マーケティング入門

営業の課題を解決するDXとは?定義や事例、ツールなどを解説

2022-07-01

進化したデジタル技術を活用し、生活やビジネスをより良いものに変えていく「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。著しく変化するビジネス環境に対応し、市場での競争優位性を確保するために欠かせない取り組みとして、ビジネスシーンでは数年前から重要視されるようになりました。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、従来の対面営業以外の手法が求められるようになった営業も、DXによる進化が期待される分野のひとつです。
ここでは、営業の課題を解決するDXについて、定義や事例のほか、営業のDXを成功させるために必要なツールなどについて解説します。

目次

DXとは、ITの浸透によって生活が変化すること

DXは、スウェーデンのウメオ大学で教鞭をとっていたエリック・ストルターマン教授が、2004年に発表した論文の中で提唱した「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。
経済産業省では、この概念を日本向けによりわかりやすく再定義し、2018年12月に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を公表しました。

経済産業省によるDXの定義

経済産業省は、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。

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DXに関連する技術やツール

経済産業省は前出のレポートにおいて、「DXを進めない限り、2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と警告し、企業に対して積極的にDXに取り組むよう求めています。
単に昔ながらのシステムを刷新するだけでなく、「変化に対応した優位性のあるビジネスモデルを確立する」という本来のDXの目的を果たすには、デジタル基盤を整えて必要な技術やツールを導入することが必要です。
続いては、DXの実現に欠かせない技術やツールについてご紹介します。

クラウド

クラウドは、インフラやソフトウェアを持たず、インターネットなどのネットワークを経由してユーザーにサービスを提供する、DXの核となる技術です。
企業がソフトウェアやハードウェア、ネットワークを構築・所有するオンプレミスに比べてコストを抑えられる上、サービスの拡張性や柔軟性にも優れています。

AI

学習、推論、認識、判断といった人間の機能を人工的に再現するAI(人工知能)や、大量のデータを分析して予測や判断を行う機械学習といった技術は、これまで人が担ってきた作業を自動化および高速化したり、判断の精度を高めたりするのに役立ちます。

ビッグデータアナリティクス/ビジネスインテリジェンス

DXの推進には、企業に蓄積された膨大なデータ(ビッグデータ)が欠かせません。
人間に代わってビッグデータを分析するビッグデータアナリティクス、ビッグデータの分析結果を可視化するビジネスインテリジェンス(BI)を活用することで、新たなビジネスにつながる情報を発見できる可能性があります。

モバイル端末

スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末は、時間や場所を選ばずアクセスでき、ソーシャルメディアとの親和性も高いのが特徴です。
総務省が発表した「令和2年度版 情報通信白書」によれば、世帯における情報通信機器の保有状況は「モバイル端末」が「パソコン」を大きく超えており、モバイル端末への取り組みがカギとなることは間違いありません。

SNS

モバイル端末の普及に伴って、SNSの利用率は上がっています。SNSは、モバイル端末と併せて本腰を入れて取り組むべきデジタル基盤です。

営業のDXに必要なこと

営業のDXは、営業活動の効率化による生産性の向上や、今の顧客行動に合わせた営業活動を行い、成約率とLTV(顧客生涯価値)を高めることを目的としています。そのためには、顧客とのコミュニケーションや顧客理解、社内業務のデジタル化が必要です。

顧客コミュニケーションのデジタル化

顧客の購買行動がデジタルにシフトした現代では、旧来の労働集約的な営業スタイルから、顧客の購買行動に沿ってデジタルチャネルやツールを活用する顧客コミュニケーションのデジタル化が必要です。
「数字は足で稼ぐもの」「顧客とは対面で話して信頼関係を構築することが重要」といった労働集約型の営業活動は非効率で、現実的ではありません。

顧客理解のデジタル化

従来の営業は、顧客に電話や対面でアプローチをして状況を理解し、商品やサービスの提案につなげてきましたが、このような顧客理解もデジタル化する必要があります。
営業のデジタル化の促進により、属性や行動からのニーズの推測はもちろん、顧客が自社と自社のサービスの何に価値を感じているかを見極め、より適切な提案をしてファンを増やすことができます。

社内業務のデジタル化

属人化しがちな営業の社内業務をデジタル化することで、業務の進め方や進捗状況が可視化され、社内の生産性が高まります。ボトルネックを早期に見つけ出し、ワークフローを見直すこともできるでしょう。

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デジタルの大海へ漕ぎ出そう 顧客体験変革に向けた航海準備

デジタルマーケティングの指針としての「デジタル顧客体験成熟度評価」を日本企業向けに解説しています。

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営業のDXが求められる背景

これまで、営業は対面が前提で、DXとは最も縁遠い職種のように思われてきました。近年、営業のDXが求められる背景には、どのような理由があるのでしょうか。

顧客行動のデジタル化

営業のDXが求められる背景のひとつとして、顧客行動のデジタル化が挙げられます。
インターネットが普及したことで、顧客は営業の情報提供を待たずにみずから情報を検索し、商品の選定や意思決定を終えるようになりました。これにより、「営業が訪問して情報を提供し、コミュニケーションをとって受注につなげる」という従来の営業プロセスを見直さざるをえなくなり、営業のDXが進んでいます。
今後は、テレアポや飛び込みといった直接的で非効率なアプローチは減り、顧客の購買プロセスと購買意欲の変化に沿って求められる情報を提供した上で、タイミングを見極めてアプローチしていくスタイルが主流になっていくでしょう。

リソース不足

労働人口が減少し、人手不足に悩む職種は少なくありません。中でも営業職は、前述したインターネットの普及に伴う顧客行動のデジタル化や業界の構造見直しなどもあり、2000年代の初めをピークに減少の一途をたどっています。昔のままの人海戦術ではリソースが不足してしまうため、少人数で高いパフォーマンスを発揮できる仕組みづくりが求められています。
具体的な戦略として挙げられるのが、営業戦略としての分業制です。見込み顧客をホットリードに育てるインサイドセールスや、既存顧客とのより良い関係の構築を目指すカスタマーサクセスを導入し、一人ひとりが担当する業務を限定することで活動の量と質を高め、効率的に受注につなげます。

デジタルサービスの増加

営業が取り扱う商材のデジタル化や、ビジネスモデルそのもののデジタル化も、営業にDXが求められる理由のひとつです。
デジタルの製品やサービスを扱いながら、営業方法が訪問営業のみでは顧客への説得力がありません。サービスの変化に合わせて、業務フローやプロセスもデジタル化していく必要があります。

対面営業の制限やリモートワークの普及

コロナ禍では、当たり前に行われてきた訪問営業はもちろん、展示会やセミナーといった対面式の顧客接点が厳しく限定されました。その結果、オンラインでの営業活動が増加し、多くの企業がウィズコロナの世界でも営業プロセスのオンライン化を継続しています。
リモートワークが普及し、営業活動をしようとしても、「顧客の担当者が出社していない」といったケースが増加していることから、100%対面型に戻る企業は少ないと考えられます。

BCP

BCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)とは、地震、台風、津波などの災害が起きても、これまでどおり事業を継続していける仕組みのこと。リモートワークで業務を続けられる体制を整えておくことの重要性を、新型コロナウイルス感染症による出社自粛時に感じた企業は多いでしょう。
これまでの教訓を活かして、平時にこそDXによるBCPを進めておくことが大切です。

マーケティング情報が活用されるプロセスの増加

近年、情報収集段階だけでなく、評価や検討、購入の段階でも、非対面チャネルであるマーケティングの情報を信頼して、意思決定の参考にする人が増えています。
このことから、情報収集から購入に至るすべてのステップでデジタルを活用し、優れた顧客体験を提供することで、顧客の意思決定を促すことができるといえるでしょう。

営業のDX事例

営業にDXを取り入れると、業務はどのように変わるのでしょうか。具体的な事例を見ていきましょう。

新規見込み顧客獲得にDXを活用

ウェビナーによる集客や、自社サイトの情報の充実、動画コンテンツの配信といったDX手法を用いることで、web上の顧客とのタッチポイントが増加します。また、DXで得た情報やデジタルツールを活用すれば、顧客行動に合わせて行うメールの配信も自動化でき、見込み顧客の獲得効率が飛躍的に高まります。

顧客理解にDXを活用

顧客が喜ぶサービスを展開し、ファン化を目指す上では、正しい顧客理解に基づく情報提供が欠かせません。DXによって得られるようになった情報を活用し、webサイトへのアクセスや資料のダウンロード状況、メールの開封状況といったさまざまな顧客情報を収集および分析することで、顧客の興味関心を探ることができます。

商談にDXを活用

商談をweb上のコミュニケーションで行う営業活動のオンライン化は、コロナ禍で広く普及しました。対面営業が再開された後も、オンライン商談をメインにしたり、武器のひとつとして残したりしている企業が多く存在しています。アポイントの獲得に向けて営業メールを強化することも、DXの活用事例のひとつといえるでしょう。

営業活動の最適化にDXを活用

営業活動にDXを取り入れることで実現するのが、ブラックボックス化しがちな営業活動の見える化です。SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)などのツールで、顧客向け資料や顧客対応履歴を共有することで営業のプロセスが可視化され、トップ営業のノウハウにならって全体を最適化することができます。
このように、営業成果のデータをメンバーの育成に活かす手法は「セールスイネーブルメント」と呼ばれ、国内でも成長企業を中心に注目が高まっています。

営業のDXを推進するための4つのポイント

続いては、営業のDXを推進するために欠かせないポイントを、4つご紹介します。

1 自社の課題を見極め、目的を明確にする

DXには各種デジタルツールが欠かせません。しかし、ツールの導入が目的になると、自社の課題や現場の使い勝手に合わないツールを選んでしまう可能性があります。ツールありきではなく、自社の課題を見極めて目的を明確にした上で、ツールの導入を検討しましょう。

2 カスタマージャーニーに沿って全体を設計する

購買プロセスにおける顧客の状況や思考、行動に沿った適切な営業活動ができるよう、カスタマージャーニーを作成した上でデジタル化するプロセスを決めましょう。デジタルで収集した情報を、顧客がどのように意思決定に活かしているかを知り、営業活動の改善につなげていくためにも、カスタマージャーニーの設計は大切です。

カスタマージャーニーについては、下記の記事で詳しく説明しています。

【関連記事】マーケティング入門カスタマージャーニーとは?ジャーニーマップの作り方や具体的な事例をご紹介

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3 業務全体の効率化を考える

デジタル化によって一部の作業の効率が上がっても、業務フローに問題があると全体的な生産性は向上せず、DXの目的を果たすことができません。デジタル化する部分を決めるときは、業務全体を最適化するつもりで営業フロー全体を見直すことが大切です。

営業の場合は、前段階のマーケティングとの連携が欠かせません。現在マーケティング部門を持たない企業の場合は、マーケティングの役割を作り、展示会やカタログ担当のようなオフラインの担当に加えて、webサイトやメールなどのオンラインの領域についても業務内容を明確にして担当を作るとよいでしょう。また、DXを推進することで、対面以外での営業活動が可能になるため、インサイドセールスの立ち上げも検討してみましょう。

4 経営層や部門長を巻き込む

営業のDXを推進するにあたっては、現場の責任者や最終的な決裁権を持つ経営層の理解を得ることが大切です。
営業部門だけで話を進めても、部門長の同意が得られなければ稟議を上げてもらうことができません。また、稟議が上がったとしても、経営層にその重要性が伝わらなければ決裁は下りません。
特に古い体質の企業では、対面営業にこだわりがあるケースも少なくないため、事前の根回しが非常に重要です。

営業のDXに役立つMAならAdobe Marketo Engage

営業のDXには、最適なツールの選定が重要です。中でもMAは、見込み顧客を集客し、その購買意欲を可視化して、商談化しやすい見込み顧客へと育成するのに長けています。また、MAはマーケティング部門と営業部門のシームレスな情報共有を可能にし、業務の効率化にも貢献します。
アドビ株式会社が提供するMA、Adobe Marketo Engageは、豊富なノウハウを基にあらゆる規模や業種の営業のDXに貢献するマーケティングプラットフォームです。Adobe Marketo Engageは、下記の機能で営業のDXを支援します。

顧客データ管理

CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)などで一元化した顧客データを管理し、属性や購買履歴などのセグメントに基づいた施策を自動的に実行します。
また、見込み顧客のうち検討段階に達していない顧客に対しても、継続的かつ自動的に興味を引く情報を提供し続けることで、検討に進む適切な支援が可能です。

顧客行動の可視化

顧客行動の可視化機能により、顧客一人ひとりのメール開封履歴やwebサイト訪問履歴などが可視化されるため、営業担当者が最適なタイミングを見極めてアプローチすることができます。

シナリオ作成

メールによるコミュニケーションを通じて集客やコンバージョンにつなげるメールマーケティングでは、顧客の行動をトリガーに施策を実行するシナリオ作成機能が役立ちます。

スコアリング

スコアリング機能を使えば、メールの開封数や資料請求などのアクションに応じて顧客をスコアリングし、検討状況を見える化することが可能です。購買意欲の高い見込み顧客だけを、営業に引き継ぐことができます。

スコアリングについては、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。

リードスコアリング完全ガイド

リードスコアリングへの理解を深め、自社でのリードスコアリングを導入する際の検討に使えるTipsや事例をご紹介します。

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ランディングページや問い合わせフォームの作成

MAを使うと、新しい見込み顧客を集客するランディングページや、ページ内に設置する問い合わせフォーム、資料請求フォーム、ウェビナー登録フォームを簡単に作成することができます。最初に作成したフォームを複数のランディングページで利用すれば、業務の効率化が可能です。

社内アラート

社内アラート機能は、見込み顧客がメール開封や自社サイトへの訪問などの行動を起こした際に、営業担当にアラートを配信する機能です。メールのほか、SlackやChatworkなどのビジネスチャットツールにアラートを配信することもできます。
また、属性や対応履歴、顧客行動から、「競合他社から乗り換えを検討していて、まもなく更新月を迎える顧客」「情報収集の頻度が高まり、検討が進んだ顧客」など、細かな条件に合った見込み顧客をピックアップしてアラートを出すこともできるので、顧客の購買意欲が高いタイミングを逃しません。

社内アラート機能については、下記のページで詳しく説明しています。

スコアリングとアラート

MAの特徴的な機能であるスコアリングとアラートの柔軟な設定についてご紹介します。

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最適なツールを選び、営業のDXを進めよう

営業のDXについて、導入が進む背景や導入の効果についてご紹介しました。変化する時代の中で、営業のDXは企業が取り組まなければならない課題のひとつです。時代に合った営業スタイルにシフトすることで、新しい見込み顧客に出会える可能性が高まり、収益の向上が期待できます。
自社の営業部門の課題を洗い出し、課題解決に役立つツールを選定して、すみやかに営業のDXを進めましょう。

これからの営業組織の作り方については、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。

これからの営業組織の作り方

インサイドセールス、MA活用事例集

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