マーケティング入門

2021.05.28

ファネル分析とは?基礎知識や活用の注意点、成功事例を紹介

「ファネル分析」とは、マーケティングにおける分析手法のひとつです。「商品を購入する」「サービスの申し込みをする」「資料の請求をする」など、各企業がそれぞれ設定したコンバージョン(CV、最終的な成果)に至るまでの顧客の行動プロセスを分解し、CVにつながる顧客の購買行動、およびCVに至らなかった顧客が離脱するプロセスとその離脱率を測定して改善を図ります。

目次

「ファネル」は、液体や粉末を小さな容器に注入したり、ろ紙を使って濾過したりするときに使われる円錐状の器具「漏斗(ろうと)」のこと。この形が購買プロセスごとのユーザーの意識と人数の変化を示した図に似ていることから、前出の分析方法をファネル分析と呼ぶようになりました。

マーケティングを行う上で、何をコンバージョンとして設定するかは非常に重要なポイントです。いかにしてコンバージョンを向上させるか、日々頭を悩ませているマーケティング担当者は多いでしょう。
ここでは、ファネル分析の基礎知識から活用方法まで、総合的に解説します。

ファネル分析を行うメリット

初めに、ファネル分析を行うメリットを整理しておきましょう。

ユーザーの購買行動から、離脱しやすいプロセスがわかる

ファネル分析では、コンバージョン(購入や契約といった目標)に至るまでの見込み顧客の行動を図式化し、各プロセスにおける離脱率を測定します。最も離脱率が高いプロセスをボトルネックとして検証し、優先的に施策を実施して状況を改善することにより、コンバージョンに至るユーザーを効率的かつ迅速に増やすことができます。

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ペルソナの設定に役立つ

ペルソナとは、自社が理想とする顧客を、具体的な人間像として表したものです。例えば、「神奈川県在住で新橋に勤務する30代の既婚男性。1歳の子供がおり育児に積極的で、なるべく定時に退社するようにしている」といった形で設定します。
大量生産・大量消費の時代のマスマーケティングから、多様化するユーザーの要望に対応するセグメントマーケティングへと移行するにつれ、ペルソナの設定が重視されるようになりました。
ファネル分析を活用し、購買プロセスごとのユーザー心理の移り変わりを考えることによって、より現実に即したペルソナを設定することができます。

CVR(コンバージョン率)が向上する

ファネル分析の最終的な目的は、コンバージョンに至るユーザーを増やすこと。データを基にペルソナを設定し、製品やサービスの企画や販売方法、購買までの各プロセスを最適化できれば、必然的にCVRの向上につながります。

ファネルの種類

ファネルには、大きく分けて「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」「ダブルファネル」の3つの種類があります。続いては、この3つのファネルについてご説明します。

パーチェスファネル

パーチェスファネルとは、ユーザーが商品やサービスを認知してから購買に至るまでの心理変化を示す「AIDMAモデル」から生まれた考え方で、マーケティングにおける「ファネル」として広く認識されているものです。

AIDMAモデルとは、ユーザーの購買までの流れを「Attention(認知)」「Interest(興味・関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」の5つに分類し、それぞれの頭文字を取ったもの。1920年代にアメリカのサミュエル・ローランド・ホール氏が提唱した消費行動モデルです。

パーチェスファネルを使う場合、初めに自社サイトの目的に合ったコンバージョンを設定します。

    <コンバージョン例>
  • 商品を購入する
  • 会員登録を完了する
  • 資料請求する
  • イベントに申し込む

ここでは、商品購入を最終的なゴールと仮定して、コンバージョンファネルを考えてみましょう。

コンバージョンファネル

このように、商品を認知してから購入に至るまでのプロセスを経るごとに、ユーザーの数が絞り込まれていく様子がわかります。

なお、ゴールをコンバージョンに設定していることから、パーチェスファネルはコンバージョンファネルとも呼ばれます。

パーチェスファネルに関連した情報は、以下の「パイプラインマーケティング完全ガイド」にも掲載しております。是非ご覧ください。

パイプラインマーケティング完全ガイド

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インフルエンスファネル

インフルエンスファネルとは、コンバージョン後のユーザーの行動を図式化し、分析するモデルです。近年、購入した商品やサービスのレビューをSNSなどでシェアするユーザーが増え、一人ひとりのインフルエンサーとしての影響力が高まったことから、コンバージョン後の行動が重視されるようになりました。

インフルエンスファネルは、インターネットの普及に伴う消費行動の変化を受け、「AIDMAモデル」に変わる形として電通が提唱した「AISAS」に近い考え方です。
AISASとは、消費者の購買までの流れを、「Attention(認知)」「Interest(興味・関心)」「Search(検索)」「Action(行動)」「Share(共有)」の5つに分類し、それぞれの頭文字を取ったものです。コンバージョンである「Action」の前に「Search」、後に「Share」が入るのがAIDMAモデルと大きく異なります。

ここでは、購入した商品やサービスのレビューを発信することを最終的なゴールと仮定して、インフルエンスファネルを考えてみましょう。

インフルエンスファネル

このように、購入したユーザーがその経験を共有し、拡散することによって、次第にユーザー数が増えていっていることがわかるでしょう。
BtoBビジネスにおいてもカスタマーサクセスという組織が注目を集めており、インフルエンスファネルの考え方が重要になってくることでしょう。

ダブルファネル

ダブルファネルとは、コンバージョンファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたものです。
商品を購入した既存顧客が拡散した情報によって新規顧客を獲得する、プラスのループを目指しています。

ダブルファネル

このように、パーチェスファネルで絞り込まれたユーザーが自社の商品やサービスのファンになり、周囲に「良いものがあるよ」「使ってみて」と紹介することによって、新規ユーザーの認知が高まっていることがわかります。

ファネル分析をする際の注意点

ファネル分析をする際には、いくつか注意すべき点があります。ここでは、代表的なファネル分析の注意点を3つご紹介します。

市場のニーズを把握する

ファネル分析を行う際は、市場にニーズがあることと、ファネル分析の対象となる商品やサービスがそのニーズに合致していることが前提となります。そのため、最初に市場のニーズを把握する必要があります。ニーズがなく、比較対象となる優れた商品もない市場でファネル分析を行っても、コンバージョンの向上は見込めないからです。
まずは市場を見直し、必要に応じて再定義を行って、ニーズに合った商品やサービスを企画することから始めましょう。

複雑なプロセスを設定しない

ファネル分析を行う際は、複雑なプロセスは設定しないようにしましょう。
最初から複雑なプロセスを設定すると、プロセスごとの施策の準備が負担になります。最初はシンプルで単純なプロセスからスタートして、改善の様子を見ながら少しずつ見直していくことをおすすめします。

BtoCには適さない可能性がある

ファネル分析は、BtoCに適さない可能性があることを把握しておきましょう。
ファネル分析は、ユーザーの購買行動を購買まで一直線に向かう画一的なものとして定義しています。しかし、実際のユーザーが物を購入するまでの行動や心理は非常に多彩で、ひとつのモデルにあてはまるものではありません。
例えば、ソファを購入するために情報を収集していて、そこからテーブルの情報に遷移し、いろいろな家具を見比べてからようやくソファを購入した...といった経験がある人は多いでしょう。
購買の意思決定がなされた後は一直線に購買へと進んでいくBtoBビジネスに比べて、ユーザーの興味・関心が頻繁に移り変わるBtoCビジネスでは、ファネル分析によるコンバージョンの最大化が図りにくいといえます。BtoCにおける顧客の意思決定プロセスを分析する際には、複雑な顧客の心理状況を踏まえて、カスタマージャーニーマップの設計など、ほかの手法も検討しましょう。

ファネル分析の活用方法

ファネル分析の特徴を踏まえて、実際の活用方法について考えてみましょう。
例えば、ECサイトの場合、ユーザーは購買に向けて下記のような行動をとると考えられます。

    <ECサイトにおけるユーザーの購買行動>
  1. サイトを訪問する
  2. サイト内の商品一覧ページで商品を探す
  3. 気になる商品の詳細ページに飛び、見た目や機能などを詳しく調べて比較検討する
  4. 商品をカートに入れる
  5. 商品を購入する

このプロセスをファネルにあてはめ、次のステップに進んだ人数を集計します。

    <購買行動をファネルにあてはめた例>
  1. サイトを訪問する(100人)
  2. サイト内の商品一覧ページで商品を探す(70人)
  3. 気になる商品の詳細ページに飛び、見た目や機能などを詳しく調べて比較検討する(30人)
  4. 商品をカートに入れる(20人)
  5. 商品を購入する(10人)

すると、下記のようなことがわかります。

  • 商品一覧から詳細ページへ移動する前に、半数以上の人が離脱している
  • 一覧ページで気になる商品を見つけられなかった人が多い
  • カートに商品を入れたが、購入しなかった人も半数いる

このことから、一覧ページの見せ方や商品ラインナップ、カートに入れてから購入までの遷移のしやすさといったところに課題があるのではないかという予測が立ち、適切な施策を打つことができるようになります。

ファネル分析にMAを活用しよう

ファネル分析を効率的に行うには、MA(マーケティングオートメーション)の導入がおすすめです。
MAは、マーケティング活動を簡素化・自動化するツールで、BtoB、BtoCを問わず、多くの企業で活用されています。MAの主な役割は次の3つです。

・顧客情報の収集・蓄積
顧客の属性や行動情報などを一元的に管理することによって、セグメントを容易にし、適切なタイミングで顧客にアプローチすることができるようになります。

・見込み顧客の育成
見込み顧客との商談履歴や購買履歴、オンライン・オフラインでのコミュニケーションを踏まえた提案で、長期的な信頼関係を構築します。

・マーケティング施策の分析
マーケティング活動の中で売上に貢献している部分はどこか、どのくらい投資対効果があったのかといった点を可視化し、次の施策に活かします。

ファネル分析を行う場合、プロセスごとに具体的な数値をあてはめて正しいデータを導き出すことが重要ですが、こうした作業には非常に手間と労力がかかります。MAを使うと、数値の収集はもちろん、顧客行動に基づいた最適なアプローチまでを自動化して、ファネル分析を容易に行うことができます。

MAを提供している企業では、それぞれのニーズに合ったMAの活用を実現するため、コンサルティングサービスやサポートサービスを実施しています。導入フェーズから、基本的なオペレーションが社内で完結できるようになるまでは、こうしたサービスを活用するのもおすすめです。
アドビ株式会社が提供するMA「Marketo Engage」でも、コンサルタントがさまざまなケースに対してスムーズな立ち上げを支援するほか、オプション機能の提供などを行っています。

MAについては、下記のページでも詳しくご説明しています。

マーケティング入門MA(マーケティングオートメーション)とは?基礎知識や事例を紹介

記事を見る

Marketo Engageの「リサイクル」の概念で、時代に合った分析を

ここまで見てきたように、ファネル分析はマーケティング分析の代表的な手法のひとつであり、現在でも多くの企業が活用しています。
一方で、ファネル分析の限界を指摘する声があるのもまた事実です。2015年にはGoogleのアビナッシュ・コーシック氏が、「マーケティングファネルは死んだ」と発言して話題になりました。
なぜ、ファネルには限界があるのでしょうか。

それは、ファネルが示すように、見込み顧客が一直線に受注やロイヤルカスタマー(競合へ流れない優良顧客)へと進んでいくことはほとんどないからです。消費者の行動が多様化した現代では、誰もが「認知」をきっかけに見込み顧客になるとは限りませんし、比較サイトのレビューが低評価であれば購買意欲が落ちるかもしれません。

そこで重要なのが、「リサイクル」のステータスを設けて循環型のプロセスを作ることです。
Marketo Engageでは、検討段階にない休眠・滞留リードや、失注したリードなどをリサイクルのステータスとして、別ステージで管理します。これによって、下記の2つの効果が見込めます。

    <リサイクルステータスの活用効果>
  • 蓄積されていくリードに影響されることなく、マーケティングから営業へのプロセス遷移を正確に把握できる
  • 再商談化の見込みがあるリサイクルリードを継続的にフォローすることで、新規コストをかけずにマーケティング成果を向上させることができる

ファネル分析だけに頼らず、リサイクルのステータスを活用した循環型の分析を取り入れて、時代に合ったマーケティングを実施しましょう。

ファネル分析を活用した成功事例

Marketo Engageを導入した企業の中から、ファネル分析を活用した成功事例をご紹介します。

学習サービス「PyQ(パイキュー)」が、離脱リードを有料会員へ転換

Pythonを主言語とするシステム開発事業をはじめ、Pythonのプログラミング教育事業、技術書執筆・監修事業などを展開する株式会社ビープラウド。同社の初めてのBtoC事業として2017年4月にスタートしたのが、webブラウザで学べるPythonオンライン学習サービス「PyQ(パイキュー)」です。

専任の営業担当者を置かず、エンジニアがすべての打ち合わせを行う同社では、PyQのセールスでも開発陣が率先してマーケティングの勉強会やデータドリブンの環境構築などを実践。MAの必要性にも早くから着目しており、PyQのスタートから1年が経った2018年5月に「Marketo Engage」を導入しています。

Marketo Engageのコンサルティングを受けながら作業を進め、収益サイクルモデルの構築に着手する中で可視化されたのが、リードの遷移段階におけるボトルネックの存在です。ファネル分析を高度化した「ライフサイクル分析」を行った結果、無料試用のためのID登録の際、クレジットカード情報を登録する段階で1,200名にも及ぶユーザーが離脱していたことがわかったのです。

そこで、無料試用を検討するプロセスのユーザーに向けて2通のメールを配信する施策を実施しました。

1. ID作成が未完了であることを伝えるメール
ID作成まで進んだものの、クレジットカード情報の登録を後回しにしていた人への注意喚起。

2. 無料体験プランを紹介するレコメンドメール
ID作成から1週間後に無料体験プランを紹介。存在を思い出してもらうとともに、クレジットカード情報の登録に対する抵抗感を下げるため、「無料体験中は課金されない」旨を明文化した。

この2つの施策が奏功し、1,200件の離脱リードから240件の有料会員への転換(リサイクル)に成功。その後も継続的に施策を続けることによって、離脱リードのリサイクル率1%をキープしています。

導入事例:ビープラウド早期の収益サイクルモデル構築で、売り上げ向上に貢献

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「さくらインターネット」が部門間のボトルネックを解消し、案件化数を40倍に

1996年、インターネットの黎明期に創業したさくらインターネット株式会社。データセンターサービス、サーバーホスティングサービス、クラウドサービスなど、幅広くコンピューティングリソースを提供しています。

さらなる成長を目指して新規顧客開拓を進めていた同社では、2018年11月に従来のMAを「Marketo Engage」にシフト。新規と既存顧客の混在、リードの精度の低さ、獲得・育成したリードの1ヵ月以上の放置により、見込み案件が逸失している状態を改善するために導入しました。
さらに、より良い組織づくりにもMAを活用。共通のミッションやゴールがないことがマーケティング部と営業部の連携不足につながっていると考え、「MAを活用して新規訪問の成功例を作る」という共通のミッションを掲げ、新規顧客開拓に取り組みました。

その結果、本格運用の開始から1年弱で、営業部側の優先度が低く、マーケティング部での育成が活かされていなかったMQL(マーケティング担当が創出する温度の高い見込み顧客)への対応が大きく変化。平均して34.9日かかっていた対応完了までの日数が4.8日に短縮され、対応完了率も76.3%と大幅に向上しました。

インサイドセールス部門も発足した現在では、1〜2日での対応完了も増えており、MQLからの案件化数は40倍に増加しています。

導入事例:さくらインターネット組織間のボトルネック解消で"未来の売上"を創造

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ファネル分析で、早期にボトルネックを改善しよう

積極的にマーケティングに取り組む企業は増えていますが、「実は、効果が出ているのかよくわからない」「どうすればコンバージョンにつながるのか、手探りで施策を展開している」といったケースは少なくありません。ファネル分析を行うと、コンバージョンに至るまでに何がボトルネックになっているのかが明らかになり、意味のある施策を必要なところに対して、確実に実施することができます。 一元管理している顧客情報を各フェーズに自動的にあてはめられるMAも活用しながら、適切なファネルを設定して効果的なマーケティングを行いましょう。

アドビ株式会社が提供するMA「Marketo Engage」は、事業規模を問わず、あらゆる規模、業種の企業で幅広く採用されているマーケティングプラットフォームです。マーケティング業務の効率化はもちろん、購買プロセスの分析や効果測定も支援しています。「自社に最適なマーケティング指標を知りたい」「経営陣にマーケティングの成果を報告するために、施策の効果を測定したい」という方は、下記ページにある無料のガイドで、マーケティング指標の選び方や分析手法などをご確認ください。

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