前編で、グローバル企業である同社の各地域のMarketo担当者には、各種アワードのホルダーが在籍していることに触れましたが、実は日本のMarketo担当者の2人も、輝かしい受賞ホルダー、資格の持ち主でもあります。

山田氏はMarketoユーザー全体の活用促進、サービス向上に貢献したユーザーを四半期ごとに受賞する「Quarterly Awards(四半期アワード 2016年度 第3期7~9月)」を受賞。松井氏は、試験を経て、Marketoの活用能力と運用知識、および専門知識を証明するマーケティングの専門資格「Marketo Certified Expert(MCE)」を取得しています。

こうした資格やアワードは、当社が提供するエコシステム「Marketing Nation」の一環であり、単純にマーケティングツールを使えるだけでなく、マーケターとして自己研さんに努め、自分なりのバリューの発掘・パフォーマンス向上、さらにはユーザーコミュニティの活性化などに努めているからこその結果です。

ここからは、マーケターにとってのロールモデルともいえる2人のマーケティングに対するこだわり、大事にしているコンセプト、独自の学びのスタイルについてもご紹介していきます。

マーケティングは学習から多くの"気づき"を得るべし

まず、山田氏がこだわりの第一のポイントとして挙げてくれたのが、「Marketo運用管理者として心掛けている学習のバランス感」についてです。

マーケティングオートメーション(MA)を適切に活用し、マーケティング業務をしていく上で、実践的な経験値がモノを言うことは言うまでもありません。ただし、それだけでは不十分。山田氏は、その土台として、マーケティングそのものの勉強の重要性を指摘します。

山田氏が重視するバランス感としては、100%のうち50%が「BtoBマーケティングの学習」、残りの25%ずつを「Marketoに関するツールなどの習得」「MA以外のテクノロジーの情報・知識の習得」に充てているといいます。

Marketoに関する習得については、独学による勉強に加え、前編でも触れたように「導入当初から、グローバルのメンバーとの情報・意見交換を通じ、レベルの高いところからスタートできたのが大きかったです」と指摘。

テクノロジーについても、Marketoとさまざまなシステムの連携、プラットフォームの最適化をはかっていく上で幅広い知識が必要となります。

たとえば、Web関連ならHTML、CSS(スタイルシート)、Java Scriptの習得を基本に、広告プラットフォームとしての知識、データ解析に活用するBIツールやデータベースのラーニングなど。

「B2Bマーケティングにおけるテクノロジーの分野で、日本は残念ながら相当遅れている。他方で生産性を向上できる機会も多い」とし、ここでもグローバルのメンバーとのやりとりが、新たなテクノロジー情報の貴重な入手ソースとなっているといいます。

では、山田氏が最も重視しているというマーケティングの勉強については、どう取り組むべきか。

ここで2人の口から飛び出した二つ目のアドバイスが、「マーケティングの理解を深めるには、ぜひ学術的な書籍にチャレンジしていただきたい。ただし1冊読んで理解できなくても気にせず、乱読がオススメです」といいます。

山田氏はマーケティングに限らず、ファイナンス、法律、テクノロジー関連など仕事に関係する書籍を、年間200~300冊は読破するという読書家。そこまで貪欲に学ぶ理由として、前職でグローバルに活躍する海外のマーケターと仕事を共にした経験を挙げます。

「北米の一線で活躍している人たちは、とにかく勉強熱心。業務に関する知識としてコンピュータなどの勉強は人並みにやっているつもりでしたが、20代のころ頃に思い知らされたのが、マーケティングに関しては彼らと比べて、あまりにも知識が足りない。自分の勉強不足を痛感させられました」と明かします。

仕事をしようにも、会話さえ成立しない。

こうした逆境を経て奮起。独学で和書、洋書問わず、かたっぱしから本を読み、勉強をスタート。今も、新たな情報、知識の習得に余念がありません。

松井氏も、元々、情報収集に積極的に取り組むなか、山田氏が勧める実用書や学術書にもトライ。「正直、最初はちんぷんかんぷんで、通勤途中に電車で読んでいても、すぐに眠たくなってしまって......(笑)」と振り返ります。

けれど、ここであきらめたり、その1冊に固執したりせず、「理解できなくても気にせず、別の本をどんどん読んでいくうちに、次第に『そういうことだったのか!』という新たな気づきを得るようになってきたんです」と語ります。

「実際、論文形式の文献や、骨太の書籍には理解のハードルが高いものも多数。けれど、複数の本に数多く触れていくなか、最初は難解だった本が、ある時からスルッと頭に入るようになっていくものです」と指摘。

こうした積み重ねが、マーケティングに関する知見の蓄積にもつながっていくといいます。

1回作ったメールの文章を一晩寝かせ、冷静な頭で読み返す

三点目のポイントとして、松井氏が挙げるのが、「いくらツールが進化しても、相手は同じ人間であることを忘れないこと」。長くメールコミュニケーションに従事してきた松井氏ならではの意見です。

マーケターとしては、もちろん成果を挙げていくことが大事。しかし、その思いが強すぎると、「お客様に知っていただきたいという一心で、トレンドマイクロの社員として発信したい自社のアピールが前面に出てしまいがち」と松井氏。

そうではなく、お客様が今、業務の中で、何を考え、何を気にしているのかを念頭に、コミュニケーションを実施していく上で心掛けていることが「一回作ったメールの文章を、一晩寝て、冷静な頭で読み返すこと」。

月に20通もの新たなメールコンテンツを作成していると、時間的に厳しい時もあるといいますが、なるべく時事ネタ以外のコンテンツ作成を計画的に実践。社内のセキュリティエバンジェリストや開発メンバーの意見も参考に、お客様視点のコンテンツ作成を実践しています。

コミュニティに積極的に参加。マーケター同士の本質的な議論を活性化させたい

最後に、2人からのマーケター向けの助言、エールとして挙がったのが「一人で悩まずに、Marketoのユーザーコミュニティを積極的に活用すること」です。

日本では、同社のように数十人も社内にマーケターが在籍するケースは稀で、1~数名でマーケティング業務を回している企業のほうが多数派でしょう。よって、悩みや疑問が浮上しても、相談相手がいないまま、マーケターはとかく孤独に陥りやすいものです。

そんな時こそ、「Marketoの他社ユーザーと気軽に交流、情報交換ができるオンラインのコミュニティを活用しては?」と松井氏。

グローバルなコミュニティに比べ、とかく日本人は、他社のマーケターに質問すること、自社の情報を外部に流すことに躊躇や遠慮を感じる傾向も見られると指摘。

しかし、「コンフィデンシャル情報は流さず、気軽に質問できるレベルで活用することで、返ってくるもの、得られるものは必ずある。マーケターとしての成長にもつながっていくのではないでしょうか」と助言します。

四半期アワードを受賞した山田氏は、積極的にオンラインのコミュニティに参加しているとか。

こうした取り組みをベースに、「Marketoのツールや機能に関するQAからさらに踏み込んだ、マーケター同士ならではの議論を活性化していきたい」と語ります。

例えば、山田氏はBtoBマーケティングとBtoCマーケティングは明確に区別すべきというのが持論ですが、こうしたマーケティングのあり方に関する意見交換をざっくばらんにしていくことで、「日本におけるマーケターやマーケティング業界の底上げをはかっていきたい」という思いがあるといいます。

こうした意見も、グローバルな視点を持ち、世界のマーケターと積極的に交流するなかで、常に刺激を受け、自己研さんに励む2人だからこそ。

今後、ますます情報コミュニケーションのデジタル化が進み、国境をも意味をなさなくなる時代を生き抜く"Tomorrow's Marketer"としての学ぶべき姿、参考になる知見満載の濃密なインタビューとなりました。

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