これからのマーケティングのあり方、マーケターに必要な資質について、現場のマーケターに聞く「Tomorrow's Marketer」も13回目を迎えました。今回は独自の立ち位置で、マーケティング支援をしている2人にご登場いただきます。

リクルートグループのリクルートコミュニケーションズ・CRMビジネスソリューショングループで、BtoBマーケティングに携わるマネジャー・加藤 広道氏、リーダー・福塚 隆志氏です。

リクルートといえば、就職サイト「リクナビ」、結婚情報誌「ゼクシィ」、グルメ情報サイト「ホットペッパーグルメ」、学びの総合サイト「ケイコとマナブ.net」など、同グループが手掛ける多様なメディア、プラットフォームを頭に思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

擁するグループ会社は287社。プロダクトやサービスの送り手である企業(to B)と、受け手であるユーザー、カスタマー(to C)双方のベストマッチングを図る場を提供しているのが特徴です。

ここでのリクルートコミュニケーションズの役割は、先に挙げた就職する、転職するという意思決定の機会に情報を提供する「人材メディア事業」、家を買う、結婚するといったライフベントに加え、宿泊や飲食、美容など日常消費のシーンにおいて情報を提供する「販促メディア事業」双方を横断し、グループ内の主要事業会社のマーケティングを支援すること。

テクノロジーというハードの部分だけでなく、よりマーケットに近い視点から、クライアント企業とユーザーとをつなぐマーケティングコミュニケーションを支援する機能会社として、事業会社の競争優位の創出を一気通貫で実践しています。

多彩なキャリアを経て、多岐に渡る課題に正面から向き合う今がある

同社での2人の主な仕事内容は、ライフイベント領域と日常消費領域の両事業における、営業推進や事業推進。新規顧客の獲得や既存顧客のフォローに関する業務効率化や受注率アップのサポート、新たなサービスやソリューションのプロトタイプ設計などが挙げられます。

加藤氏は、マネジャーとして全体を統括し、福塚氏は、リーダーとして設計メンバーとともに、個々のプロジェクトごとのKGI設定・達成のサポート役を担うなど、まさにビジネスプロセスの変革をも事業会社と協働しながら推進しています。

2012年、リクルートグループのガバナンス体制変更に伴い誕生した同社。当初、2人が所属するグループでBtoCマーケティングもカバーしていたものの、事業規模拡大に伴い、17年10月下期、将来の成長性を見据えてBtoBに特化したそう。

「グループ全体を俯瞰しながら、個々の事業の課題内容、優先度を見極めつつ、プロジェクトベースでサポートを実践し、BtoBビジネスのサービス価値の向上、市場拡大を担っていくのが我々のミッションとなります」(加藤氏)

まさに全社的なマーケティング活動のエンジン役として、多種多様なプロジェクトに関わる2人ですが、ここにたどり着くまでのキャリアも実に多彩です。

加藤氏はメーカー営業を経て、テレマーケティング、Webマーケティング、営業支援などのキャリアを積んだ後、4社目で同社に入社。

「前職の代理店でCRMに携わった経験から、より事業会社に近い立場で最終的な成果、効果にこだわりたいという思いがあったのと、リクルートグループが展開する多様な業務を密につなげ、シナジー効果を上げていくような新たな取り組みに関わりたい」という思いから転職を決意したとか。

福塚氏もブライダル事業会社やITベンチャーで、一貫して法人向け新規ビジネスの立ち上げに携わり、3社目で入社。「いずれ自分で事業を手掛け、スケールを実現していくステージに備え、リクルートでキャリアを積みたい」という考えから今に至ります。

営業が抱える課題、問題をいかにリアルにとらえ、生産性向上を実現するか

では、これまでのキャリアを生かし、日々、多岐に渡るマーケティング支援に奔走する立場として、何に注力し、マーケターに必要とされる素養についてどう考えているのでしょうか。

まず、マーケターに必要な資質の一つとして、2人が挙げるのがビジネスの前線に立つ営業の知識と理解です。

リクルートの強みの一つに挙げられるのが、圧倒的な営業力。数々の伝説の営業を輩出したことでも知られていますが、だからこそ営業支援において求められるレベルも高い。

例えば一度、広告を出稿した既存顧客のリピート率を維持しつつ、生産性向上をいかに両立、実現するか。新規顧客開拓と、既存顧客へのフォローのバランスを、いかに効率的に実践するか。

成果につながるソリューションを提供するには、「営業チームと密なコミュニケーションをとったうえで、抱えている問題や課題を、まずはしっかりと理解する必要があります」と加藤氏。

福塚氏も、「よくあるマーケティングと営業のキャズム(溝)を乗り越えるためには、システムを構築して終わりではなく、マーケティングオートメーション(MA)で組成したリードをどう営業側に渡すかのブリッジ(橋渡し)まで一貫して手掛けていくことが必須です」と指摘。

特に営業の世界でも、気合と根性論で案件を獲得する時代から、さらなる生産性向上、業務効率化が求められる今、MAを含め、さまざまなツール、テクノロジーとの連携、活用が肝要だと言います。

テクノロジーに"追いつく"だけでなく、"一歩先を行く"マーケターになるために

それに関連し、二つ目のポイントとして挙げるのが、テクノロジーの進化への対応です。

同社では、AI(人工知能)やマシンラーニング(機械学習)を取り入れたマーケティングプロダクト「Lierco』の開発や高速・高精度な広告配信が実現するアドテクノロジーに注力するなど、最先端の技術を駆使したイノベーションにも率先して取り組んでいますが、マーケターの腕の見せ所に関しても、「テクノロジーをいかに使うかにシフトしつつあります」と福塚氏は言います。

加藤氏も、「テクノロジーの進化に期待しつつ、技術が人間の先を行き始めているのではないかという危機感もひしひしと感じます」と明かしつつ、「日々進化するテクノロジーにキャッチアップするだけでなく、プランニング、施策といった人間の頭脳がやるべき作業に関して、マーケター自身も進化していかねばならない」と断言します。

そのために2人が取り組んでいるのが、日々、意識的に新たなインプットに取り組むこと。

「社内ネットワークで得られる情報のみに依存しないよう、外部セミナーやカンファレンスに出席するなど、外部との接点を作るように努めています」(福塚氏)

加藤氏も、「とにかく足で稼いで話を聞く。新たなイノベーションへの取り組み、事例については失敗も成功も含めてキャッチし、インプットした情報をどう生かしていくか。目の前の仕事に追われることなく、先を見据え、考える時間を確保していくことを自身に課している」と語ります。

また前職で、マーケティング担当者が自分一人だったという福塚氏は、「特にBtoB部門は、所属メンバーが少なく、社内で孤独な立場に陥りやすい。他の会社のマーケターとも情報交換し、抱えている悩みを発散したり、ブレストしたりといった場を作ることが、マーケターとしての成長ののびしろにつながるのではないでしょうか」と提言します。

起業家精神をもって、新たな成長、イノベーションを追求

連結売上高1兆円超、グループ従業員数約3万8000名にまで成長した今も、「起業家精神」を大事にするグループの一員として、さらなる成長、新たなイノベーションを志向する2人。

今後の施策としては、「営業に対して新規顧客開拓のトスアップだけでなく、既存顧客の離脱防止のアラートの強化に取り組みたい」「マシンラーニングを活用したメール施策はどうだろう」と、トピックが尽きることなく、チャレンジ項目が挙がってきます。

加えて、長期的な夢や展望を聞くと、加藤氏は「今後もクライアントを支援する立場で仕事をしていきたい」と断言。

「リソースや経験がないゆえに、できるはずのことができていないというクライアントの事例を見てきて、決して多くの予算をかけなくても、レベル10段階のうち2を5、そして8にと徐々に上げる道は必ずある。そのためのサポートに全力を尽くしたい」と決意を語ります。

一方、福塚氏は、「ゼロからイチを立ち上げるキャリアを積んできた中で、いずれは自分の手で一つの事業を作り上げたい。今、まさにそのためのスキル、ノウハウを積み上げていく段階にあって、マーケティングという仕事の重要性を日々感じながら、目の前の仕事に打ち込んでいます」と語ります。

続く後編では、弊社のコンサルタント安竹 由起夫が参加。鼎談形式でさらにマーケティング、マーケターのあり方について深堀りしていきます。

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