今後のマーケティングのあるべき姿について、現場で活躍するマーケターに聞く連載も第7回目を迎えました。今回は、クラウド人材管理サービス「カオナビ」で、急成長中の株式会社カオナビの取締役 佐藤 寛之氏、営業グループ 最上 あす美氏にご登場いただきます。

「カオナビ」とは、「顔と名前の一致」をコンセプトに、社員の顔写真をキーに人材情報を一元管理できる人材マネジメントツール。社員の顔写真が並ぶシンプルな画面で、社員の顔、名前とともに実績、評価などを一覧でき、人材の評価、抜擢などもスピーディに実現。マネジメント層が社員の顔を覚えることで、モチベーション喚起、コミュニケーションの活性化などをはかるツールとしても支持を集め、現在の導入企業数は約450社にも上ります。

同社では、2015年9月から、Marketoを導入し、「マーケティング(リード獲得)→インサイドセールス(電話で案件化)→フィールドセールス(商談化および受注)」の一連のプロセスの見える化、仕組み化を実現。最終的な会社全体の収益アップというゴールを各部門で共有し、連携強化をはかることで、業績も倍々成長を遂げています。

目先のKPI達成ではなく、顧客視点に立ち、最終ゴールを共有していく

では、いかに最終的な成果に徹底してコミットするマーケティングポリシーのもと、具体的な施策を実践しているのでしょうか。

その立役者となっている2人のキャリアを紐解くと、佐藤氏は、大学卒業後、人材育成プログラムや組織変革プロジェクトを手掛ける企業で営業のキャリアを積んだ後、コンサルティング会社で人材開発や採用・評価業務などに従事。

属人的な手法で人材抜擢や配置が行なわれ、適材適所がなかなか実現しにくい人材マネジメントのあり方に問題意識が高まるなか、「カオナビ」の構想を練っていた現在同社社長の柳橋 仁機氏に出会い、意気投合。2人で会社を立ち上げ、「カオナビ」のサービスをスタートします。

最上氏は、同社へ転職以前、営業業務、さらに人材育成、採用業務のキャリアを経て、多様な個の力を引き出す「カオナビ」の設計思想に共鳴。マーケティングの経験ゼロからの転職を決意します。

2人の役割としては、佐藤氏は、創業時から営業・マーケティングを統括。現在は経営視点で両部門のフロントラインの意思決定に従事。最上氏は、Marketo活用およびインサイドセールスチームを率いる立場として、マーケティングや営業にフィードバックを実践する重要な任務を負っています。

それぞれの問題意識を踏まえ、マーケティング施策、実践マーケターのあるべき姿について、2人はどう考えているのでしょうか。

佐藤氏が、大前提となるポイントとして挙げるのが、全社で一つのゴールを共有すること。その方向性を経営陣が明確に指し示すことだといいます。

「マーケターの役割は、いい広告を出すことでもなく、CPAやLTVの向上でもありません。ゴールはあくまでも顧客目線に立ち、自社プロダクトの市場における認知拡大を目指し、付随して企業価値と業績の向上を実現すること。マーケターも、その最終ゴールを目指すプロセスの中で自身のミッション、CPAやLTVといった数値目標も位置づけていく必要があります」(佐藤氏)

実は、どんな職種であっても、各人が自身の業務に真剣に向き合えば向き合うほど、本来は手段であるはずの数値目標が目的化し、視野が狭くなりがち。特に、マーケターは「顧客に近いようで、営業などと違ってリアルに接触するチャンスが少ない分、実は遠い位置関係にある」と佐藤氏。

よって、マーケティング・営業両方を統括し、経営に携わる立場・経験から、「マネジメント層こそが、数値目標としてKPI達成を掲げ、現場のお尻を叩くのではなく、先に挙げたゴールを共有し、適切なアクションを起こせるような仕組みを作り、定量化されたフィードバックを実施することが肝要だと考えています」(佐藤氏)

デジタルツールを活用し、最小限のリソースで成果を上げていく

それに関連し、2つ目のポイントが、気合で目標を達成するのではなく、マーケティングオートメーション(MA)などのデジタルツールを上手に活用し、最小限のリソースで、生産性向上を実現し、成果に結びつけることを挙げます。

最上氏も、「前職で飛び込み営業を担当していた際は、とにかく足で件数、受注を稼ぐのみ。心身ともに疲弊することも多い日々でした」と振り返ります。

そうではなく、「顧客の言動の背景を考え、そこにどうアプローチをし、その結果がどうなのかを分析し、最適化したルールを再現性高く、継続していく。日々、PDCAを回し、業務の効率化をはかるとともに確度を高めていくことこそが肝要だと考え、フィールドセールスに適切に案件をパスできるよう、日々、メンバーとともに精進しています」と語ります。

シンプルな仕組みで、新しい働き方、組織のあり方を提言していく

さらに、佐藤氏は、世の中のマクロトレンドとして、「本格的な人口減少社会を迎え、低コストで人を大量雇用し、成長を目指すような前時代的な経営スタイルはもはや通用しなくなっています」と指摘。

特に長時間労働の是正など、待ったなしで「働き方改革」の推進が加速化する今、働きやすい職場環境を整備し、省力化の実現とともに、合理的な経営判断のツールとしても、MAの役割がますます増していくのではないかと分析します。

自社の成長シナリオに関しても、数年先のIPOを視野に入れつつも、「いたずらに規模を拡大するのではなく、多様なバックグラウンドを持つ少数精鋭の社員が生産性高く、生き生きと働けるような高収益構造を目指していきたい」と語る佐藤氏。

「シンプルな仕組みで、ハッピーな日本を作る。」を経営理念に、「カオナビ」という今までにない"わかりやすい"ツールを提案する同社。企業の人材管理にイノベーションを起こすことを目標に掲げているからこその、新しい働き方や組織のあり方のロールモデルとしても、ますます注目度の高まりが期待できそうです。

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