移動体にまつわる様々なセンサーデータを収集・解析するとともに、グローバルでオープンにつながるプラットフォームを提供することで、移動の進化を少しでも前に進められるようなMaaS事業を展開している株式会社スマートドライブ。「グローバルで最も利用される モビリティデータプラットフォームになる」をミッションに掲げ、法人向けクラウド車両管理サービス「SmartDrive Fleet」などを提供している。
そんなスマートドライブのMarketo Engage活用を牽引しているのがマーケティング/インサイドセールスの古賀 裕人氏だ。2019年4月にスマートドライブにジョインした古賀氏は、Marketo EngageとオプションのMarketo Sales Connect(以下、MSC)を駆使しながら、効果的かつ効率的なリード・マネジメントに取り組んでいる。同社の具体的な施策とその効果について、詳しく話を聞いた。
MAの拡張性の高さが施策の幅に直結
スマートドライブの創業は2013年。初期の4〜5年はプロダクトの研究開発に費やし、2〜3年前にビジネスチームが立ち上がった。当時は他社のマーケティングオートメーションを導入していたが、言葉の定義が曖昧で、データの整理も不十分だったために、特定のデータを取り出したくても、それで本当にあっているのかどうか、誰に聞いてもわからない状態だったという。
「データは資産。しっかりデータ管理をしていかないと、これからのビジネスの成長を妨げることになる」と考え、Marketo Engageへの乗り換えプロジェクトが立ち上がり、1ヶ月かからずに全ての移行を完了させた。
「僕自身、前職はCRMを提供している会社に勤めていましたが、リードジェネレーションからCSまで、必要なデータをワンプラットフォームで管理できるツールは、なかなかありません。Marketo Engageは拡張性も高く、Salesforceと組み合わせることで、データを一元管理できるところを評価しました」(古賀氏)
2019年6月から実際にMarketo Engageを初めて触ったという古賀氏だが、使いこなせるようになるまでに、さほど時間は要しなかった。今ではMarketo EngageとSalesforceの連携だけでなく、SlackやFORCAS、ベルフェイスとも連携しながら、インサイドセールスの業務効率の改善に役立てている。「こうしたエコシステムが整っている点もMarketo Engageの大きな魅力ですね」(古賀氏)
過去リードの掘り起こしで月間の送客数が大幅に向上
スマートドライブが提供している「SmartDrive Fleet」は、社用車のシガーソケットに「SmartDriveデバイス」を挿すだけで、走行データを集積してドライバーの安全と車両管理を効率化するイノベーティブなサービスだ。現時点では市場自体も発展途上であり、黙っていても潤沢なリードが入ってくる状態ではない。加えて、スマートドライブのお客様となるのは、社用車を保有している企業である。
つまり、1件1件のリードがとても貴重なのだ。
古賀氏はMarketo Engageを活用するメリットとして、「顧客のホットなモーメントを逃さない」点を挙げた。
スマートドライブのインサイドセールスは営業への送客をKPI に、その目標を達成できるように努力しているが、オンラインから流入する新規のリードだけでは目標を達成することは難しい。過去にコンタクトがあった既存リードの中から、お客様の興味・関心が高まった瞬間を捉え、継続的にうまく掘り起こしていくことが不可欠なのである。
Marketo Engageのエンゲージメントプログラムをベースに、一度問い合わせがあったものの、そのタイミングでは成約に至らなかった人を対象に、メールを中心としたナーチャリングを行なっているほか、お客様の興味・関心が高まったタイミングを検知して、インサイドセールスからアウトバウンド コールをかける取り組みも行なっている。
こうした施策を重ねた結果、Marketo Engage導入以前は達成できなかった目標送客数が、導入後は安定して目標を上回る送客を続けられるようになった。その内訳は新規で獲得した「新規リード」と、新規リードとして登録してから60日を経過した「過去リード」が約半数をしめる。これはMarketo Engageによるナーチャリングが有効に機能している結果だと、社内でも評価されているという。
データの鮮度が結果につながる
もう1つ、古賀氏はMarketo Engageを導入したメリットとして「データ・マネジメントがしやすい」点を挙げた。
どの企業でもよくある話だが、インサイドセールスからSQLとして営業へリードを送客しても、その後、営業のメンバーがデータを更新してくれなければ、商談化したのか否か、把握することが難しくなってしまう。
正しくリードを評価できなければ、次の施策に生かすこともできない。やみくもにリードの数を増やすのではなく、リードの質にこだわるためには、インサイドセールスと営業が密に連携を図り、適切なナーチャリングを行うことが大切だ。
そこでスマートドライブでは、送客してから数日間ステータス変更が行われていないリードがあれば、Marketo Engageで検出してSlackにアラートが飛ぶようにした。その情報をもとに、古賀氏が営業へ声かけを行うことで、データを常に最新の状態で保ち続けられるようにしたのだ。
加えて、Marketo EngageとSlackを連携することで、「デモページを見たけれど申し込みがなかった」「過去リードになっていた人がWebサイトを複数ページ閲覧した」といった顧客のアクションに応じて、インサイドセールスがすぐにコールをかけられるメリットもある。
このようなアウトバウンド コールのきっかけとして、スマートドライブがMarketo Engageに登録している"注目のアクション"は、常時5〜10個。実際に電話をかけているインサイドセールスの声を聞きながら、適宜変更しているという。
その他にも、初回訪問日の前日にSlackに該当案件の情報を飛ばすことで、インサイドセールスからフォローコールをかけたり、商談化してから90日間受注に至らないリードはインサイドセールスに戻したりするなど、営業とインサイドセールスとの連携強化にも活用している。
「データの鮮度が下がると、いくらデータがあっても生かすことができません。Marketo Engageのスコアリングも活用していますが、xx点以上になったからHOTリードと見なすということではなく、『スコアが少しでも動いたことを見つけ出すこと』が何よりも重要だと考えています」(古賀氏)
データを制するインサイドセールスが営業戦略の起点となる
2019年11月には、1,500人を動員した大規模カンファレンス『MOBILITY TRANSFORMATION -移動の進化への挑戦-』を成功させたスマートドライブ。同月にはタイとマレーシアにオフィスを開設し、海外展開の第一歩を踏み出している。
今後の展望をどのように描いているのだろうか。
「海外展開については、Marketo Engageを使ったリードナーチャリングなど、これまで日本でやってきたオペレーションをもとにローカライズしていくつもりです。
この先、お客様が増えれば増えるほど、データ・マネジメントの重要性は増していくと思うので、これからもMarketo Engageを軸としたデータの有効活用に力を入れていきたいと思っています」(古賀氏)
インサイドセールスの古賀氏がマーケティングと営業のハブとなり、俯瞰的にMarketo Engageを活用したデータ・マネジメントに取り組むことが、鮮度の高いデータの有効活用につながっていることがわかった。
取材日:2019年11月25日
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