「Marketing Nation Summit 2018」で行われた当セッションでは、株式会社村田製作所より、日々、Marketoのオペレーションを担当されている後藤 渉氏にご登壇いただきました。

2013年に国内企業でいち早くMarketoを導入された村田製作所。導入から5年が経ち、たどり着いたベストプラクティスと今後の展望とは。実務スタッフの立場から見た、村田製作所におけるMarketo活用の一端をご紹介していきます。

コミュニケーションの主語を「ムラタ」から「お客様」へ

総合電子部品メーカーである村田製作所は、売上高1兆3,000億円を誇り、海外売上比率が9割を超える、日本を代表するグローバル企業です。

「Marketoの導入に立ち会えなかったのが残念です」と語る後藤氏が、村田製作所に転職したのは、村田製作所にMarketoが導入されてから2年後の2015年でした。以来、後藤氏はMarketoを活用したプロモーションの企画・運用・実行を担当されています。

「10年、20年前であれば、営業のチャネルがメインでしたが、BtoB製造業の世界にも徐々に、かつ着実にデジタルの波が押し寄せており、需要・興味・設計・試作・認定・購買・量産というカスタマージャーニーの各プロセスにおいて、お客様はオンライン・オフラインをクロスしながら動いていきます」と語る後藤氏。

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顧客をオンライン・オフラインの両面でサポートしていくために、2013年にMarketoを導入し、あらゆるコミュニケーションの主語を「ムラタが」から「お客様が」へと変えていくことで、「顧客中心の世界を実現できるようになった」と話します。

村田製作所の製品が使われている領域は、携帯電話やコンピュータ、AV機器、家電製品などのエレクトロニクスの中心分野から、自動車やヘルスケア、環境・エネルギーの領域、そして昨今ニーズが高まっているIoTまで、多岐に渡ります。したがって、それぞれの領域で活用される村田製作所の製品ラインアップは、コンデンサ・インダクタ(コイル)・RFID用デバイス・回路基板、さらに最近ではクラウド連携ソリューションなど、膨大な数にのぼります。それらをプロモーションしていく必要があるのです。

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そこで村田製作所では、縦軸に「商品・ソリューション」、横軸に「顧客」をとった4象限で分類し、"高付加価値商品の販売促進"と"コアな顧客に対する営業支援"を、Marketoを活用して、注力することに決めました。ロングテールな汎用電子部品については、できるだけ工数をかけずに、お客様が自由に購入できる仕組みづくりを、別途進めていきたいと考えているそうです。

「事例の話に入る前に一つお伝えしておきたいことが、今回のテーマはFearless Marketerということですが、やはりFearはあります。デジタルであってもお客様と接点を持っているわけですから、リスクは常に意識しておくべきだと思っています。とはいえ、チャレンジすることは大切ですから、今後も新しいことにはどんどんチャレンジしていきたいと思っています」(後藤氏)

Marketoを活用した販売促進事例

まずは、IoT市場の拡大にともなって注目が高まっているLPWA(通信モジュール)の販売促進事例を見ていきましょう。今回のプロモーションの目的は「『LPWA=Murata』の認知向上、関心層の属性データの入手」と、「LPWAモジュールの拡販/プロモーションゴールとしては『評価キット購入/my Murata*登録』」の2つです。

* エンジニア向けのログイン型ポータルサイト

その目的を達成するために活用したMarketoの機能は「Engagement Program」と「RTP Web Campaign」です。そしてキャンペーン設計とコンテンツ制作を考える上でベースとしたのは、以下のファネル概念図でした。

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ポイントは、それぞれの段階に応じて、届けるコンテンツの内容を明確に分けたところにあります。まず「ToFu:Top of the Funnel」の時点では、自社商材のプッシュはせず、お客様の興味関心に寄り添うコンテンツを届けます。次に「MoFu:Middle of the Funnel」で初めて自社商材の認知・理解を促進するためのコンテンツに入ります。そして最後の「BoFu:Bottom of the Funnel」で、自社商材の評価・購入を促すためのコンテンツを届けるのです。

この3段階に応じたコンテンツをWebサイトからダウンロードできるようにしておくとともに、それぞれに該当するメールをMarketoの「Engagement Program」で作成・配信することで、お客様の興味関心度合いに応じたコンテンツを提供できる仕組みを整えました。

さらにMarketoの「RTP Web Campaign」のアドオンを用いて、お客様の行動に合わせて、自社サイト内のバナーを出し分けることで、広告・メール・自社サイトという異なるチャネルにおいて、一貫したメッセージを効率的に届けられるようにしたのです。

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「お客様に対して一貫性があるだけでなく、我々にとっても"キャンペーン設計が非常にシンプルで分かりやすくなった"というメリットがありました。加えて、メッセージを1つに決めることで、効率良くコンテンツ制作を進めることができました。このようなスキームを生かしながら、他の商品のプロモーションにも量産していきたいと考えています」(後藤氏)

Marketoを活用した営業支援事例

続いては、営業支援におけるMarketo活用事例です。村田製作所では、様々なシステムを有機的につなげながら、セールスを支援するプランを描いており、今は、ABMメールキャンペーンや顧客データの活用に取り掛かっている最中だと言います。

そのうち、現在トライアル中のABMキャンペーンについて、次のように紹介していただきました。

ABMキャンペーン

例えば、A社担当のセールスが名刺交換をした後に、A社の情報をSalesforceに登録すると、Marketoに情報が自動的に連携されます。その後、セールスがA社の興味がありそうなコンテンツを、Webサイトにアップロードして、そのURLをMarketoからメールで配信します。「ぜひダウンロードしてご覧ください」とメッセージを送ったところ、36%という高いクリック率でお客様が反応してくださったそうです。

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最後に、後藤氏は「私はMarketo歴3年ですが、Marketoに出会えてよかったと思っています。Marketoって、触っていて楽しいんですね。自分が設定した通りに動いてくれるからです。まだ導入されていない方には、ぜひ導入してその楽しさを味わっていただきたいと思っていますし、これからもMarketoを活用して村田製作所のセールスとマーケティングを進化させながら、お客様の課題解決に貢献していきたいです」と語り、セッションを締めくくりました。

本セッションの講演資料はこちらからダウンロードいただけます。