マーケティングオートメーション

カスタマーサクセスとは?営業との違いや連携時のポイント

2022-03-30

近年、SaaS業界やソフトウェア業界を中心に導入する企業が増え、注目を集めるカスタマーサクセス。市場のコモディティ化やグローバル化により競争が高まる中、継続的に自社の製品やサービスを使い続けてもらうための手法として需要が増加しています。
ここでは、カスタマーサクセスの概要のほか、営業との違いや連携する際のポイントを解説します。

目次

カスタマーサクセスとは、企業が顧客を成功に導くための行為

カスタマーサクセスは、企業が顧客を成功に導くための行為を指します。顧客は、「生活を豊かにしたい」「もっとスムーズに仕事がしたい」といった、さまざまな期待を持って製品やサービスを購入します。カスタマーサクセスは、顧客の問題を解決したり製品の利用方法を提案したりすることで、顧客を成功に導くのです。

カスタマーサクセスを行うと、顧客は企業への信頼を高め、製品やサービスに愛着を持って長く使い続けてくれるようになります。さらに、企業が提供するそのほかのサービスに興味を持ったり、良い口コミを拡散したりといった行動によって、収益拡大やブランド構築に結びつく可能性も高まります。
顧客の満足度と企業の成長が直結する、Win‐Winな関係の構築がカスタマーサクセスの目的であるといえるでしょう。

カスタマーサクセスの需要が増加した理由

カスタマーサクセスの需要が増加した背景には、大きく2つの理由があります。

サブスクリプション型サービスの拡大

カスタマーサクセスの需要が増加した理由のひとつは、サブスクリプション型サービスの台頭です。

サブスクリプション型サービスは、ストック型、フロー型とも呼ばれ、製品やサービスを利用した期間や量に対して一定の対価を回収します。売り切り型のビジネスモデルが単発的な売上であるのに対し、サブスクリプション型は継続的な売上が見込めることから、動画や音楽の配信サービスに代表されるデジタル領域、さらには洋服や車のレンタルといった非デジタル領域でも加速度的に普及しました。
中でも、ソフトウェアやサーバーを持たず、インターネット経由で外部サーバーに接続して利用するクラウドサービスとは相性が良く、ビジネス用途のwebサービスの多くがサブスクリプション型サービスへと移行しています。

初期費用と月間利用料を抑え、継続利用による収益獲得を前提としているサブスクリプション型サービスにおいては、「解約率をどれだけ低減できるか」が非常に重要です。そこで、顧客の不満や要望を先回りして解決し、顧客を成功に導くカスタマーサクセスが重視されるようになりました。
形ある物の購入にお金を使う「モノ消費」から、経験や体験にお金をかける「コト消費」へと消費トレンドが移行しつつある今、既存顧客との中長期的なエンゲージメントを実現するカスタマーサクセスが果たす役割は大きく、サブスクリプション型サービス以外のビジネスモデルでも取り入れる企業が増えてきています。

製品のコモディティ化やグローバル化

カスタマーサクセスの需要が増加したもうひとつの理由は、製品のコモディティ化やグローバル化です。

市場の多くが成熟し、費用や機能での差別化が難しくなった結果、顧客は少しでも不満があればすぐに他社製品、他社サービスへ乗り換えるようになりました。そこで、「信頼」や「愛着」といった付加価値を生み出し、顧客のリピート率を高めるカスタマーサクセスの需要が増加したのです。
さらに、カスタマーサクセスにより顧客エンゲージメントが高まれば、製品に不満を感じた場合も企業にフィードバックしてくれます。顧客に愛される製品を生み出すためにも、カスタマーサクセスは重要な役割を果たしています。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサクセスとよく似た言葉に、カスタマーサポートがあります。この2つの大きな違いは、顧客との接点の持ち方や、指標の設定方法です。カスタマーサクセスとカスタマーサポートについて、簡単に比較してみましょう。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスは、製品やサービスに対する顧客の課題や悩みを能動的なアプローチで解消し、顧客を成功に導く役割を果たします。

カスタマーサポート

顧客の悩みや課題が明確になった段階で、適切な回答やアドバイスをして問題の解決につなげます。
このように、カスタマーサポートよりカスタマーサクセスのほうが顧客視点に近く、より能動的な関係づくりを目指すものであるといえます。

カスタマーサクセスと営業の違い

続いては、カスタマーサクセスと営業の違いについて見ていきましょう。
企業は、経営を維持するために利益を生み出さなくてはなりません。営業もカスタマーサクセスも、「自社の利益につなげること」が最終目的であることは共通しています。違うのは、目的達成に向けて担当する領域です。
営業は契約前の顧客とやりとりし、新規契約の獲得を担当するのに対して、カスタマーサクセスは契約後の顧客とやりとりし、解約率の低減やアップセル、クロスセルを担当します。

営業の役割

営業は、契約前の顧客とやりとりし、新規契約の獲得を担当します。営業の業務は、インサイドセールスとフィールドセールスに分けられます。インサイドセールスとフィールドセールスを分業制とし、別のスタッフが担当している企業も多いでしょう。

インサイドセールスは、マーケティング部門が獲得したリードを主にオンラインでナーチャリングし、場合によってはクロージングまで行います。一方のフィールドセールスは、インサイドセールスがナーチャリングしたホットリードに対して、対面で商談を行って契約を獲得します。
いわゆる、「営業力」には個人差があるため、同じような営業活動をしているからといって全員が同じ成果を出せるとは限りません。

カスタマーサクセスの役割

カスタマーサクセスは、営業が成約した後の顧客との関係づくりを担当します。顧客が製品やサービスの活用を通じて、生産性向上や売上向上といった成功体験を得られるよう支援します。

購入した製品やサービスに顧客が感じるであろう課題や要望を先回りして解決し、満足度を高めることによって解約率を低減させたり、アップセルやクロスセルを行ったりして収益に貢献します。

カスタマーサクセスの場合、やりとりの相手は契約済みの既存顧客なので、コミュニケーションは新規開拓ほど難しくありません。そのため、営業部門に比べて、担当者ごとの成果に差が出にくいといわれています。
企業によっては、契約前に介入し、製品やサービスを使ってできることとできないことを説明するなど、期待値を調整する役割を担うこともあります。

カスタマーサクセスを成功させるためのポイント

闇雲にカスタマーサクセスを導入するだけでは、成功につなげることはできません。ここからは、カスタマーサクセスを導入する前に意識したい、6つのポイントについて解説します。

1 カスタマーサクセス設置の目的を明確にし、社内で共有する

カスタマーサクセスがうまく機能しない一因として、社内の認識のずれが挙げられます。経営層がカスタマーサクセスの立ち上げを計画した場合は、その意図と役割をしっかり現場に伝えましょう。
反対に、現場が必要性を感じている場合は、現場の課題感を上層部に伝えて、「何のために導入するのか」というコンセンサスをとることが大切です。

2 役割を細分化し、適切に人員を配置する

カスタマーサクセスの役割は、ほかの職種とは異なります。「契約をとった営業がそのままカスタマーサクセスも担えば効率的なのでは?」「カスタマーサポートの領域を広げて対応すれば、採用コストを低減できるのでは?」などと思いがちですが、達成すべきミッションが異なる業務を一人の担当者が担い、同時並行的に高い成果を出すのは困難です。
最初は兼任でスタートした場合でも、少しずつ業務を切り離し、将来的には個別にカスタマーサクセスだけを担当するチームを編成したほうが成果を上げやすいでしょう。

3 顧客のステージを定義し、適切な支援を考える

カスタマーサクセスが目指す「顧客の成功」には、顧客の状況の分析が重要です。全体の流れを大きく2つのステージに分けてニーズを把握し、それぞれ適したサポートを行いましょう。
カスタマーサクセスのステージには、「オンボーディング期」と「利用促進期」があります。

<オンボーディング期>
オンボーディングとは、新入社員の離職を防ぎ、早期に戦力化するための教育・育成の仕組みのことです。カスタマーサクセスにおいては、新入社員を顧客に置き換え、その定着を目指すプロセスを指します。
具体的には、自社サービスに対する理解を深めてもらうため、下記のようなサポートを行うといいでしょう。

  • サポート窓口や体制の説明
  • トレーニングメニューの紹介
  • 問い合わせ窓口への誘導

<利用促進期>
利用促進期は、主に下記の3つに細分化されます。

・導入

オンボーディングから1ヵ月以内を目安に、利用状況の確認、現時点での課題の共有、トレーニング、PDCAを回せる体制の構築、活動計画の策定などを行って、いっそうの定着を図ります。

・限定的な活用促進

活用度のチェックや評価、分析を行い、当初の導入目的の範囲内で製品やサービスを最大限活用してもらえるよう支援します。必要に応じて、セミナーなどを案内するのも効果的です。

・アップセル、クロスセル

サービスの活用が進んだ段階で、追加機能の提案や新サービスの案内などを行い、活用範囲の拡大を目指します。既存顧客へのアプローチによる顧客単価向上は、新規顧客の獲得にかかる営業コストの5分の1で済むといわれ、効率的な収益拡大を図る上で欠かせません。

4 全プロセスを通じて、能動的な働きかけを行う

カスタマーサクセスは、顧客の反応を待たず能動的に働きかけるという点で、カスタマーサポートとは一線を画します。オンボーディング期、利用促進期のいずれにおいても、常に能動的な働きかけを意識しましょう。

5 評価の基準を設定する

顧客の活用度や、社内でのカスタマーサクセスの浸透度を測定できるよう、評価の基準を設定します。契約内容によって金額の差が大きい場合は、件数だけでなく金額の基準も設定しましょう。
代表的な基準の例を挙げておきます。

・解約率

特にサブスクリプション型サービスにおいては、解約率が重視されます。カスタマーサクセスの導入後、解約率が低下していれば、カスタマーサクセスが適切に機能して顧客のエンゲージメントを高めているとみることができます。

・更新率

サブスクリプション型サービスの場合は、更新率を基準にすることもあります。更新率は、100-解約率で算出します。

・LTV(顧客生涯価値)

一人の顧客が一生涯を通じて自社にもたらす利益を表すLTVも、カスタマーサクセスの評価として役立ちます。

LTVについては、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。

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・オンボーディング完了率

導入後の定着度を左右するオンボーディングの完了率も重要な指標です。オンボーディングが終了している顧客は、製品やサービスへの理解が深まった状態であり、その後の解約率も低いことが予想できます。
「導入から1ヵ月以内にチュートリアルが完了している」「2ヵ月以内に●●の機能まで設定が終わっている」といった目安を設定し、完了率を確認しましょう。

・アップセル率、クロスセル率

最初の契約より単価の高いサービスに切り替えるアップセルや、契約中のサービスに関連するそのほかのサービスも併せて契約してもらうクロスセルが増加しているかどうかも、注目したい指標です。
ただし、無理なアップセルやクロスセルは、反対に解約を招く可能性があります。利用頻度や顧客の状態を見極めて行いましょう。

6 営業との連携体制を作る

カスタマーサクセスと営業は、顧客と関わるタイミングこそ受注の前後で異なるものの、「顧客満足度の向上と利益拡大」という目標は共通しています。
しかし、営業は数字を、カスタマーサクセスは顧客満足度を最優先するため、「カスタマーサクセスが、売上よりも顧客満足度を優先している」「営業が数字ばかり追って、顧客のニーズに合わないサービスを契約してくる」といった理由で対立する場合があります。
こうした事態を防ぎ、顧客に一貫性のある体験を提供するために、両者の連携は欠かせません。

カスタマーサクセスと営業が連携するメリット

カスタマーサクセスを成功させる上で、営業との連携は重要な要素のひとつです。カスタマーサクセスと営業が緊密に連携できる体制を構築することで、下記のようなメリットがあります。

顧客満足度の向上

カスタマーサクセスと営業が連携すると、カスタマーサクセスが把握している顧客のニーズを営業と共有することで、顧客の期待値を適正に保ったまま契約につなげることができます。商談において、製品やサービスが持っている真の価値以上の期待を顧客に抱かせることがなくなるため、契約後の満足度低下と解約を防止することができるでしょう。
また、顧客満足度が高い顧客は、ちょっとした不満があってもすぐに解約をしようとは思いません。むしろ、「企業のファンだから」「製品を愛用しているから」といった理由で、改善点などを知らせてくれることも考えられます。こうした顧客のアクションにしっかりと応えることで、顧客満足度を再び高め、継続利用の流れに戻すことも可能です。

売上の最大化

カスタマーサクセスは、顧客のタイプと自社製品、自社サービスの相性を深く理解しています。商談中の顧客情報を両部門で共有することによって、カスタマーサクセスから適切なアプローチの方法を提案したり、成約率が高い顧客情報をピックアップしたりすることができ、継続利用につながる契約が増加します。
こうした顧客には、アップセルやクロスセルも有効であることが多く、LTVの向上による収益拡大が見込めるでしょう。

カスタマーサクセスと営業が連携する際のポイント

営業とカスタマーサクセスが連携する際には、下記の3点を意識しましょう。これらの点を意識することで、顧客満足度の向上や売上の最大化といったメリットを効率的に得ることができます。

お互いの視点で物事を考える

お互いの視点でみずからの業務を見直すことによって、自然と相手の役に立つ行動ができるようになり、円滑な連携が実現します。
営業がカスタマーサクセスの視点を持つと、導入段階で課題になりそうなことや、顧客が陥りがちなトラブルをある程度予見して顧客に伝えることができ、カスタマーサクセスの手間を削減できます。例えば、契約内容に顧客が使いこなせない機能を入れると、製品やサービスを利用する際に不満を感じる可能性があります。このようなトラブルも、カスタマーサクセスの視点を持てば、回避することが可能です。
また、カスタマーサクセスが営業の視点に立つと、新規開拓や商談の際に役立ちそうな情報をイメージし、日々の業務の中で知りえた情報をピックアップして営業に伝えることができるでしょう。

両部門の責任者が連携のメリットを理解し、協力する

両部門の責任者は積極的に連携し、相互理解を深めて、それぞれの役割を行動レベルで現場に落とし込みましょう。解約率など共通の数値目標を持つようにすると、お互いに補い合うことで成果を最大化することができます。

受注時に顧客の情報を共有する

受注した時点でわかっているリスクや、顧客のリテラシーを共有しておくことも、スムーズな連携のために重要です。営業部内での共有にとどめず、必ずカスタマーサクセスとも共有することを心掛けましょう。

カスタマーサクセスと営業の連携に役立つMA

カスタマーサクセスでLTV向上を目指すにあたって、障壁となるのが人力での対応の限界です。特に、サブスクリプション型サービスの場合、一気に新規契約数が伸びると、人力のみでは十分な対応ができません。結果として、解約のアラートに気づくのが遅れる可能性が高くなります。

そこで取り入れたいのが、MA(マーケティングオートメーション)です。MAは、収益向上を目的としてマーケティング活動を自動化し、見込み顧客を育成します。具体的には、下記の2つの点でカスタマーサクセスに貢献します。

効率的な顧客フォロー

MAは、顧客の動向をトラッキングし、ベストなタイミングで必要なフォローや情報提供を自動的に行います。見込み顧客が人力では対応不可能な人数だったとしても、MAなら自動で質の高いOne to Oneコミュニケーションを実践できるため、高いエンゲージメントの獲得が見込めます。

解約予兆の察知

MAは、すべての顧客のweb上の行動を常時トラッキングし、解約の兆候を察知してアラートを発します。アラートのついた顧客情報はすぐに営業と共有し、訪問など手厚いフォローをすることで不満を解消しましょう。

Adobe Marketo Engageは、カスタマーサクセスに強いMA

ビジネスモデルや市場の状況が変化する今、顧客の信頼を高めることで長期的な関係を築き、安定的な収益につなげるカスタマーサクセスは、その存在感を増しています。顧客数が増加しても十分な対応ができるよう、MAを活用してカスタマーサクセスを実践しましょう。

アドビ株式会社のAdobe Marketo Engageは、多くの企業のカスタマーサクセス導入をサポートしているMAです。Adobe Marketo Engageを活用して、顧客との関係性強化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

既存顧客のエンゲージメントを高める方法については、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。

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