今後のマーケティング、マーケターのあり方について、現場のリアルな声を伺う連載企画「Tomorrow's Marketer」。今回は、株式会社Emotion Tech(エモーションテック)のマーケティング本部 マーケティング部 部長・須藤 勇人氏、同部メンバーの野手 清美氏をお迎えします。

同社では、独自の技術力とクラウドシステムを掛け合わせ、企業の事業の成長や、課題解決に向けたソリューションを提供しています。

展開するサービスは大きく2つ。CXM(Customer Experience Management)とEXM(Employee Experience Management)です。

特に、顧客企業や従業員の感情にフォーカスした感情データ解析技術や、顧客・従業員のロイヤルティを数値化するNPS(Net Promoter Score)、eNPS(Employee Net Promoter Score)に関する幅広い知見が同社の強み。導入企業は、大企業を中心に、約200社にのぼります。

急成長を遂げている同社ですが、そのフックの一つとなったのが、2017年3月末よりMarketoを導入したことでした。

5月よりメール施策を始めとする、本格稼働をスタート。その2カ月後の7月には、アポ獲得率(営業がアクションを起こしたうち、アポがとれた割合)が導入前の4倍を達成するなど、高い成果を挙げています。

お2人は、まだ20代。まさに次世代を担うマーケターとして、何に注力し、どのような目標を持っているのか。お話を伺いました。

起業や前職のキャリアで得た、マーケティングの重要性に関する"気づき"

まず、キャリアを紐解くと、2人ともマーケターとは異なる世界からの転身組です。

その中でも、須藤氏は「大学生の時から起業家志望で、一度、会社を設立した経験があります」と意外な過去を明かしてくれました。

大学卒業後、ベンチャー企業の"成功形"を見ておきたいとソフトバンクに就職したものの、様々なビジネスのアイデアを温めるうち、某企業主催のインキュベーションプログラムに仲間と応募。結果は見事に採択され、資金提供を受ける形で、起業を果たします。

ビジネスモデルは、「ガジェットなどに興味があるユーザー向けに、国内外のベンチャー企業が開発した最先端のプロダクトを紹介するWebサービスで、レビューを集め、製品のブラッシュアップや市場拡大を実現していくというものでした」(須藤氏)

サービス自体は、時代の先端を行くものだったものの、「ターゲットとなるユーザーを集め、アクションを起こしてもらえるよう、訴求していくマーケティングの知見がなかった」と振り返る須藤氏。

サービスの認知拡大の策がとれないまま、結局、会社は解散。再び就職先を模索する中、同じインキュベーションプログラムで採択されていた、現在の同社から声がかかりました。

同社も、まさにプロダクトを世に売りだそうとしているステージにあり、「自分たちができなかったマーケティングを、ここでしっかり成功させ、自身の力も培っていきたい」という思いもあり、2015年2月に転職を決意。

入社してほどなく、須藤氏はマーケティング部門の立上げを任され、当初は電話営業を中心とするアウトバウンドの施策からスタートします。そして、2016年秋にインバウンド施策への転換を図るべくマーケティングオートメーションを導入。2017年3月にはMarketoにリプレイスし、今に至ります。

野手氏は、元々、モバイル向けのメディア事業、広告事業などを展開するKDDIのグループ会社の株式会社mediba(メディーバ)で、ページディレクション、物流、広告事業の営業、商品企画開発などに携わっていました。

約5年間、幅広く経験を積み、「新たなチャレンジをしたいと思ったときに、商品企画に携わった際にマーケティング目線が足りないことが課題感としてありました」と明かします。

その際に、須藤氏同様、偶然にも知人を通じて同社と出会い、転職を決意。Marketoの本格稼働がスタートする2017年5月に、マーケティング部に加入することになります。

データ、ツールだけに頼らず、リアルなインプットも重視し、施策を改善

現在、須藤氏はマーケティング部門の統括を務め、実際のMarketoの運用は、野手氏が担当しています。

では、2人の若きマーケターは、日々、仕事の中で何を重視しているのか。また、マーケターに必要な素養について、どう考えているのでしょうか。

1つ目に、須藤氏が大事な視点として挙げたのが、「顧客の理解」です。

基本中のキホンのようですが、「特に弊社のようなBtoBのビジネスモデルの場合、営業と異なり、お客様との距離が遠くなりがちです」と指摘。

しかし、最初のとっかかりとなるのは、あくまでもマーケティング部門。かつ月に100~200件もの見込み顧客を相手にすることになります。

しかも同社の場合、「顧客の声から売上向上のヒントを得たい」「会員数を増やすための要因が知りたい」「社員の離職率を下げたい」など、企業の課題も広範囲に渡れば、直接、コミュニケーションをとる担当者の所属部署もさまざまです。

「お客様像が幅広い分、営業に同行したり、既存のお客様にインタビューをさせていただいたり、リアルなインプットも重視しています」と須藤氏。

野手氏も、「人脈を辿って、幅広い業種や部署の方に会い、どのようなサイトを見ているのか。どういったワードを検索しているのか。積極的に業界外の人に会い、ヒアリングをするようにしています」と語ります。

さらに、業界でよく読まれている本にも目を通し、頻出するワードに注目。その上で野手氏は、「さまざまな内容のメルマガ、コンテンツを配信し、どういった内容の開封率がいいのか。どんな言葉がお客様に刺さるのか、リアルな数値を見ながら、内容の精査を実践しています」と語ります。

2つ目のポイントとして、実際にコンテンツを作成している立場として、野手氏が重視しているのが、「ツールや数字ばかりを重視しないこと」です。

「もちろん、マーケターとしては、テクノロジーやデータをしっかり活用することは大前提です。その上で、リアルなお客様の顔を思い描き、生身の人間にしっかりと言葉を届ける姿勢を大事にしています」(野手氏)

ユーザーコミュニティへの参加を通じ、自社の施策を客観視する

3つ目に須藤氏が重視しているのが、他社のマーケターとの情報交換です。

その理由の一つが「自社に閉じこもっていると、自分が実践しているマーケティングのレベルがどの程度なのかがわからなくなる」という問題意識です。

果たして、自社の取り組みはうまくいっているのか、それとも遅れているのか。「特にBtoBビジネスの場合、サービスによってもあるべき施策が異なってくる。やみくもに施策を回しているだけでは、目指すべきゴールをも見失ってしまいかねません」と指摘します。

そこで、2人はMarketo のユーザーコミュニティにも積極的に参加。

有益な情報や成果をユーザー同士で共有するワーキンググループ「Marketors Community(マルコミ)」などのほか、野手氏は、Marketoを活用する女性のための「FEMIKETO JAPAN ワーキンググループ」にも参加。

「女性ならではのライフステージの悩みや課題をも共有することで、マーケティングに関する知見のほか、仕事への活力も養っています」と語ります。

最後に、マーケターとして、今後の目標を語ってもらいました。

冒頭でも触れたように、Marketo導入から、数カ月という短期スパンで、高い成果を挙げた同社ですが、今後は商品ラインナップも拡充していく中、やるべき施策、取り組みも増えていくことが予想されます。

次のステージに向け、「やりたいことやアイデアは数多くあるのですが、緊急性がある業務は何か。インパクトがある施策は何なのか。優先順位を整理しつつ、かつ効率的に取り組めるよう、経験を積みながら、マーケターとしてさらなる高みを目指していきたいです」と野手氏。

また、須藤氏は、BtoBビジネスを推進していく上で、営業との連携を強化していくことを前提に、「マーケティングの情報をオープンにしていくとともに、カバーできる領域を広げていきたいです」と語ります。

長期的スタンスで、顧客とのエンゲージメントを高めていくという思想、ビジョンにおいて、「マルケトさんとはシンパシーを感じる部分も多い」と須藤氏。

その観点から、目指すは、最後の案件化までマーケティングのパワーで実現すること。マーケティングのポジションを高めていくことで、「マーケティングの成功企業として、蓄積した知見や成果を社外に発信し、他社のマーケターと切磋琢磨していけるようになることが目標です」と語ります。

今後も、2人のマーケティングにかける飽くなき熱い思い、向上心をエンジンに、同社への注目度のさらなる高まりが期待できそうです。

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