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マーケティング入門

2020.10.26

CRMとは?基本知識やメリット、便利なツール、成功事例を紹介

CRMは、「各個人が欲しいもの」を見極め、最適なタイミングで最適な情報を届ける必要性とともに、注目度が高まっている手法です。
CRMの注目度が高まっている背景には、消費市場に製品があふれ、消費者がみずから集めた情報をもとに消費活動をするようになったことが挙げられます。製品の性能や価格の優位性だけでものが売れた時代とは異なる、顧客へのアプローチが求められるようになったため、CRMの注目度が高まっているのです。
ここでは、CRM施策を行うメリットや、CRMツールの機能についてご紹介します。また、CRMの成功事例についても見ていきましょう。

「CRMとは?基本知識やメリット、便利なツール、成功事例を紹介」の目次

  1. CRMとは?
  2. CRM施策を行うメリット
  3. CRMツールとは?
  4. CRMツールを導入するメリット
  5. CRMツールを導入するデメリット
  6. CRMをさらに効果的に実施する方法
  7. CRMの成功事例
  8. これからのマーケティングは、MAツールとCRMツールの連携がカギ

CRMとは?

CRMは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」や「顧客関係性マネジメント」などと訳されます。これは、顧客と接して得られた情報を一元的に管理し、必要に応じて適切に活用することによって、顧客との良好な関係を長期的に維持して利益の向上を目指す経営手法です。

実は、CRMの考え方自体は新しいものではありません。顧客の好みや季節ごとの傾向などを記して提案につなげていた江戸商人の大福帳や、生活に密着したコミュニケーションで「今、必要なもの」を販売していた御用聞きといった営業手法は、現代のCRMに相通じるものだといえるでしょう。

しかし、こうした手法は、顧客の人数が増えるほど難しくなります。少数の顧客を相手にする商売なら、担当者の記憶やアナログな管理である程度は対応できるでしょう。しかし、多くの顧客を抱える企業ではそうはいきません。

メモ書きやExcelシートなどですべての顧客の情報を管理しようとすれば、担当者の負担が増えて人為的なミスが増えるおそれがある上、管理する情報や管理の仕方が属人的で、会社の共有財産になりにくいからです。

ITの進歩でCRMも発展

顧客の情報管理と活用にまつわるこれらの問題を解決したのが、ITの進歩です。
コンピューターやソフトウェアが著しい発展を遂げた1990年代、マーケティング活動においてCRMという言葉が提唱されるようになってから、この概念を実現するフレームワークとして多くのシステムが提供されるようになりました。

当初は、クライアント側でサーバーを設置したりソフトをインストールしたりするオンプレミス型が主流でしたが、近年ではクラウド上でサービスを提供するSaaSが台頭しています。ビジネスモデルも売り切り型からストック型のサブスクリプションモデルへと移行し、初期コストや運用コストをかなり抑えられるようになりました。

このような背景もあり、CRMはマーケティングに欠かせない手法として、多くの企業に活用されているのです。

CRM施策を行うメリット

では、CRM施策によって顧客に関するデータを一元化し、顧客中心の事業戦略を立案して営業プロセスを管理していくことには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

見込み客の購買意欲を高める

マーケティングの場では、受注に至る前の顧客を「リード」と呼びます。リードは3段階に分類され、「アノニマスリード」「コールドリード」「ホットリード」の順に購買意欲が高まっていきます。

・アノニマスリード
アノニマス(Anonymous)は「匿名の」という意味。アノニマスリードは、潜在的で、個人を特定できないリードを表します。

・コールドリード
コールドリードは、イベントや展示会、自社サイトからのホワイトペーパーのダウンロードなどによって接点はあるものの、製品やサービスに対する興味や関心はそれほど高いわけではなく、今すぐ受注に結びつく可能性は低いリードを表します。メールマガジンやSNSなどで継続的なコミュニケーションを図ることで、長期的に良好な関係を維持しながら購買意欲の変化を見極め、タイミングを逃さずアプローチすることでホットリードへ育成します。

・ホットリード
ホットリードは、購買意欲が非常に高く、受注に至る可能性が十分にあるリードを表します。企業にとっては、集客から受注までの流れにおける最終段階のリードであり、「今すぐ客」とも呼ばれます。

新規獲得の場面において、CRMはリードの属性情報を蓄積し、それぞれに応じたコミュニケーションを図ることで、購入の検討を進めてもらうことを目的としています。
その結果として実現するのが、「リードナーチャリング」と呼ばれるプロセスです。リードナーチャリングとは、製品やサービスを知ったアノニマスリードがコールドリードとなってから、営業部門に引き継ぐだけで成約に至るようなホットリードへと育成するプロセスを指します。

既存顧客が離れるのを防ぐ

新規顧客の獲得は、既存顧客の維持に比べて5倍のコストがかかるといわれています。企業の売上は、既存顧客のうち2割の優良顧客によって維持されているとする「パレートの法則」からも、既存顧客との良好な関係の維持がいかに重要であるかがわかるでしょう。また、一定期間リピート購入してもらうことを前提に、「初回半額」などのキャンペーンを行っている場合も、既存顧客の維持は重要なミッションとなるはずです。

既存顧客との関係におけるCRMは、これまでの行動から蓄積された顧客の趣味嗜好、予算、生活スタイル、季節ごとの傾向といったデータをもとに継続的なアプローチをし、満足度を高めて解約を防ぐのに役立ちます。
特に、サブスクリプションモデルで一定の解約が発生するサービスでは、既存顧客の継続利用を促すためのフォローにCRM施策が有効です。顧客の好みに合った情報の提供や、クーポンなどの特典の付与で、既存顧客の維持を図ります。

CRMツールとは?

CRMツールは、経営手法、マーケティング手法としてのCRMを実現するためのシステムです。前述のとおり、ITの進歩によってCRMが発展した背景もあり、現在のマーケティングには欠かせない存在となっています。CRMツールの基本的な機能は下記のとおりです。

顧客データベース

これまで、営業一人ひとり、もしくはチームや部門に管理が委ねられていた顧客に関するあらゆる情報を、顧客データベースによって網羅的に管理します。
例えば、次のような情報を管理することができます。

  • 担当者名
  • 担当者の所属部署などの属性
  • 会社住所、電話番号
  • 紹介者の情報
  • 商談の履歴や進捗状況
  • 問い合わせ履歴および内容
  • イベントなどへの参加状況
  • 家族の情報
  • 趣味

こういった顧客情報の管理が、CRM施策のベースとなります。

営業活動管理

CRMツールには、SFA(Sales Force Automation)の機能を内包するものが多くあります。SFAは「営業支援システム」と訳され、営業が商談を開始してから受注に至るまでの進捗状況を可視化し、その活動の管理を行います。
CRMを活用すると、進捗しない商談や停滞ぎみの営業を見つけて早期にボトルネックを改善し、営業全体のパフォーマンス向上を図ることも可能です。

社内チャット

顧客からメールで送られてきた書類や情報の共有、各担当者への問い合わせなど、CRM上の社内チャットで簡単に行うことができます。情報漏洩のリスクが低く、機密情報管理の観点からも重宝する機能です。

プレイブックの構築

日々の営業活動で得た情報や商談の内容、顧客の反応といった情報を、一人ひとりが入力していくことで、これまでは営業の「経験や勘」「長年の顧客との関係性」に頼ってきた部分を、客観的なデータとして抽出することが可能です。
別の営業担当者が顧客を引き継いだ場合や、類似するケースでも活用できるプレイブックとして蓄積されます。

ダッシュボード作成/レポーティング

個々のデータを参照または対比して、顧客の購買行動の分析やレポーティングを行います。
既存顧客へのアプローチ方法や提案する商品に悩んだときなど、ダッシュボードの分析結果やレポートを参考にすることができます。
BtoBビジネスの場合は、予算の進捗状況やチーム、メンバーごとの活動状況をまとめることができるため、社内のマネジメントにも活用が可能です。

CRMツールを導入するメリット

CRMツールが自社にとって必要かどうかを見極めるには、メリットとデメリットをそれぞれ把握する必要があります。まずは、CRMツールを導入するメリットを見ていきましょう。

顧客情報を社内で一元管理できる

これまで、個人の記憶やメモ書き、部署ごとのExcelシートなどで管理されてきた情報を全社的に一元管理することにより、情報をより有益に活用することができます。

例えば下記のように、部署を超えたシームレスでスピーディーな対応が可能になります。

    <CRMツール導入後における社内連携の例>
  • マーケティング担当が、発見した見込み客をホットリードに育成する
  • インサイドセールスに引き継ぎ受注
  • カスタマーサクセスでのアフターフォローを行い、既存顧客を維持する

また、マルチデバイス対応にしておけば、客先などでタブレットやスマートフォンから情報を確認して、即座に顧客対応に活かすことも可能です。
属人的になりがちな顧客管理が標準化されることで、異動などで担当者が変わった際の引き継ぎがしやすくなることもメリットのひとつです。さらに、個人ベースのメモ書きやExcel管理などによる、情報漏洩のリスクもなくなります。

最適なタイミングで顧客にアプローチできる

顧客の情報が可視化されることで、「いつ」「何を」提案するべきかが明確になり、最適なタイミングで顧客にアプローチできるようになります。過去の購買履歴や問い合わせ内容などをもとに、自分の好みに合った商品やサービスの情報が送られてくれば、顧客は「この企業は信頼できる」「このサービスはうれしい」と感じて購買意欲が高まるでしょう。
商談開始から成約までのプロセスも可視化されるため、担当が変更になっても現状を正確に把握してフォローアップでき、顧客にストレスを感じさせることがありません。

効果測定や改善プランの作成の効率がアップする

CRMツールを導入することで、過去にどのようなタイミングで、どのようなアプローチをして、結果がどうだったかというプロセスから、顧客の反応や動向、営業方法やタイミングを分析し、改善プランを作成してPDCAを回すことができます。

CRMツールを導入するデメリット

続いては、CRMツールを導入することによるデメリットについて確認しましょう。

業務プロセスの見直しが必要

例えば、これまで新規顧客の開拓による売上の最大化に注力してきた企業がCRMを導入する場合、社員の考え方や社内体制、業務プロセスなどを「顧客との関係性構築」を最優先事項として再構築する必要があります。
慣習化したやり方を変えるのは簡単ではありません。勤務経験が長い人や、従来の方法で成果を出してきた人からは、強硬な反対意見が出ることも考えられます。

CRMツールは、使いこなしてこそ価値を発揮するツールなので、導入後の運用が非常に重要です。せっかく導入したCRMがまったく使われなかった、一部しか活用できておらず本来の目的を果たしていなかったといった事態に陥らないよう、「なぜCRMが必要か」「誰が、いつ、どのように使うものなのか」「CRMを導入することで、どのようなメリットがあるのか」を周知して、すべての社員がスムーズにCRMを受け入れられる土台づくりをしてくことが大切です。

できるだけ見た目がシンプルで、ITに疎い人でも直感的に操作できるツールを選ぶことも、導入後の定着につながります。そのためには、地道な声掛けや確認、マニュアル・問い合わせ窓口の用意、ツール提供企業の研修サービスの利用などが有効です。

導入や運用にコストがかかる

CRMツールの導入や運用には、コストがかかります。利用規模や性能などによって費用が異なるため、自社に必要な機能を洗い出し、最適なツールやプランを選びましょう。

また、導入や運用にかかるコストは、パッケージ型、オンプレミス型、クラウド型などのスタイルによっても異なります。
オンプレミス型とパッケージ型は売り切りですが、初期費用だけでなくランニングコストがかかり、さらにはソフトウェアの更新などを導入側が行うため、運用コストもかかります。
一方、クラウド型はサブスクリプション型のため、オンプレミスやパッケージより導入費用が安価ですが、利用を継続する限りランニングコストがかかる点は変わりません。

効果が出るまで時間がかかる場合がある

CRMの目的は、あくまでも顧客満足度の向上による良好な顧客関係の構築です。長期的な施策なので、すぐには効果が現れにくい場合もあるでしょう。地道にPDCAを回し、継続的に業務を改善していく意識が重要です。

CRMをさらに効果的に実施する方法

CRMツールは顧客管理に特化したツールですが、営業支援を目的としたSFAツール、マーケティングの自動化を目的としたMA(マーケティングオートメーション)ツールなどにその機能が含まれている場合があります。
いずれも、顧客に対するアプローチではありますが、CRMツールは既存顧客の満足度を上げてLTV(顧客生涯価値)を高めることを目的としており、見込み客の獲得からナーチャリングまでを担うMAツールとは、「守り」と「攻め」の関係にあるといえるでしょう。
下記のように、役割の異なるMAツールとCRMツールを連携させることで、より効果的にマーケティングを行うことができます。

1. MAツールを導入する

MAツールは、マーケティング活動に重きを置いたツールであり、主に下記のような役割を果たします。

  • コールドリードの獲得(リードジェネレーション)
  • ホットリードの育成(リードナーチャリング)
  • マーケティング施策、収益貢献の分析

CRMツールと比較した場合の、MAツールの代表的な特長は2つあります。まず、申込みなどのフォームやランディングページの作成機能を使って、リード獲得の仕組みを作成することができます。次に、営業優先度が低いコールドリードや失注顧客に対しても、継続的にコミュニケーションを図ることが可能です。
これらの特長により、顧客管理を主な目的としているCRMツールよりも、さらに一歩進んだマーケティング活動が可能になります。

2. CRMツールと連携させる

MAツールで集客や顧客の情報収集を行った後に活躍するのが、営業の活動や商談状況、顧客の状況を一元管理するCRMツールです。MAツールとCRMツールがうまく連携すれば、MAツールでナーチャリングしたリードをスムーズに営業チームへ引き継ぎ、タイミングを逃さずアプローチして、機会損失を減らすことができます。

MAの詳細については、以下のebookをダウンロードしてご覧ください。

マーケティングオートメーションとは?概念から事例までわかりやすく解説

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3. MAツール提供企業のサポートでさらに効果を高める

MAツールを導入したものの、「活用しきれない」「効果がよく見えない」という事態を防ぐには、MAツールの提供企業が行っている立ち上げ支援コンサルティングやサポートを活用するといいでしょう。導入企業の環境や導入の目的に合わせて、効率的な活用方法を提案してくれます。

CRMの成功事例

CRMの基礎知識を理解できたら、今度は具体的な事例をもとにCRMの活用方法を確認してみましょう。株式会社日立製作所が新規事業の立ち上げにCRMツールとMAツールを活用した事例をご紹介します。

日立製作所の新規事業Lumada(ルマーダ)に、CRMを活用

日立製作所は、2016年にLumadaという新しい事業を立ち上げました。Lumadaは、産業、鉄道、エネルギー、金融、ヘルスケアなどの幅広い事業分野で、顧客の課題に応じて提供するソリューション/サービス/テクノロジーの総称です。事業横断的なビジネスモデルであるため、従来の個別最適化されたマーケティングから脱却する必要があり、MAツール「Marketo Engage」の導入に至りました。

CRMツールとMAツールを連携させ、リードナーチャリングを実現

導入から半年で、コーポレートサイト来訪者に合わせた表示内容の最適化によるクリック率の向上、適切なナーチャリングプロセスによるホットリードの育成といった効果が生まれています。

また、すでに導入していたCRMとの連携による効果も見えてきました。顧客のウェブ上での動きをタイムリーに共有する、営業に展開するレポート作成時間を短縮し、生産性が向上するといった効果を発揮しています。

お客様事例:日立製作所コーポレートサイト表示の個別最適化実現から、事業部門での長期リードナーチャリング実現に発展

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これからのマーケティングは、MAツールとCRMツールの連携がカギ

製品やサービスが多様化し、消費者が情報を待つのではなく、みずから取りにいって取捨選択するようになった今、新規顧客の獲得は容易ではなくなりました。今後は、MAツールで新規顧客開拓を促進しつつ、CRMツールで既存顧客を管理し、売上の8割を担うといわれる2割の優良顧客を育成していく必要があるでしょう。

アドビが提供するMAツールのMarketo Engageは、事業規模を問わず、あらゆる規模、業種の企業で幅広く採用されています。さまざまなCRMツールとの連携も可能で、マーケティング全体を支援するツールです。
MAツールについて、「必要性を含めてなんとなく理解はしているが、具体的に何ができるのかはイメージしきれていない」という方は、下記のページにある無料の入門ガイドで、CRMやメール配信ツールとの違い、導入・活用を成功させるための秘訣などをご確認ください。

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