さくらインターネット丨導入事例丨マーケティングオートメーション(MA)ならマルケト

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組織間のボトルネック解消で“未来の売上”を創造

業種:情報処理、インターネット関連、ソフトウェア
事業内容:国内の自社運営データセンターでレンタルサーバーや専用サーバー、VPS、クラウドなどのインターネットインフラサービスを提供
導入製品:マーケティングオートメーション
活用用途:リードナーチャリング、メールマーケティング、部門間・ツールの連携

インターネットの草創期である1996年に創業し、データセンターサービス、サーバーホスティングサービス、クラウドサービスなど幅広くコンピューティングリソースを提供するさくらインターネット株式会社。

老舗として業界をリードする取り組みで順調に事業を拡大してきた同社が、さらなる成長を目指し、新規顧客獲得をミッションとする戦略を推進している。

そのカギを握るテクノロジーとして、2018年11月、これまで使っていたMA(マーケティングオートメーション)からMarketo Engageにシフト。19年5月にはマーケティングとセールス機能を備えたインサイドセールス部門を発足させるなど組織変革も実践した。

組織として大きなチャレンジに取り組むに至った課題感やその取り組み内容、成果について、同社カスタマーリレーション本部 営業部 インサイドセールス マネージャーの石井 浩氏、Marketo Engageの運用を担当する難波 織絵氏に聞いた。

部門間の連携不足による見込み案件の逸失を解消したい

石井氏が同社に入社したのは12年のこと。その5年後の17年、マーケティング部に配属となる。

「当時は個人へのプロモーションや案件創出を担うマーケティング部、外勤営業であるフィールドと内勤営業であるインサイドの2つのチームに分かれた営業部が社内に存在していましたが、課題となっていたのがマーケティング部と営業部の連携不足による見込み案件の逸失でした」と石井氏は明かす。

平たく言えばマーケティング部が獲得・育成したリード、MQLへの対応が営業部では優先度が低く、1カ月以上、リードが放置されているような状況が続いていたという。

そこには、すでに導入済みだったMA自体の課題も影響していた。

「使うのは月1回、イベントや展示会後にお礼のメールを一斉配信するぐらい。社内の他のシステムとの連携もされていなかったため、新規と既存の顧客が混在するなどリードの精度が低いことも、営業の対応が遅れる原因となっていました」と石井氏。

18年より同社にMA担当者として入社した難波氏も、旧MAについて「ドキュメントの設定法なども手動で複雑な工数が必要で、ミスが起きやすいのも不安材料でした」と明かす。

また、改修したい場合でもツールの提供元との調整に時間がかかることも運用上のハードルになっていたという。

MA選択の決め手は多様なツール連携が可能な自由度の高さ

会社としてもMAの乗り換えは既定路線となっていたものの、移行には手間もコストもかかるため、だましだまし使うという状況が継続。そこで17年10月、MAの責任者となった石井氏がスピード感を持って移行を推進したそうだが、そこにはある危機感があった。新規ユーザー獲得の課題だ。

「当社商材の市場自体は、今後も成長が見込めるものの、競合他社や代替サービスも増加し、近年、新規ユーザー数の伸び率も低下傾向にありました」と石井氏。

このまま手をこまねいているだけでは、いずれ成長が鈍化することは必至。その状況を打破するには、どう動くべきか。

そこで石井氏が注目したのが、組織間のボトルネックだ。

「特にBtoBマーケティングにおいては、後に続く営業部との連携が欠かせません。まずはマーケティング部と営業部の連携不足を解消すべく、組織作りに取り組む必要があると考えました」と石井氏。

その活動の起点として、MAをいかに効果的に活用していくか。新たなMAの検討と組織作りを並行して実践していくことになる。

MAについては数社検討したものの、Marketo Engageに決めたのには大きく2つの理由があったという。その一つが多様なテクノロジーとの連携が可能な点だ。

同社ではセールステクノロジーとしてkintoneを活用しており、「新しいMA導入後も、営業部に負荷をかけないようkintoneをそのまま活用する予定でした。ただし、将来的にはSFAを変えることもあり得る。その点では多様なツールと連携可能なMarketo Engageの自由度の高さは魅力でした」(石井氏)。

実際の運用を担う難波氏は「Marketo Engageは、操作性についてもシンプルで自由度が高いのが魅力です。Webのログが取れるので、より質の高いリードを抽出して渡せることもメリットでした」と語る。

こうして新しいMAの検討、Marketo Engageの導入については、比較的スピーディに結論が出たものの、前提となる組織作りについては地道な作業を要することになる。

マーケティング・営業で共通のミッションを掲げる

「共通の問題意識として、今後の会社の売上成長の課題をデータで提示し、『MA導入により新規リードからの案件獲得=未来の売上を創造する』組織体制を作る必要性を、上層部に会議や雑談ベースでも折に触れて訴えました」(石井氏)

さらに、営業部にはMAの活用により新規顧客発掘や営業活動の効率化が実現し、案件化の確度もアップすることなどを話し、少しずつ理解を得ていく。

また、「部門間の連携がうまくいかないのは、それぞれ見据えているゴール、ミッションが異なる点にある」とし、まずは短期ミッションとして「マーケティング部と営業部で一体となってMAを活用し、新規訪問の成功例を作る」ことを掲げ、合意を得た。

「合意を得たことで営業部のインサイドセールスチーム1人を、協力者としてマーケティング部にアサインしてもらえたのも大きかったですね」と石井氏は振り返る。

デジタルの施策を進める際に「その成否のカギは人と組織にある」と石井氏。逆にどんな有益なツールも組織内での認知、部門間の連携整備なくしては効果を十分に発揮するのは難しいという。

実際の運用に関しても、社内のMarketo Engageへの理解や信頼、期待感を醸成する点に配慮した。

まず、石井氏、難波氏が取り組んだのが、以前のMAではできていなかった「月に2回、確実にメール配信すること」だった。基本中の基本のようだが、「引きがあるキャンペーンに合わせてMarketo Engageをローンチし、メール配信した1通目で、非常にいい反響が出ました」と石井氏。

狙い通りスタートダッシュを実現したことで関係者の期待感もグッと盛り上がり、難波氏も「メール配信して30分も経たないうちに配信レポートが出てきて、売上に貢献できたと実感できたのはうれしかったですね」と振り返る。

そこから結果を見ながら、スコアリングの設定などを進め、Webのログを受けてのプッシュ型のメール配信、連携するツールを活用したより精度の高いメール配信など、施策のバリエーションも増やし、現在では週1回の頻度で配信を行っている。

現在、導入しているツールはkintone、同社データベースに加え、名刺・リード管理を担うSansan、企業・市場情報調査に使うFORCAS、BIツールのTableau、名寄せ企業情報を付与するuSonarなど。

Marketo Engageを中心的なデータベースに置き、「FORCASの企業情報を付与し、業種業界に合わせたメールの出し分け、Sansanの名刺情報からイベント参加者限定のメール配信など、様々な方法を試し、改良・改善を重ねています」と石井氏は言う。


※MarkeZineDay資料から抜粋

難波氏は「設定してから、ターゲットを変えたいというときも、スピーディに変更作業ができるので、色々な施策を試せるのがいいですね」と指摘。メールの開封率など、必要な数字も即時で見える化されるため、次の施策に向けてのPDCAの高速化にもつながっているという。

リードへの対応日数が大幅短縮。案件化数は40倍に増加

導入、トライアルなどを経て本格運用をスタートして1年弱。すでに様々な成果が出始めている。

「最大の課題だったMQLへの対応完了までの日数が、平均して34.9日かかっていたのが4.8日に短縮し、対応完了率も76.3%と大幅に向上したのは評価し得る一歩と捉えています」と石井氏。

現在では1~2日で対応が完了するケースも増えており、結果、MQLからの案件化数は40倍に増加。メール配信のパフォーマンスも向上し、クリック率も6.8%向上。平均7.7%と大きく前進している。

さらに案件化については、数だけでなく質もアップしている。

「シンボリックな企業の案件も提供できるようになり、Marketo Engageでのリード獲得・育成を経たMQLを受け、営業活動を進めていくというフローが社内でも定着しつつあります」と難波氏は言う。

費用対効果の算出はこれからだというが、上期で獲得できた案件、進行中の案件から見ても、導入コストは十分ペイできていると石井氏は見る。


※MarkeZineDay資料より一部抜粋

One to Oneのコミュニケーション構築を目指す

「数字で見えないアナログなボトルネックを解消することが大前提」という石井氏の考えに基づく戦略が功を奏した結果だが、会社の将来を見据え「未来の売上を創造する」取り組みはまだ走り出したばかりだ。

今後の課題としては、「リードのセグメント、それに適したシナリオのカスタマイズを極めて、さらに精度を高めたいですね。ターゲットの絞り込みも細かく実践してピンポイントで単発メールを配信するなど、One to Oneに近い形でコミュニケーションを構築していくのが目標です」と難波氏。

石井氏は「Marketo Engageを起点に売上を作っていく仕組みはできたので、さらにビジネスをドライブさせていくような取り組みを会社全体に広げていきたいですね」と語る。

近々には新サービスのローンチに合わせ、「イチからシナリオの作成、プランニングを実施し、さらに高い成果を上げることが目下のミッションです」と意欲を見せる石井氏。「Marketo Engageは様々な施策ができるので、『あれもやりたい』『これも試してみたい』と常に頭の中で妄想を広げています」と笑顔で語る。

今回の取り組み、その実績が評価されて、石井氏はMarketo Champion 2019年度の「Marketing Leader of the Year」にも選出された。この受賞をバネに、どのような新しい施策を展開していくのか。ぜひ注目したい。

取材日:2019年8月29日

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