会員の転職活動を活性化し、スカウトメールの返信者数を6倍にも増加させたビズリーチのBtoCマーケティングへの挑戦

近年の人材獲得競争の激化を受け、企業が主体的に求める人材にアプローチをする「ダイレクト・リクルーティング」が、日本の採用市場でも浸透しつつあります。

そのプラットフォームとして、国内最大級転職サイト「ビズリーチ」を運営するのが株式会社ビズリーチ。同サイトのほか、若手社員のためのレコメンド型転職サイト、AI技術を活用した戦略人事クラウドサービスなど事業領域を拡大し、HRテクノロジー企業のパイオニアとして急成長を遂げています。

こうしたマッチングサイトのマーケティング施策においては、企業(BtoB)、求職者である会員(BtoC)両者の実態、ニーズをいかにくみ取り、成約へとつなげていくかが重要なポイントの一つとなります。今回は、2016年に同社が実施した、BtoCマーケティングへのMarketo導入・活用の経緯について、同社プロダクトマネージャーの冨里 晋平氏にお話を伺いました。

BtoBのフローがBtoCでは通用しないことが判明。そこで......

現在、冨里氏が担当しているのは、BtoCのプロダクトマネジメントおよび既存の会員向けのマーケティング。以前、担当していたBtoBマーケティングでのMarketo活用で成果を挙げ、16年4月より現職へ。そのモデルやノウハウをBtoCの施策においても活かせるのではないかという考えから、取り組みがスタートしました。

当初、冨里氏率いるチームが想定していたのは、BtoBで実践していたように、見込み客を見つけ(リードジェネレーション)、育成し(ナーチャリング)、商談、契約に至るいわゆるファネルのフローをBtoCにも適用するというもの。

つまり、Marketoによる会員のWebアクセスデータを元にスコアリングし、「登録→レジュメ更新→スカウト受信・返信→面談→内定」と、次のステージへの遷移を促すスタイルを考えていました。

ところが、「実際にテストをしてみると、想定通りにはいきませんでした」と明かす冨里氏。それはなぜだったのでしょうか。BtoBの場合、Webアクセスやメール開封・クリック率など限定された情報を元に、大量のリードに優先順位をつけ、有望な顧客を絞り込んでいくファネルが有効に働きます。

しかしBtoCの場合、登録から転職成功に至るまでの道筋、行動パターンは会員によってさまざま。たとえば、面接でNGとなり、他社のスカウトへの返信に戻るパターンもあれば、獲得した内定を辞退し、イチから転職活動を始めるようなことも。活動がアクティブになる時期も、人によってズレが生じる傾向が見られます。

つまり、行動パターンが多岐に渡るため、一つのファネルにまとめるのも難しく、意味を持たないことが判明したのです。

さらに、そもそもビズリーチにはWebアクセス以上の詳細に渡る膨大な行動データの蓄積がありました。ならば、こうした情報、つまりレジュメの内容や更新数、スカウト受信・開封・返信数、スカウト辞退数といったデータを活かさない手はない。そこで、解決策として自社データとMarketoを連携。ステージではなく、行動データでリードを細かくセグメントし、分析を加えていきます。

細かいセグメント別のメール施策により開封率が5倍に!

ここで冨里氏が注目したのは、アクティブに活動しているのに、「企業によるレジュメ検索数・閲覧数が少ない」「企業から送られてくるスカウトメールの受信数が少ない」という会員層でした。最終フェーズとなる転職成功へつなげるには、まずはこうした会員が抱える問題を解決する必要があると判断したのです。

そこで、Marketoのセグメント機能により、「直近1ヵ月で1回以上ログインをしている」が、「直近1ヵ月以内のスカウト受信数が8通未満」という条件で、対象会員を抽出。さらに細かいセグメント別にレジュメ更新・改善のメール施策に着手します。

この戦略で効果を最大限に挙げるべく、こだわったのが個別化を徹底することでした。

「Marketoは個別化機能が豊富に揃い、カスタマイズの自由度も高いと感じます。会員様の属性、行動データごとにセグメントした上で、スカウト受信数、レジュメ閲覧数を示すグラフの作成、業界・職種ごとに検索数を上げるためのキーワードの提案、送信メールのパターン分けなど、自動化・省力化をスムーズにできたのは大きかったですね。」(冨里氏)

さらに、Marketoのレポートにより、メールの6割超がスマホで送受信されていることがわかると、レジュメ更新ページの新設やスカウト編集の操作性アップなど、スマホサイトのUIも改善。企業側のプロダクトを作成しているメンバーとも協力し、企業が検索を実施する際に、レジュメ更新者を優先する仕組みも整備します。

こうしたメール施策と、プロダクト改善を並行して推進することで、通常のメルマガと比較し、会員のメール開封率は5.2倍に増加。レジュメ更新者数は7.3倍、スカウト受信数は3.9倍となり、スカウト返信者数も5.7倍に増加します。

背骨(Marketo)への肉付け(組織の融合)も成功の決め手に

さらに、今回の施策のもう一つの成功の決め手として、社内外の協力体制をしっかりと築いたことが挙げられます。

「リーダーである自分が着地点となる大きな絵を描いた上で、プロダクトを担当するエンジニアやデザイナーと共有しました。ああでもない、こうでもないと議論を重ねましたね。Marketoの担当コンサルタントの方からも、さまざまな助言をいただき、ユーザー会やクリニックなどのコミュニティで、さまざまな他社事例を吸収できたのも心強かったですね。」(冨里氏)

「マーケティング施策を打っていく上で、Marketoはいわばコアとなる背骨のようなもの」。冨里氏はこう話します。

主軸をしっかりと据えた上で、有機的に動かしていくには、周りの肉(組織)をいかに融合していくかもポイント。そのためには、仲間をつくる。上司を巻き込み、オープンな社内風土をつくる。こうしたソフト面での取り組みも肝要だといいます。

今後も、「会員様が主体的にキャリアを形成できるよう、業種や職種といった多様な属性も加味した、さらに精緻なone to oneマーケティングに近づけていきたい」と語る冨里氏。Marketoを活用したマーケティング施策の進化により、日本企業の採用変革の加速化も期待できそうです。

ビズリーチ 冨里様の「Tomorrow's Marketer」これからのマーケターについてのブログもぜひご覧ください。

関連記事一覧

関連製品

デモ動画を見る