リードナーチャリングとは-見込み顧客を育てる方法とその事例

近年、インターネットの発展に伴い、ユーザーの商品検討期間が長期化するようになりました。簡単には商品の購入を決定せず、まずはSNSや口コミから情報収集をするような行動が見受けられるようになっているのです。

そこで注目されているのが「リードナーチャリング」の手法です。

顧客に寄り添った形で情報を提供し、将来的に顧客となってもらうことを目指したこの手法は、BtoBや不動産などの高額商材など、検討期間がより長くなる傾向にある業界に注目されています。

今回はこの「リードナーチャリング」について、初めての人でもわかりやすいように概要をまとめ、実際の事例と実施のポイントまでまとめてみました。

BtoB企業の方はもちろん、新たな顧客獲得方法を模索している人も是非チェックしてみてください。

リードナーチャリングとは?

リードナーチャリングとは、一言でいうと「見込み客を育成」することです。リードジェネレーションによって獲得した見込み客を育成することにより、将来的な購買につなげるためのマーケティング活動を指します。

これまでの営業手法は、展示会やテレアポを実施して、見込みとなりうる顧客に対して個別にアプローチしていく「プッシュ型」の方法がメインでした。ただこの方法はアプローチの範囲が狭まってしまうという問題があり、また、アプローチにも人員を多く割く必要があるため、非効率になりやすい面がありました。

一方でリードナーチャリングでは、将来的に顧客となる見込みのある層に対して、ウェブ上で情報を発信したり、定期的にメルマガを届けたりなど、中長期的に関係を作っていくことに主眼を置きます。これにより、自社サービスや商品への購入意欲を高め、将来的な顧客になってもらうことを目指します。

この手法は、類似の顧客に対して一斉に情報を届けることができ、また「プル型」でもユーザーに商品を購入してもらうことができるようになるため、効率的な営業活動が可能になります。

リードナーチャリングとは中長期的な関係構築のイメージ図
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※参考e-book:リードナーチャリング完全ガイド

なぜリードナーチャリングの重要性が高まっている?

なぜリードナーチャリングが注目されているのか、それには大きく3つの理由があります。

1.購買プロセスが長期化・複雑化している

近年のインターネットの発展やソーシャルメディアの普及に伴い、ユーザーは多くの情報を手に入れるようになりました。その結果、ユーザーは時間をかけて商品を検討するようになり、購買行動が長期化するようになりました。BtoBや住宅など、単価が高いものはより顕著にその傾向が見受けられます。

また、購買行動も複雑になっています。例えば、店頭で見た商品をSNSで評判をチェックして、そのあと比較サイトで価格を比較し、さらに知り合いに評判を聞くなど、複数のチャネルを行ったり来たりして、商品を検討します。

※参考記事:オムニチャネルを成功させるための4つのポイント

もはや、これまでのように企業の営業担当がすべての顧客をフォローして営業をかけていくことは不可能になってきました。
そんな中、中長期的に顧客を育成することを仕組化し、効率的なフォローができるようになるリードナーチャリングの手法が注目されるようになってきたのです。

2.保有している資産を活用できる

実は、多くの企業は展示会やセミナーで集めた「何百、何千」という数の名刺を保有しています。本来であれば、こうした情報は見込み顧客の情報として活用されるべきですが、営業マンが個々人で管理していたり、そもそも十分に管理されていなかったりと、全社的に活用されることは稀でした。

そうした隠れた「資産」を活用して、将来的な顧客として育てていこうとしたときに注目されたのがリードナーチャリングの手法です。

3.接触回数を増やすほど、親近感を感じてもらいやすくなる

有名な心理効果に「ザイオンス効果」というものがあります。これは、人は何度も目にしたり、耳にしたりしたものに対しては好感を抱きやすくなるという心理効果です。
皆さんも、何度も送られてくるメールマガジンに対して、何度も目にするたびにだんだん気になってきてしまったことはないでしょうか。

そうした心理効果を引き出すことができるのがリードナーチャリングです。中長期的にコミュニケーションをとり続けることによって、ユーザーは好感を抱いてくれやすくなり、その結果、商品を購入してくれる可能性を高めることができるのです。

リードナーチャリングを実施するための8ステップ

それでは、具体的にどのようにリードナーチャリングを実施していくのか、そのステップを8つにわけて紹介していきます。

1.リードの収集作業

まずは展示会やセミナー、営業が個人で獲得した名刺や連絡先を一か所に集めます。Webサイトの中に無料ダウンロードの資料やサンプル申し込みのフォームがあり、そこでユーザーの個人情報を取得していれば、それもリードとして集約します。

社内の中で埋もれているリードは意外と多いため、最初の段階でしっかり収集してまとめていきましょう。

2.ツールの導入

リードナーチャリングを実行するためにシステムを導入し、集めたデータをツール内のデータベースに蓄積していきます。例えば、マーケティングオートメーション(MA)を導入すれば、オンライン・オフライン、複数のチャネルを超えたデータの連携が非常に楽になります。

3.「オンライン上の活動」のデータを収集する

ユーザーの情報は、名前や住所、連絡先だけではなりません。
ユーザーがどのようにサイト上を動いているか、何回サイトを訪問しているのか、などもリードナーチャリングを実施していくうえでは重要な情報です。こうした情報も無料のツールではGoogle Analytics、利便性の高いツールとしてはMAを導入することが考えられます。

「オンライン上の活動」のデータを収集する収集できる活動データのイメージ
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4.セグメンテーションを行い、ナーチャリングする対象を決める

商品やサービスを販売する対象の全体像が見えてきたら、その顧客を例えば、業界や業種、会社の規模などでセグメントします。
これにより、顧客に合った施策、例えば業種に特化したメールマーケティングが打てるようになります。

※セグメンテーションについて触れた参考記事:マーケティング戦略の立て方と実践例
※メールマーケティングに関する参考e-book:エンゲージメントを高めるメールマーケティング完全ガイド

5.顧客のニーズを把握する

ナーチャリングする対象を決めたら、次は顧客のニーズの把握です。どのような背景をもって、どんな悩みを持っているのかを把握します。具体的な手法としては、セグメント内の顧客へのインタビューや行動観察、営業パーソンへのヒアリング、Google AnalyticsなどWeb上の行動履歴から洞察したり、リサーチを行うなどして、次の⑥のシナリオ作成につなげていきます。

6.ニーズに基づきシナリオとコンテンツを作成する

ニーズが把握できたら、そのユーザーに商品を購入してもらうため、実際にどのようなプロセスで購入をされているのか、を知る必要があります。

その際に有効なのがカスタマージャーニーマップの作成です。カスタマージャーニーマップとは、顧客の行動や心理状態を時系列的に可視化したものを指します。これにより、顧客と商品とのタッチポイントや、何をきっかけとして関心を持ち始めるのかを見える化できるため、どのような施策をどのタイミングで打つべきかが考えやすくなります。また、社内でバラバラになっていた顧客接点の認識を統一させるためにも有効です。

ユーザーのシナリオが把握できたら、実際にどのような施策を打っていくかを考えますが、手法の代表例としては下記のものが挙げられます。

手法例:メール、電話、イベント、DM、Webサイト、Web広告、ブログ、SNS、動画、スマホアプリ

上記の中で、どれが有効な手段かを判断するにはカスタマージャーニーが大いに参考になります。例えば、スマホでニュースサイトを閲覧していることが購入のきっかけになる人が多い場合は、動画広告を出稿したり、またはサイト内で記事を作成してユーザーを啓蒙することなどが考えられます。

7.スコアリングでユーザーの確度を見極める

次に、6で作成したカスタマージャーニーマップをもとに、ユーザーの「スコアリング」を行います。これは主にMAを利用した際に使える手法ですが、

  • メールマガジンを開封したユーザーを10点
  • メルマガ内のリンクをクリックしたユーザーを20点
  • さらに資料をダウンロードしたユーザーを30点

など、ユーザーがどういった行動をとったかに応じて、スコアをつけていきます。

これにより、同じスコアリンググループのユーザーに対してコンテンツの提供ができるようになるため、効率的なコミュニケーションを実施することができます。

8.インサイドセールスでアポを獲得する

インサイドセールスとは、直接顧客を訪問するのではなく、電話、Eメール、ウェブ会議などを利用して内勤型で行う営業のことです。
これまでは直接訪問することが主流でしたが、時間や距離の問題など、営業マンの対応範囲に限界がありました。そこでインターネットを活用することにより、移動時間を短縮しながら、遠方の顧客への営業が可能になるインサイドセールスが注目されています。

スコアリングの中で一定のスコアを超えた顧客に対して、インサイドセールスが架電。効率的に営業商談につなげていきます。

※当社でのインサイドセールスの役割に関する参考記事:マルケトにおける"インサイドセールスチーム"の位置付けについて

リードナーチャリングの成功事例

ここからは、リードナーチャリングを成功させた事例を2つ紹介します。

1.営業とマーケティングチームの連携に成功 Oktopost社

営業とマーケティングチームの連携に成功 Oktopost社

BtoBのソーシャルマネジメントプラットフォームを提供しているOktopost社は、営業とマーケティングチームの連携に苦戦をしていました。当時はマーケティングチームがメールキャンペーンなどのすべてのリードナーチャリング活動を管理しており、その情報を逐一営業チームに手動で伝えていました。しかしその手法には多くの無駄があり、正確な情報を伝えられていない可能性もありました。

そこでMAを導入してユーザーの確度をスコアリング。その情報を営業チームに随時共有することにより効率的な営業活動を実現しました。

また、MAを活用してメールキャンペーンを実施し、開封率50%を達成させるなど、メールマーケティングでも大きな成果を上げています。

2.密度の高いコミュニケーションを実現 株式会社IDOM

密度の高いコミュニケーションを実現 株式会社IDOM

旧名ガリバーインターナショナルの同社は、「Gulliverブランド」で中古車買取販売実績No.1を誇っています。ただ、顧客が店舗に来店した後のフォローに課題を抱えていました。

そこで、当社の「Marketo」を導入し、来店後から2週間にわたって、後追いのステップメールを配信する取り組みを開始。開封やクリックなどのお客様のリアクションを把握できるようになり、一度、来店されたお客様とのより密で精度の高いコミュニケーションが可能になりました。

その結果、後追いメールを実施している店舗とそうでない店舗の間に営業の受注率に2倍の開きが生まれるなど、売上に大きなインパクトを生んでいます。

まとめ

私たちが一日に触れる情報量は膨大になりましたが、触れた情報が自分にとって有効なものかどうかを判断することは、決して容易ではありません。

そのため、ユーザーのタイミングや状況に合わないマーケティングメッセージは、雑音としてますます無視されるようになっていきます。その一方、パーソナライズされた顧客体験は、「判断を容易にする」というメリットがユーザー側にあり、これからの時代のマーケティングで必須の要素になっています。

こうした社会変化の中で、潜在的な顧客のニーズをつかむリードナーチャリングの方法は、ユーザーの本来の購買行動に寄り添ったものだといえ、今後の新規顧客獲得、既存顧客との関係深耕にも有効な手法です。ハードルの高さを感じている人は、まずは眠っている顧客情報をまとめ、データベースとして溜めていくことから始めてはいかがでしょうか。

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