日商エレクトロニクス

日商エレクトロニクス

カスタマーサクセスも含めた包括的施策で「Microsoft Azure」導入・運用支援事業が急成長

業種
情報通信
業務内容
情報通信設備、IT基盤、クラウド導入など国内外の最新鋭ソリューション提供およびシステム構築、保守・運用・監視などのサービス提供
導入商品
Marketo Engage
活用用途
メールマーケティング、リードナーチャリング、ABM(アカウントベースドマーケティング)、カスタマーサクセス
導入製品
メールマーケティング

ハードウェアからクラウドへの商材変更で新たな施策に挑む

世界中から最先端のICT技術を発掘、提供する独自の製品選定力で支持を集めるシステムインテグレーターの日商エレクトロニクス株式会社。その経験値を生かし、近年ではマイクロソフト社と連携し、同社クラウドサービス「Microsoft Azure」の導入、運用、活用支援に注力している。

今回は2017年にスタートした「Microsoft Azure」関連事業拡大に向けた、同社のマーケティング施策にフォーカス。専任チームであるプラットフォーム本部 第三プラットフォーム部 MS(マイクロソフト)推進課の課長・近藤 智基氏と同課メンバー、藤村 智史氏、菊地 彩香氏に、具体的な施策内容およびカスタマーサクセスも含めた顧客とのエンゲージメントの取り組みについて聞いた。

同社がMarketo Engageを導入したのは14年11月のこと。その中心人物となったのが近藤氏と藤村氏だ。当時、米国から持ち込んだ仮想化基盤「Nutanix」の案件創出、売上拡大を推進すべく、Marketo Engageを駆使したマーケティング施策を展開。年間の商談創出金額30億円を達成するなど高い成果を上げ、「社長賞」を受賞するまでに至った。

「Microsoft Azure」でのマーケティング施策にも大きな期待を寄せられるが、ハードウェアとクラウドではターゲットとなる顧客も違えば、売り方も価格帯も異なる。「1つ目の課題となったのが、サブスクリプションへと課金システムが変わることでした」と近藤氏。売り切り商材のハードウェアに比べ、導入時の売上は桁違いに低くなる。商社として様々な商材を取り扱う特性上、アカウント営業など、社内でも単価の低い商材を提案することの納得感と理解を得るには時間がかかったという。

2つ目が外部への認知だ。ハードウェアでは一目置かれてきた同社だが、当時、クラウドの分野ではむしろ後発組だった。「日商エレクトロニクスがクラウド事業に注力しているという認知度をどう高めていくかは立ち上げ時の大きな課題でした」と菊地氏は振り返る。

菊地 彩香氏

3つ目として連携するマイクロソフト社に対して、いかにマーケティング施策で日商エレクトロニクスのプレゼンスを上げ、案件創出につなげるか。さらに、サブスクリプション商材では必須となるチャーンレート(中途解約率)低下の仕組み化も初めて直面する課題だった。

だが、チーム構成では「Nutanix」での成功体験が生きた。「前回の経験を踏まえ、確度高く営業に案件を渡すことをミッションに、デマンドジェネレーション(デマジェン)、インサイドセールス、マイクロソフト専門営業担当のハイタッチセールスを含めた専任チームを立ち上げました」と近藤氏。後にはカスタマーサクセスも加え、3人を含む8人で取り組みを進めていくこととなる(藤村氏は当初、他部署からデマジェンサポート。20年4月より専任担当者としてチームに参画)。

まずは専用サイトを設置し、既存のリードを整理。「お客様とのタッチポイントとなる場を作り、Nutanixのマーケティング施策で集めたリードの中から、クラウドサービスと親和性が高そうなリードを整理しました」(藤村氏)。

藤村 智史氏

そこからMarketo Engageを活用しメルマガ、ステップメールなどのコンテンツ配信を進めていくが、発信法にも同社ならではのひと工夫を加えていく。

オリジナルの概算見積もりツールの提供で確度の高いリードを集める

1つ目がリードに対する細かいセグメントの設定だ。「Microsoft Azureはサービス内容が非常に幅広く、お客様によっても使用目的が細かく分かれるのが特徴です」と菊地氏。ナーチャリングによるMQL、SQLの遷移に際しても、目的別に加え、さらに温度感からCOLD とHOTに分けて閾値を設定。COLDには広くクラウドの利便性を解説する記事、HOTには導入ハードルを取り除く内容など、コンテンツの細かい出し分けを実践していく。

2つ目としてABMスタイルでベンダーからの案件紹介にフォーカスしたマーケティング施策も展開。「メルマガや勉強会の案内など、営業ツールになりそうなコンテンツを工夫し、積極的に営業活動を行っている企業だと認知してもらい、ベンダーの営業担当者からのお客様紹介を狙う戦略も推進していきました」(近藤氏)。

近藤 智基氏

3つ目がキラーコンテンツの工夫だ。その一つが同社オリジナルの「VDI(デスクトップ仮想化)価格シミュレーション」。Microsoft Azureの中でも、同社が支援実績を誇るVDIについて、約1分で概算見積もりができるオリジナルの計算ツールを作成。同ツールの利用の際には名前、メールアドレスなどの個人情報を入力する必要があるため、確度の高いリード獲得施策として成果を上げていく。

4つ目としては問い合わせや概算見積もりを利用した潜在顧客に対し、個人の名前で出すフォローメール送信を自動化。タイミングを合わせたメール送信により、何らかの動きがあった場合、Marketo Engageと連携しているSalesforceにアラートが上がる仕組みを構築。それをトリガーにインサイドセールスによる架電、ハイタッチセールスによる訪問や電話によって案件の確度を上げていくプロセスを地道に実践していく。

「Nutanix での経験を踏まえ、100%近く受注できるレベルにまで案件に対応し、担当アカウントに対して様々な商材を提案するフィールドの営業に顧客情報を共有することにこだわりました」(近藤氏)。こうして営業担当者のマーケティング施策への理解やモチベーションアップにもつなげていく。

さらに、今回、新たなチャレンジとして注力しているのがカスタマーサクセスへの取り組みだ。サブスクリプションサービスゆえにLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)向上には中途解約率(チャーンレート)低減の施策は欠かせないが、同社では一風変わった施策を展開している。

その一つがいわば"損して得する"作戦。「従量課金制のMicrosoft Azureは利用法によっては利用金額が想定外にはねることがあり、それを理由に解約してしまうリスクがあります」と近藤氏。

そこで、サポート状況や利用金額を恒常的にウォッチし、設定した閾値に達したら社内アラートを上げ、カスタマーサクセス担当が直接対応するなどの仕組みを構築する。

売上に対するKPIを持たないカスタマーサクセス担当が中立的な立場で、金額負担を抑えるような提案をすることで、顧客との長期的な関係構築につなげている。

また、変化球的な"つなぎ止め"作戦としては、メルマガでMicrosoft Azureの解約方法を解説するコンテンツを発信。同コンテンツをクリックするなどの反応が出たら、社内アラートを発信し、カスタマーサクセス担当がコミュニケーションを図るような施策も実践している。顧客サイドに立ったカスタマーサクセスの活動により、解約を検討していた顧客が思いとどまるような成果も出てきている。

デマジェンからカスタマーサクセスに至る多種多様な施策により約3年弱で事業は大きく拡大。17年度 を100%に18年度は 198%、19年度 824% 、20年度 は12月末時点で1158%と急成長を遂げている。 

チーム全員が顧客と接点を持ち、カスタマージャーニー構築、価値提供に生かす

3人は成功の秘訣について、次のようなポイントを挙げる。

1つ目が徹底したプロセス管理だ。リード獲得からクロージングまで、顧客対応のプロセスをしっかり定め、各段階で漏れがないよう最終責任を負うメンバーを設置。KPIとして自身の担当だけでなく、後に続くハイタッチセールスや営業のKPIもしっかり意識するようにしているという。

2つ目は、顧客との密なコミュニケーションだ。チーム全メンバーが、インサイドセールス、カスタマーサクセス活動などを通じ、直接、顧客と対話する機会を持ち、接点をもとにしたカスタマージャーニーの構築、価値の提供を共通認識としている。

3つ目がデジタルを活用し、数多くの施策を効率的に実践している点だ。SalesforceとMarketo EngageのデータをCDataでつなぎ、Power BIで可視化。アラートにSalesforceで飛ばすなどシステム構築も、日々、改善を加えている。「中途解約率低減についても、サポートチケットに関するデータをMarketo Engageとつなぎ、スコアリングできないか考案中です」と近藤氏。

システム連携図(クリックで拡大表示)

さらに、「営業との連携を深め、アップセル、クロスセルまで実現するカスタマーサクセスの仕組みを構築していきたい」(菊地氏)、「Microsoft Azureでの経験値を横展開し、会社としての売上増につなげていきたい」(藤村氏)と、モチベーション高く今後の展望を語る。

新たに加わった成功体験を起点に、次はいかなる施策を繰り出すのか。今後のチャレンジにも期待したい。

近藤 智基氏・菊地 彩香氏・藤村 智史氏

2020年12月16日現在

<日商エレクトロニクス>売上にコミットし、逆算して商談化数やリード獲得数をブレイクダウンする視点が大事です。2017年の導入事例はこちら

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