丸紅株式会社丨導入事例丨マーケティングオートメーション(MA)ならマルケト

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10年後に向けて変わり始めた丸紅

社是「正・新・和」の精神に則り、1858年の創業以来積み上げてきた基礎機能と知見・ノウハウなどの強みを、地域や産業を超えて発揮することで、新たな価値を創造している丸紅株式会社。昨年には丸紅グループの在り姿として「Global crossvalue platform」を定め、事業間、社内外、国境、あらゆる壁を突き破るタテの進化とヨコの拡張により、社会とあらゆる人々に向けてソリューションを創出する、価値創造企業グループへと進化を始めている。

その一環として、丸紅では「Marketo Engage」とともに、グループを横断したデジタルマーケティングの取り組みをスタートさせた。丸紅が目指す未来について、デジタル・イノベーション室長(兼)イノベーション課長 上杉 理夫氏、同副室長(兼)データアナリティクス課長 大倉 耕之介氏、デジタル・イノベーション室 データアナリティクス課 石原 有紗氏に話を聞いた。

10年後に向けて変わり始めた丸紅

丸紅では、次世代に成長するビジネス領域を開拓するために、2019年4月に約100名体制の次世代事業開発本部を新設した。その中には成長テーマごとに「アジア事業部」「次世代社会基盤事業部」「ヘルスケア・メディカル事業部」「新事業開発部」の4つの営業機能を有する事業部に加え、事業を横断して営業部を支えるコーポレート機能として「デジタル・イノベーション室」が設けられている。

デジタル・イノベーション室では、先端かつ重要なデジタル技術の組織横断的な専門集団(CoE)として、会社の変革と新規ビジネスに貢献する、というデジタル戦略を掲げており、「AIアルゴリズム」「デジタルマーケティング」「ブロックチェーンほか」の3つの重点分野を定めている。そのうち前者の共通基盤を構築し、丸紅グループのマーケティングの高度化を推進する、デジタルマーケティングの強化に向けて導入されたのがMarketo Engageだった。

「丸紅グループのCoEとして、グループ内で保有するデータを一元的に収集・蓄積し、ノウハウの掛け合わせや外部データと連携する基盤を整えることでデジタルマーケティングを通じて、具体的な売上増加や事業創出につなげていくことが、我々のミッションです。個別のビジネスを"縦"とするならば、我々CS(コーポレートスタッフ)は"横"。デジタルマーケティングを通じて、グループ全体の連携を強化することで、新しい価値を生み出していくことが狙いです」(上杉氏)

160年以上の歴史を持つ総合商社であり、2018年度は2期連続の最高益達成に向けて順調に推移している丸紅であって、なぜ今このような改革が行われているのだろうか。その理由について、上杉氏は次のように述べる。

「これまでのビジネスは安定している一方で、今後の成長率が高いかと言われれば、一概にそうとは言い切れません。デジタルトランスフォーメーションが既存事業をどんどん飲み込んでいく昨今、従来のやり方で続けていくだけで本当に良いのだろうか、という危機感は少なからずありました。我々が今後さらに成長して生き残っていくためには、明日の儲けを追うだけでなく、10年後に大きく成長できる領域を今から開拓しておかなければならないと考えています」。

丸紅がMarketo Engageを選んだ理由

丸紅がMarketo Engageを選んだ理由

多くの企業がデータ分析によって営業やマーケティングを高度化させている中、丸紅でもデータ活用を進めることが急務であると認識されており、デジタル・イノベーション室の前身となるIoT・ビッグデータ戦略室が組成された。

言わずもがな、総合商社である丸紅には、多くのデータがあるはずだ。しかし、個人情報保護の観点からデータ活用に積極的ではなかった歴史があり、多くのデータが未整備の状態だった。「データを活用したこともなければ、積極的にデータを取得しようという意識もなく、どこから手をつけて良いのかさえわからない、手探りの状態からスタートしました」と大倉氏は振り返る。

そのような中で様々な実証実験を重ねた結果、デジタルマーケティングの基盤に求める次の3つの要件を導き出した。

  1. ライトスタート...各事業会社のデータを収集・分析・実行できる環境をデジタル・イノベーション室で一括に整備することで、各事業会社がライトに始められるものであること。
  2. 掛け合わせ効果...各社が個別にデータ活用を行うのではなく、ノウハウの共有や高度化を図ることで、全体的なメリットを出せるものであること。
  3. コストメリット...基盤を集約することで、コスト負担を大幅に減らせるものであること。

これらの要件を満たすものとして、「顧客管理データベース」「顧客データを収集できるような仕組み」「収集したデータを分析できる仕組み」がそろったMAを導入することが決まった。

複数のMAを比較していく中で、最も重視したポイントは、ユースケースの紹介や個別事例に基づく提案力のある"充実したサポート"を期待できる点だった。「我々の要件は特殊。各事業会社がひとつのプラットフォームを使って、継続的に有効な施策を行っていく基盤にするには、難しすぎず、サポートが充実していることが必須でした。その中でMarketo Engageの営業さんは、圧倒的に提案力が良かった。我々の状況を細かく聞いて、我々のペインポイントを把握した上で、最適な改善策を提案してくれました」と大倉氏は語る。

グループ会社を横断したMarketo Engageの導入ステップ

グループ会社を横断したMarketo Engageの導入ステップ

国内外で数多くのグループ会社を抱える丸紅では、今回のデジタルマーケティングの取り組みのように、グループ各社に対して具体的なプロセスやアプローチ方法などをシェアする文化はなかったと言う。

加えて、それぞれビジネス領域が異なる中で、MAに対する評価や期待値は違って当然のこと。BtoBの事業が多く、営業が強い文化が根付いていた丸紅では、BtoCのデジタルマーケティングに予算を割くことに対して、賛否両論が渦巻くことは、想定の範囲内だった。「だからこそ、MAの選定時から関係者全員に集まってもらい、ベンダーのみなさんのプレゼンを聞いてもらいました。その辺りのコントロールには気を遣いました」(大倉氏)

こうしてMarketo Engageの導入に至った丸紅では、まずはBtoCの3つの事業会社(丸紅新電力 株式会社、京都丸紅 株式会社、株式会社 丸紅フットウェア)で活用をスタートさせた。この3社を選んだ理由について、「声をかけた中で、最もシンパシーを持ってくれたからです。自分たちでもデータ活用をやらなければならないという気概があって、興味を示してくれました」と大倉氏は語る。

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Marketo Engageの活用を各社に進めてもらう上で、石原氏は次の4つのステップに分けて取り組みを進めていった。

STEP① MAにより解決を図る課題・目的の設定(3ヶ月〜)

  1. 中長期的戦略との生合成の整理
  2. 経営資源の確保
  3. 既存施策との位置付けの整理
  4. MAの活用範囲の定義
  5. 適切な評価指標の設定・成功の定義
  6. 法務面の整備

STEP② MA導入準備(1ヶ月〜)

  1. ツール活用人材の育成
  2. 技術的セットアップの準備
  3. ガバナンスの設計

STEP③ MAによる施策の試行(2ヶ月〜)

  1. 施策の試行
  2. 効果の検証と改善

STEP④ MAの運用(2ヶ月〜)

  1. 継続的な施策の実行
  2. マルチチャネルでの展開
  3. パーソナライズ

Marketo Engageの導入から約1年が経った今、3社のステータスはSTEP③であると所感を述べた石原氏は、導入を進める中で苦労した点について、次のように語る。

「ほとんどデータが未整備だったり、一元管理されていなかったりしたので、プライバシーポリシーを定めてデータを整備するところから始めなければならないのが大変でした。また、STEP①『中長期的戦略との整合性の整理』と『経営資源の確保』については、社外の私の立場で助言できることではないので、そこを進める難しさはありましたね」。

MAではいろいろなことができるがゆえに、どこから手をつけてどこを目指すべきか、KPIや評価指標を何に定めるか、といった成功の定義についてコンセンサスを取ることは、どんな企業でも最初にぶつかる壁になりやすい。ましてや別法人に入り込んで、目線の異なる現場の担当者や上長と認識を擦り合わせていくのは、相当なハードルがあったことは容易に想像ができる。

そんな困難な局面を打破するために、Marketo Engageのコンサルタントとともにカスタマージャーニーを策定したことは非常に有効だった、と石原氏は振り返る。「お客様がそれぞれのステージで何を求めているのか。これまであまり意識できていなかった顧客視点に基づいて課題を整理し直すことは、大切なプロセスだったと思います」。

これに対し、上杉氏は「デジタルマーケティングは丸紅全体の意識改革を牽引するものだ」とした上で、「これまで丸紅はデマンドプルの思考が強く、顧客目線が欠けていました。その点、デジタルマーケティングは顧客を意識しやすく、その重要性が伝わりやすい。Marketo Engageの活用を通じて、丸紅の共通の価値観や文化を変えていきたいと思っています」と語る。

Marketo Engageとともに描く、新しい未来の商社像

Marketo Engageとともに描く、新しい未来の商社像

デジタルマーケティングに馴染みの薄い人たちにとって、MAに出てくるカタカナだらけの用語をひとつひとつ理解するのは、至難の技である。しかし、同じグループ会社が初めて取り組んでいると聞けば、親近感を持って、興味を示してくれやすい、と石原氏は語る。

「できるだけカタカナを使わずに、『今やっている交渉を助けるものなんです』と敷居を下げるところに注力しました。どこからスタートしたのか、どうやって最初のハードルを乗り越えたのか、みなさん気にはなっているんですよね。それを分科会や勉強会で丁寧にシェアしていくと『そんなに難しそうじゃないね』『自分たちにもできるのではないか』という声に変わってきています。最近、社内でMAの説明会を開いたら、1年前には想像もつかなかったほど多くの方が参加してくれて、手応えを感じているところです」。

この流れを加速させるためには、トライ&エラーを重ねて、小さな成功体験を積み上げていくことが大切だ。美辞麗句を連ねて説得を重ねるよりも、一歩を踏み出す後押しによってリアルな体験をしてもらうことで、「なんでこんな結果になったのか」「次はこんなことをしてみたい」といった疑問や発見が湧き出てくるのだと石原氏は話す。

「Marketo Engageで会員登録フォームを作って、店舗でポップを出して告知をしたら、3ヶ月で2,000人の会員が集まりました。するとワクワクが伝染して、店舗同士で競い始めたんです。こうやって背中を押してあげることが、私たちがやるべきこと。マーケティングはこれまでの商社にはなかった機能ですが、いずれは『丸紅といえばマーケティングもあるよね』と言われるようになりたいですね」(石原氏)

これに対し大倉氏は、次のように語る。「僕らが今やっているのは、横への展開です。これまでまったく交流のなかった事業会社同士が、互いのノウハウから学び合って、一緒に良くなっていける、非常に良い取り組みだと思っています。今は少しずつ兆しが見え始めたところですが、Marketo Engageを使うことで売上につながったというところをはっきりと見せられれば、きっともっと広がっていくと思うので、結果を出すところに注力していきたい」。

10年後の未来に向かって、確実に一歩を踏み出している丸紅。最後に、上杉氏が思い描く、未来について聞いた。

「僕らが取り組むデジタルとイノベーションによって目指す先は、今ある総合商社の枠から飛び出すことです。『丸紅と一緒にやれば楽しい』『丸紅は未知の世界を見せてくれる』と思ってもらえるようになりたい。そこにたどり着くには、いきなりジャンプはできなくて、一歩一歩の積み重ねしかないと思っているので、僕らの新しい価値提供につなげられるよう、着実に進んでいきたいです」(上杉氏)

取材日:2019年7月22日

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