネルを構築しようとしてもその定義に制限があり、効果測定で必要なデータがすぐに取り出せませんでした。また、当社のブランディングのルールに合わせたLPを作成しようとするとコーディングが必要になるなど、機能性や拡張性の問題に頭を悩ますようになりました」

そこで、まずは運用体制から固めるべく、同社は20年7月にマーケティングを担う部署を発足。デジタルマーケティング、戦略企画(マーケティングストラテジー)、コンテンツプランニングといった役割ごとに担当者を配置し、併せてMAのリプレイスも進めていく。

最終的にMarketo Engageを選んだ決め手としては、「プロセスのステージを自社で定義でき、施策ごとに効果測定ができる自由度の高さや柔軟性に加え、導入時のコンサルティングでしっかりとナレッジを共有してくださる点も魅力でした」と香川氏。

最初のゴールは、3カ月後に控えている自社大型イベントへの備えに加え、その後、デジタル施策を進めていく上で必要な土台をすべて実装すること。週1回のコンサルティングを受けながら取り組みを進めていくことになる。

他社の取り組み事例を共有してもらい、実践レベルで導入を進行

まずは、これまで使用していたMAからのデータ移行から着手。保有リードはかなりの数があったものの、従来は営業担当がSalesforceにランダムにリードや商談オブジェクトを入力していたこともあり、データの重複や欠損が生じていたという。そこでデータを正値化した上でMarketo Engageに集約し、Salesforceと連携。

「データ入力はMarketo Engage用のフォームを自社ポータルサイトに作成し、Marketo Engageに一本化する体制にしたことで、データの正確性を担保することができました」

さらに、ウェビナーツールとして利用しているZoomとの連携により、自社ウェビナーの参加ステータスを自動連携させ、イベント終了後のフォローを管理するため、インサイドセールスにSalesforce 上でToDoを発行する仕組みも作り、イベントなどに関わる工数を削減。また、Slack連携によるインサイドセールスのリアルタイムフォロー、さらに企業データベースのFORCASと連携することでMarketo Engageに入ってきた新規リードの名寄せを行う仕組みも構築する。

同時に、ライフサイクルモデルの構築、スコアリング、タグ・チャネル・ステータスおよび各種レポートの設定を進行。ナーチャリングの仕組みとして「匿名→認識済み→MAL→MQL→SAL→アポ→商談→有望商談→受注」の流れを構築し、失注案件からの再育成にも着手していく。

「当初は用語や機能の名前一つ取っても、以前のMAとは違うこともあり、戸惑うことばかりでした」と香川氏。そこで大きな支えとなったのが、アドビのコンサルタントの存在だった。

「プログラムやフォルダの命名規則など、細かい点についてもベストプラクティスを共有していただけて、チャネルの設定で悩んでいるときには効果測定まで見据えた設定の仕方を教えてくださるなど、まさにかゆいところまで手が届くサポートで、何とか乗り切ることができました」

単純な機能の解説だけでなく、他社の取り組みの情報共有など、実践的なレクチャーを受けられたのも大きなポイントだったと振り返る。

また、自社内にスタジオを構築し、大型ライブイベントの前に自社ウェビナーをテスト形式で開催。「Marketo Engageを使ってイベントのLP作成から、集客メールの送信、参加者のフォローなど、トータルですべてテストできたことで本番にもトラブルなく臨むことができました」と香川氏。

参加者数として500人を目指していたが、実際には目標を超える申し込みがあり、KPIに掲げるリード獲得数にも大きく寄与することとなった。

イベント開催にかかる工数を約3分の1に削減

無事、懸案の自社大型イベントを成功させ、導入から半年超を経たところで、どのような成果に結び付いているのか。香川氏は大きく3つのポイントを挙げる。

第1のポイントが、リードの獲得から受注に至るまでのプロセス、リードの流出入の可視化だ。

「これまでは大量にリードを獲得しても、どこから流入し、どういう導線をたどってきたのかリードソースの情報が足りないまま、営業担当にパスしていました。その結果、部門ごとに温度感や認識の齟齬があり、受注にうまくつながらないという問題が発生していました」と香川氏。

インサイドセールスやフィールドセールスとも認識をすり合わせながら、ファネルの構築、定義を共有。リードの推移についても可視化することで、受注商談の勝因分析も実践。マーケティングのROI可視化も実現する。

それに関連し、2つ目のポイントが営業担当とのスムーズな連携だ。

これまで見逃していた失注案件についても、Salesforce上の商談ステータスの変更をMarketo Engageで察知することで、自動でToDoを発行。インサイドセールス、フィールドセールスで商談の振り返りを実施し、機を逸することなくナーチャリングアクションを取れるようになったという。

定量的成果としての3つ目のポイントは、イベント開催時の工数削減だ。

同社では、以前から週1回のペースでイベントを実施し、今も月に6~7回ほど自社ウェビナーを開催しているが、「イベントのLP作成からSalesforceとの連携、Thank youメール送信までにかかる時間を約3分の1に短縮できました」と香川氏。

また、外部イベントで獲得してくる大量のリードリストを、以前はSalesforceに直接インポートしており、ヒューマンエラーによるデータ欠損が発生していたが、Marketo Engageのデータ値の変更によりインポート作業時間を約2分の1に短縮。さらにリードがSalesforceに作成される際に、従来は手動で所有者を割り当てていたところを、ランダムサンプルによるアサインで全自動化も実現している。

運用マニュアルを作成し全社員で共有。社内の協力体制を構築

今後は定量的成果として、「マーケティングのKPIであるリード獲得数、MAL&MQLからのSAL数、コンバージョン率のアップ、インサイドセールスのKPIとしてアポ数などの向上も目指していきます」と語る。

そのための取り組みとして、今年1月から注力しているのが自社コンテンツの量産と細かいセグメントを意識したコンテンツの出し分けだ。コンテンツの作成については、香川氏を中心に流れや構成を考え、インサイドセールスチームからもフィードバックをもらいながらブラッシュアップを図っているという。

それに関連し、業種業界によって異なる訴求ポイントに合わせたメッセージの作成・最適化、広告も含めた業種業界ごとに打ち出す方向性の統一化にも力を入れている。

「これまでニーズの高かったインバウンド市場の縮小に伴い、グローバルサイトの多言語化によるブランディングや社内イントラネットでのトップのメッセージを母国語で明確にメッセージアウトしたいといった多様なご要望をいただくことが増えています」と香川氏。

Marketo Engageで作成したLPについても、同社ツールで多言語化できるため、海外展開する企業やグローバルで運用しているマーケターにも認知度をより上げていきたいという。

さらに、Marketo Engage による仕組み化ができたところで、MSC(Marketo Sales Connect)も活用。「MSCの活用でアポ獲得数が創業以来の最高値を達成するなど、インサイドセールスの成果アップにもつながりつつあります」と香川氏は語る。

こうした施策を進めていく上で、社内での協力体制の構築も欠かせない。自身が当初、MAのノウハウがない状況で苦労した経験を踏まえ、「運用マニュアルを作成し、社員全員が閲覧できるようにし、運用するためのテストも作成。そのテストに合格した人にアカウントを発行しています」と香川氏。定期的に開催しているMarketo Engageの勉強会は、希望すれば誰でも参加できるようにしているという。

マーケティング初心者であったにもかかわらず、導入5カ月目にはMarketo Engageの認定資格を取得するなど、Marketo Engageを高速でマスターしていった香川氏。同氏はその秘訣として、しっかりとゴールを決め、コンサルティングサービスの活用も受け身ではなく、やりたいことをいかに実現するかを見据えて、実践モードでトライしていくことが重要なのでは、と指摘する。

「まだ活用できていないMarketo Engageの機能についても理解を深め、施策に生かしていきたいですね」と、どん欲に語る香川氏。

同社が掲げるミッションである「世界中の人が、すべてのデータに、母国語でアクセスできるようにする」の実現に向けた、今後のチャレンジにも注目したい。

取材日:2021年3月26日

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