デジタルマーケティング

製薬会社のマーケティング課題とは?MAの活用法と合わせて解説

2021-12-01

これまで、製薬会社から医師への情報提供は、MR(Medical Representative:医薬情報担当者)の営業活動に委ねられてきました。しかし、法令によるMRの活動の規制強化や、コロナ禍でこれまでのような密なコミュニケーションがとりにくくなったことにより、MRが果たしてきた役割をデジタルにシフトする動きが進みつつあります。
ここでは、デジタルシフトに伴う製薬会社のマーケティング課題と、課題解決に役立つMAの活用法をご紹介します。

目次

製薬会社の現状

医薬品を取り扱う製薬業界は、現在大きな環境の変化にさらされています。製薬会社のマーケティング課題を正確に捉えるためにも、製薬会社の現状を確認しておきましょう。

1 コロナ禍で減収減益する企業が増加

新型コロナウイルス感染症の拡大、およびそれに伴う外出自粛要請を受けての受診控えや、受け入れる病院側の受診制限で、医療機関を受診する患者数は大幅に減少しました。
これにより、新薬の浸透が遅れて市場が停滞。減収減益する製薬会社が増加しました。

2 MRを取り巻く環境の変化で、製薬会社の営業活動が停滞

分厚い資料を携えて医局や診療室を訪問し、医師の業務の合間を縫って医薬品を紹介する──少し前まで当たり前に見られたMRの姿が、医療機関から消えつつあります。 背景にあるのは、規制強化とコロナ禍の影響です。

・規制強化

2019年、厚生労働省が公表した「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」により、MRの行動にさまざまな制限が課せられました。
これにより、MRは情報提供先の医療従事者、および提供した情報を細かく記録しなければならなくなったほか、提供できる情報の範囲も制限され、思うような営業活動ができなくなっています。

・コロナ禍

コロナ禍で、医療機関が患者以外の部外者の訪問を制限したことも、直接的なコミュニケーションに依存していたMRには大きな打撃でした。特に、医師と十分なリレーションが築けていない若手MRは、メールやオンライン面談でのコミュニケーションがままならず、足がかりを得るのに苦労しています。

3 データを活用したマーケティングの重要性の向上

身近な医療を提供するプライマリケア領域を主力としていた製薬会社の中には、スペシャリティ領域へのシフトを進めている企業もあります。この領域ではより専門的な知識が必要となり面談の質も重要視される一方で、処方対象となる医師数が決して多くはないため、収集できるデータにも限りがあり、マーケティング活動の工夫が必要となります。

製薬会社のマーケティング課題

上記のような環境の変化を受け、製薬会社はさまざまなマーケティング課題を抱えるようになりました。解決すべき課題は、3つ挙げられます。

医師との新たなコミュニケーション方法の確立

長く製薬業界を支えてきたMRに依存する営業体制の継続が困難になった今、医師との新たなコミュニケーション方法の確立は喫緊の課題です。
医師が出てくるのを待ち続け、その移動中に急いで説明するような従来型の非効率な手法を見直し、コミュニケーションの場をwebに移行する企業が多く見られるようになりました。
代表的な移行先は、下記の3つです。

・オウンドメディア

医療従事者専門の会員制のオウンドメディアを作り、当該メディアへ誘導することによってメディア内で情報提供、および関係性の構築を目指す方法があります。
近年、多くの製薬会社がオウンドメディアを構築・導入しており、直接営業に代わる新たな手法として主流になりつつあるといえるでしょう。

・ウェビナー

不要不急の外出を避けるため、また密を避けるために、オフラインでのセミナーや講演会、研修などに代わって台頭してきた「ウェビナー」。ウェブとセミナーからなる造語で、オンラインで行われるセミナーのことです。
多くの人が一堂に会するオフラインのイベントの開催が難しい今、ウェビナーは有効な集客手段となっています。

・オンライン面談

新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、病院によってはMRの訪問を禁止している場合があります。また、在宅勤務を推進している製薬会社も多いでしょう。そのため、医師に製品の説明を行うディテーリングを、オンライン面談ツールで実施している製薬会社もあります。

専門性の高い医師との関係性構築

プライマリケア領域に加えてスペシャリティ領域まで、多岐にわたる知識を持つ医師との関係を築き、信頼性の高い情報を提供していく重要性がさらに高まっています。
製薬会社のマーケティング部門は、高い専門性を持つ医師に興味を持ってもらえるコンテンツを非対面でどう提供するか、また、関心を持ってくれた医師をどのようにしてMRに送客するかを考える必要があります。

ディテーリング増加への貢献

医療機関への直接的な訪問が難しい状況が続く中、医師の処方につながるディテーリングをいかに増やすかは、MRにとって重要な問題です。
マーケティング部門では、医師とのコミュニケーション方法の確立や関係性構築を通じて、ディテーリング増加に貢献することが求められます。

MAを製薬会社のマーケティング課題に活用

コロナ禍以前も、webやメールなど、マルチチャネルでの情報提供は多くの製薬会社で試されてきました。しかし、実際に使用するMRにとって、ツールが使いづらかったり、医療従事者のニーズにマッチした情報でなかったりして、マーケティング部門の意向に反し、あまり活用されてこなかったのが現実です。

コロナ禍でデジタルシフトを余儀なくされる中、MRにとって使いやすく、かつ充実した情報をタイムリーに提供できるツールの選定と導入は不可欠だといえるでしょう。そこでおすすめなのが、MA(マーケティングオートメーション)です。

MAは、顧客の属性や行動などの情報を一元的に管理して顧客行動を可視化し、蓄積されたデータを基にマーケティング活動を自動化するツールです。MAを使えば、これまで医師と行ってきたコミュニケーション内容を踏まえて、最適なタイミングでパーソナライズされたアプローチができるようになります。これにより、医師と長期的かつ良好な信頼関係を構築することが可能です。
ここでは、製薬会社における具体的なMAの使い方を、6つご紹介しましょう。

1 社内に分散している情報を一元管理

MAを使えば、医師の連絡先や専門分野はもちろん、誰にいつどのようなメールを送信したか、誰がいつ何の資料を請求したかといった、情報の一元管理が可能です。1人の医師に対して、マーケティング担当やMRなど、複数のメンバーが関わる製薬会社には欠かせない機能といえます。情報を一元管理することで、マーケティングやディテーリングの精度が上がり、収益向上が期待できるでしょう。

2 製品情報やイベント案内をメールで送付

医師へのアプローチがオンラインに移行すると、これまでMRが手渡していた製品情報やイベント案内などの資料は、すべてデータ化してメールで送付することになります。しかし、医師一人ひとりの専門性や得意領域に応じて適切な情報を選び、メールの文面を考えて送付する作業はかなり手間がかかり、非効率的といわざるをえません。
その点、MAを使うと、メールの文面やレポートなどの定型的な部分を簡単に複製し、情報を提供するスケジュールや頻度まで管理することができます。

3 ウェビナーの管理

ウェビナーの管理も、MAの得意分野のひとつです。具体的には、下記のような作業を行うことができます。

・開催概要をまとめた告知ページや申込フォームの作成

webページの作成やシステムに関する知識がなくても、簡単に告知ページや申込フォームを作成できます。
顧客管理システムと連動させておけば、申込みをしたリード(見込み顧客)の情報を自動的に追加することができ、手作業で入力する必要がありません。キャンセルや当日の出欠確認もMA上でできるので、人的ミスの削減にもつながります。

・メールの配信

セミナー告知メール、申込内容の確認メール、ウェビナー直前のリマインドメールなど、必要なメールを自動で配信できます。参加者へ御礼メールも自動で送れるので、同時にアンケートや次回セミナーを告知するなど、フォローアップもスムーズです。

・参加不参加情報の同期

Zoomビデオウェビナーをはじめとしたウェビナーツールと連携し、ウェビナー参加や不参加、オンデマンド視聴といった参加ステータスをAdobe Marketo Engageに反映させることができます。

Zoomビデオウェビナーとの連携については、下記の記事で詳しく説明しています。

マルケトブログウェビナー運営を効率化させる、ZoomビデオウェビナーとMarketo Engageの連携メリットと設定方法

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4 医師の属性や関心度にマッチした情報を配信

医師の属性情報(年齢、常勤または非常勤、専門分野、診療科、勤務先医療機関の所在地など)や、ウェビナーへの申込履歴など、web上の行動履歴から判断できる興味の範囲や関心の程度を基に、医師のニーズにマッチした情報を提供します。
さらに、提供した情報に対する反応をスコアリングし、関心度に応じた情報を提供することもできます。

5 One to Oneマーケティングにつなげる

スコアリングや、あらかじめ設定しておいた特定のアクションを基に、カスタマージャーニーに沿って検討ステージを把握します。
これにより、属性に加えて一人ひとりの興味関心に寄り添ったOne to Oneマーケティングを行うことが可能です。

6 興味関心が最も高まった段階でMRに送客

オンラインでは、「何度も足を運んでくれたから」「長い付き合いだから」といった、情に訴える昔ながらの営業活動が成り立ちません。一方で、web上の行動履歴はデータとして残るため、MAで内容を精査したメールをタイミングよく送るなどの丁寧なOne to Oneマーケティングを続けることにより、確実に医師の興味関心を高めていくことができます。
医師の興味関心が最も高まった段階で情報をMRに送れば、ディテーリングにつながりやすくなるでしょう。

製薬会社で活用されるAdobe Marketo Engage

急速なデジタルシフトへの対応が必須である製薬業界のマーケティングにおいては、web上のデータを基に自動的にリードを育成するMAの存在が不可欠です。
アドビ株式会社が提供するMAのAdobe Marketo Engageは、製薬会社の導入実績が豊富で、機能面においても多くの優位性があります。

多様化する医師のニーズに合わせたアプローチが可能

専門性の高い医師にアプローチする場合、豊富なセグメントやスコアリングを基に、個々のニーズにマッチした情報提供が可能。One to Oneマーケティングで着実に信頼関係を築き、成約率を高めます。

多くの製薬会社に導入され、知見が豊富

Adobe Marketo Engageは、これまでにたくさんの製薬会社に導入され、さまざまなマーケティング課題を解決してきました。その過程で得た知見を蓄積し、コンサルティングサービスやサポートに活かしているため、「製薬会社ならでは」の課題に適切な答えを提供できます。

ディテーリングを増やすためのシナリオを提案できる

Adobe Marketo Engageは、中長期的なシナリオを組むことができる上、一度組んだシナリオの並べ替えも簡単です。
さらに、カスタマージャーニーを整理し、ディテーリングを増やすために有効なシナリオや測定計画を提案する、マーケティング戦略立案支援も提供しています。状況に応じて柔軟にシナリオを見直すことで、マーケティング効果の最大化を図りましょう。

ほかのソリューションと組み合わせてDX推進をサポート

企業がDXを推進する場合、自社に必要なソリューションを組み合わせて適切なDXの在り方を模索し、推進していく必要があります。

Adobe Marketo Engageは、オウンドメディアの分析からコンテンツの最適化、配信までを一貫して担う「Adobe Experience Cloud」や、デジタルコンテンツ管理システム「Adobe Experience Manager」、分析アプリケーション「Adobe Analytics」、テスト&ターゲティングソリューション「Adobe Target」、データ管理基盤「Adobe Audience Manager」などと連携して、企業のDXを加速させます。

さらに、アドビはライフサイエンス業界向けクラウドベースソリューションを提供するVeevaと、戦略的パートナーシップを締結。Adobe Marketo EngageとVeeva CRMを連携し、マーケティング活動と営業活動を連携することが可能になりました。
これらの点が評価され、アドビのツールはアステラス製薬をはじめとするさまざまな製薬会社に導入されています。

アステラス製薬がAdobe Experience Cloudを採用した件については、下記の記事で詳しく説明しています。

アドビニュースアステラス製薬がAdobe Experience Cloudを採用し、医療関係者向け情報サイトを刷新

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MAで製薬業界のマーケティング課題を解決しよう

コロナ禍やMRの規制強化をきっかけに進んだ製薬業界のデジタルシフトは、ますます勢いを増していくでしょう。
今後は、web上でいかに多くの医師と接点を持ち、適切な情報発信で興味関心を高めていくかがカギになります。効率的かつ効果的なマーケティングのために、MAの導入を検討しましょう。

Adobe Marketo Engageについて、さらに詳しい情報は、下記から無料でダウンロードできる当社のeBookをご覧ください。

Adobe Marketo Engageアプリケーション概要

現代の複雑なバイヤージャーニーをシンプルにする、Adobe Marketo Engageの機能とメリットをご紹介しています。

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