インタビュー

ベアーズ様 ~"データ"の裏にある人の想い、生き方に想いをはせてこそ、適正なコミュニケーションも実現する

これからのマーケティング、マーケターのあり方を、現場のマーケターとともに深堀りしていく連載企画「Tomorrow's Marketer」の15回目は、家事代行サービス大手ベアーズのお2人、マーケティング部 部長の後藤 晃氏、同部販売促進 広報課マネージャーの服部 祥子氏をお迎えします。

同社は、1999年、日本初の家事代行サービス業を立ち上げた、業界のパイオニア。待ったなしで対応が求められている働き方改革、女性や高齢者などの多様な個の力を最大限に引き出すダイバーシティの推進といった時代の要請も受け、寄せられる関心はさらなる高まりを見せています。

リーディングカンパニーとして、業界全体の市場拡大をもミッションに掲げる2人に、そのキャリア、注力しているポイント、マーケターとして必要となる素養について、伺いました。

出産・育児の経験を経て、女性の生き方をサポートする事業に携わりたいと転職

同社では、働き方、暮らし方の多様化に伴い、多岐に渡る利用シーンやニーズに迅速に応えるべく、2017年1月25日より、Marketoを導入。

現在、マーケティングのミッションとして、顧客接点の適切な設計によるブランド価値提供を掲げ、Marketoを中心にきめ細やかなメール施策、カスタマージャーニーに沿った全社的な連携などにより、パーソナライズされたコミュニケーションを実現。生涯を通じた顧客満足の最大化を目指しています。

2人の役割としては、後藤氏がデータマネジメントを始めとするマーケティング活動の統括、服部氏が実際のMarketo運営に従事していますが、実は2人とも異業種からの転職組だと言います。

後藤氏は、元々はITコンサルタントとしてシステムの構築・導入の推進サポートを実践。ITベンチャーが集積する米国シリコンバレーにもたびたび出向くなど、海外企業の事例にも触れる中、「グローバルに通用するサービスを作るというのが当時の目標でした」と振り返ります。

その想いが形を変え、「日本人としてグローバルに通用するサービスを志向するならば、もっと日本人らしいおもてなし、心の豊かさを提供するような事業に携わりたい」と考え、同社が手掛ける事業内容やその理念に共感し、転職を決意。16年10月より、これまでのキャリアを生かし、マーケティングオートメーション(MA)導入をはじめとしてマーケティング基盤の整備に携わっています。

服部氏は、中小企業を対象とするコンサルティング会社で、業務支援や経営者向けセミナーの企画や運営などに従事していましたが、「出産、育児の経験を経て、自分と同じような境遇の女性の支えになるような仕事をしたいと考えるようになりました」と語ります。

そこで出会ったのが同社。子供が1歳になった時点で入社を決意し、在籍中に2人目も出産。自らベアーズのサービスを利用する時期も経て、現在入社6年目を迎えています。

全社的な協力・連携体制を構築するためには"巻き込み力"が必須

ともに同社の企業理念に共鳴し、今に至る2人ですが、現在、BtoCマーケティングに携わる中で、注力しているポイント、さらに必要な素養についてどう考えているのでしょうか。

後藤氏がまず挙げる一つ目のポイントが、家事代行という属人的な市場だからこそ、「しっかりとデータで物事を把握すること」。

「そのためには、マーケター自身がテクノロジーに精通し、データを客観的にとらえ、分析する力を身に着けることがマスト」と語ります。

まさにIT業界で長くキャリアを積んできたからこその視点ですが、一方で二つ目として「お客様の心のひだをどこまで細かくとらえ、理解できるかも大事なポイントとなる」と断言。

マーケティング施策において欠かせないペルソナやカスタマージャーニーの設計においても、その人物が何を考え、どう生きていきたいのかまで徹底して考える。

データの裏にある人の想い、人生のあり方にしっかりと想いをはせてこそ、適正なコミュニケーションも実現する。「ITやマーケティングの知識はその想いや考えを、具体的な形、施策に落とし込む手段に過ぎません」と語ります。

同様に、三つ目として、服部氏が日々、注力しているポイントが、「お客様の目線で考えること」。

自身、同社サービスを利用した際には、家事負担が減るという物理的な面だけでなく、「いざという時に頼れる先、自分のことを守ってくれる人がいるというメンタル面での支えが大きかった」と振り返り、お客様に近い立場から、「常にお客様に寄り沿い、どういうニーズがあるかを考えるようにしている」と服部氏。

加えて世の中に対し、皆が笑顔になりワクワクするようなサービスを考え、実際にアクションに落とし込んでいくことが大事だと言います。

四つ目に、服部氏が挙げるのが"巻き込み力"。顧客との適切なコミュニケーションは、マーケティング部だけでは実現できない。「全社的な協力・連携体制を構築するパワーが必要となります」と服部氏。

その観点から、従来は部署ごとに断絶していた業務や情報の共有を図るべく、2週間に最低1回は各部と連携して打ち合わせを実施。

後藤氏も、「社内で本当に何かを変えていくには、面と向かってトコトン話し合うことが肝心」と指摘し、ITの力を活用するとともに、アナログな社内コミュニケーションも大事にしていると言います。

他企業とのコラボ、エコシステムを通じ、新たな価値創造に取り組む

では、マーケターとしてのさらなる成長を目指すべく、意識して取り組んでいることを聞くと、2人が口をそろえて挙げたのが「意識的なインプットの実践」。

「今のマーケティングは非常に動きが早く、かつCRMに含まれる顧客満足度調査の実施など、その概念がさらなる広がりを見せています」と後藤氏。マーケティング系の本は一通り目を通した上で、雑誌などで常に新しい情報を入手しているそう。

さらに、従来ならば情報システム担当がカバーしていたような、システムの言語などのITの知識、情報を一通りキャッチしておくことが必須だと言います。

服部氏も、「アウトプットの質はインプットの量で変わってきます」と断言。チームで他企業の事例を研究するなど、会社ぐるみで業務外の勉強にも積極的に取り組んでいます。

関連し、後藤氏が二つ目に挙げるのが「インプットした情報をベースに、しっかりと考えることの重要性」。

例えば、ぱっと目についた雑誌の表紙や広告宣伝物、HPのデザイン一つとっても、「制作者は何を意図し、何を伝えようとしているのかを考え抜くクセをつけてほしいと、部のメンバーにも伝えています」(後藤氏)

服部氏も、コンテンツ一つ作るにも、百社以上もの企業の動画を見て、ああでもないこうでもないと話し合うなど、「部内でブレストをする機会を努めて作るようにしています」と語ります。

今後のビジョン、時代の流れとして、後藤氏は「会社の理念でもある、世の中のお困りごとを解決し、暮らしを豊かにする"インフラ"を創出していくという観点から、家事代行というサービスの範疇からあえて外れ、新しいソリューションを考える視点が大事になってくる」と指摘。

既に、鉄道やマンション、セキュリティといった他業界でも、新たな生活インフラの基盤となるサービスを志向する流れが生まれる中、「他企業とのコラボレーションによる新しい事業、取り組みも増えている」と言います。

実際、今年5月より、「陣痛タクシー」(妊婦がかかりつけ病院や出産予定日などを事前に登録。陣痛時に簡単にタクシーを呼べるサービス)を展開する日本交通と連携しての「マタニティギフト」の取り組みを推進。

これは、日本交通と企業14社の協業による、陣痛タクシーの登録者に対するギフトサービスで、ベアーズは「おそうじ美人・出産応援・BABYPINK」を開発。出産前後の期間に、家事代行サービス1回3時間×10回が受けられるもので、出産、育児を応援するという共通の想いから、企業、業界の壁をも超えた新たな動きも加速しています。

Marketoが目指すエンゲージメントマーケティングと同様、生涯を通じて、顧客に寄り沿い、LTVを追求し続ける2人。今後、他企業とのエコシステムを通じての、新たな価値創造の動きにも要注目です。

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