2017年6月14日(水)に開催した「MARKETING NATION パートナーカンファレンス 2017 Summer」。4月にサンフランシスコで開催された「The Marketing Nation Summit」の情報をアップデートしていただくとともに、パートナー様のビジネスのヒントになるような情報提供の場をご用意しました。今回はその中から「The Marketing Nation Summitの参加者によるパネルディスカッション」の模様を、前・後編に渡ってお届けします。

<パネラー紹介>

シンフォニーマーケティング株式会社
代表取締役 庭山 一郎氏

1990年9月にシンフォニーマーケティング株式会社を設立後、数多くのマーケティングプロジェクトを手がけた。97年にBtoBにフォーカスした日本初のマーケティングアウトソーシング事業を開始。各産業の大手企業を中心に国内・海外向けのマーケティングサービスを提供している。

2BC株式会社
代表取締役社長 御手洗 友昭氏

2004年日本ヒューレット・パッカード株式会社に入社後、製造業向けのソリューション営業に従事。06年株式会社リクルートに入社。営業個人やプロジェクト・組織マネジメントの功績として10回以上の四半期MVPを受賞した。14年2BCの設立と同時にクライアントサクセスマネージャーとして参画。

株式会社ビジネス アソシエイツ
代表取締役 横山 彰吾氏

1991年 株式会社ブリヂストンに入社し営業を経験した後、日系・外資系大手コンサルティング会社にて、営業・マーケティング、CRM領域で数多くの改革プロジェクトを経験。2007年に株式会社ビジネス アソシエイツを設立し、代表取締役就任。大手企業を中心に、CRM/MAに特化したサービスを提供している。

<モデレーター>

株式会社マルケト
ビジネス開発本部 ディレクター 安竹 由起夫

日本と米国のマーケティングの差はどれくらい?

安竹:まずはサンフランシスコで行われた「The Marketing Nation Summit」の全体的な所感をお聞かせいただけますか。

庭山:規模が大きくなり、すごく注目されているというのが印象的でした。最近ではマーケティングエージェンシーのトップがイベントに参加するのは珍しいのですが、みなさん経営陣が一新したMarketoの動向をチェックしに来場されていた。新CEOのSteve Lucasさんのキーノートもとても評判がよく、「すごい経営陣を揃えたね」という賞賛の声が聞かれましたね。



シンフォニーマーケティング株式会社
代表取締役 庭山 一郎氏

御手洗:日本からの参加者も多かったですよね。日本から参加された方に聞くと、米国の最新のマーケティング事情がおもしろかったということでしたが、私がインスパイアされたのはマルケト社自身のメッセージです。今回、印象的だったのは"マーケティング"という言葉をあまり使わなかったということ。エンゲージメントエコノミーでリードするための3つのルールとして「Listen:オーディエンスに耳を傾ける / Learn:学習する / Inspire:インスピレーションを与える」という話がありましたが、最終的には「ブランドのアドボケーターを作ろう」という話で一貫していたところが興味深かったです。



2BC株式会社
代表取締役社長 御手洗 友昭氏

安竹:そうですね。「既存のお客様をアドボケーターにするところに予算を使いなさい」という話が結構ありましたね。横山さんはいかがですか?

横山:私もお二方と同様、マルケトの姿勢に共感したのですが、全体的に米国は日本より2年くらい先を行っているなという印象を受けました。私は企業のマーケティング機能をどう改善していくかというコンサルティングをしていますが、今、私たちが直面している課題を米国ではもうとっくに経験済みなんだなと。米国ではすでに組織も変化し、グローバルの体制ができあがっている。全然レベルが違うなと思いました。



株式会社ビジネス アソシエイツ
代表取締役 横山 彰吾氏

庭山:私は普段、日本は米国より15年遅れていると言っています。ツールはだいたい米国と同じものが日本でも手に入るんですよ。海外のマーケティングエージェンシーと遜色ないサービスを提供できているという自負もあります。ただ問題は、企業のマーケティング担当者のキャリアや教育制度といった環境がまったく違うので、この差は埋めがたいものがありますよね。

御手洗:テクノロジーは2年遅れくらいだと思いますが、マーケター自身のスキルはむしろ日本の方が先を行っているのではないかと。しかし、事業部制の壁を壊せない、また人事考課制度が即したものになっているかなど、文化的な側面から見ると15年の開きがあると感じています。

安竹:組織的な違いについてもう少し伺いたいのですが、横山さんはどんなところで日本と米国のレベルの差を感じましたか?

横山:日本では1人3役とか4役といった感じで、片手間にMAを使われている方が多い印象です。一方、米国ではMAを使う上で必要なスキルが明確化されていて、マーケティング組織の中でも専門化しつつあるところですね。2年にしろ15年にしろ、とにかく遅れているという感覚だけは強く持っています。

御手洗:日本では事業部制の壁を乗り越えるというのが、まずネックになりますよね。事業部同士がいがみ合っているときに、カリスマ性を持って仕切れる経営者がいない。事業部の垣根を越えて、一つのアカウントを全員で見られている企業が、どれほどあるでしょうか。

横山:全体的に、日本企業は決断と行動が遅いですよね。Summitのセッションの中でマーケティング組織の話があったのですが、米国では組織内でオフェンス系とディフェンス系に分かれているんだそうです。オフェンス系はお客様起点で新しい施策をどんどん考えて、ディフェンス系は企業目線で失敗を防ぐ。日本で何か新しいことをしようとすると、「こんな悪い影響が出るのではないか」と、真っ先にネガディブな思考回路に陥りがち。つまり、みんながディフェンスなんです。このバランス感覚の欠如が、米国との差を生み出す一因になっているのではないかと見ています。

安竹:ちなみに庭山さんは米国のCMOと多くのコネクションをお持ちのようですが、どうやって広げられたのですか?

庭山:米国にも1人で行くことが多いんですが、そうすると、向こうで友達を作るしかない。名刺交換をして「今度、オフィスに遊びに行くよ」というと、社交辞令で「ぜひ」って言ってくれる。それで次に米国へ行くときにアポイントを入れて、本当に行っちゃうんです。「本当に来たんだ!?」とビックリされますが(笑)、みなさん快く歓迎してくれます。

安竹:日本でも、そういった客人をフランクに受け入れる体制があるといいですね。

つづきは後編をご覧ください。