「Marketing Nation Summit 2018」で行われた当セッションでは、AI Driven Marketingの未来についてお話を伺いました。マーケティングテクノロジーをつなぐコントロールタワーとしてのMarketoと、機械学習の民主化を実現するDataRobotを組み合わせることで、マーケティングの未来は、どのように変わっていくのでしょうか。具体的な連携事例とともに紹介していきます。

<パネラー紹介>
株式会社電通デジタル
データ/テクノロジー部門 ソリューションディベロップメント事業部 デジタルイノベーショングループ マネージャー 有益 伸一氏

AI(機械学習)、MA、CRM、DMP、BI等の最新マーケティングテクノロジーを横断的に活用し、企業のデジタルトランスフォーメーションを実現することで、経営課題・事業課題を解決に導くことを強みとする。また、国内外の最新デジタルツールの発掘・アライアンスも得意としている。

DataRobot Japan株式会社
データサイエンティスト 中野 高文氏

DataRobot Japanで2番目のデータサイエンティスト(2017年5月〜)。イギリス、カナダの大学の修士・博士過程で量子情報論を専攻。より多くの人がビジネスで機械学習を活用できるようDataRobotを使った機械学習の民主化を推進。マーケティングや小売業を始め幅広い業界でコンサルティングなどを行う。

株式会社マルケト
ソリューションコンサルタント 石野 真吾

医療系コンサルティング会社を経て、2013年にSansanへ入社。UserActivationTeamの立ち上げやテクノロジーを活用した業務改善や営業企画を行った後、Sansanのマーケティングの仕組み作りを行う。2017年6月より株式会社マルケトにて、セールス&マーケティング分野におけるテクノロジーの活用や新しいテクノロジースタック開拓を推進。

お客様にとって真の価値を追求したMarketoのテクノロジー連携

石野:最初に「Marketo」の紹介を簡単にしたいと思います。お客様一人ひとりに合ったコミュニケーションを通じて、良好な関係を築いていくための"エンゲージメントプラットフォーム"であるMarketoですが、その一番の特徴は全世界に7000あると言われているマーケティングテクノロジーの中から、多くの皆様がご利用しているテクノロジーと連携してご利用いただけるところにあると思っています。

今回は、私の渾身のMarketoと「DataRobot」との連携についてご紹介していくわけですが、「連携できます」とプレスリリースを出して終わりという連携も世の中に多く見られますが、弊社が連携する多くのサービスでは自分たちでテストをして、お客様にどのようにご活用いただけるのかを検証しながら、レシピという形でシナリオや実際のデータの流れを可視化し、お客様にご紹介するように心掛けています。

Marketoでは見込み顧客の優先順位をつけるために見込み顧客の属性×行動×頻度に応じて"スコアリング"機能を利用します。スコアリングは、対象件数が少ない頃や導入後一定期間は、手触り感のあるルールベースをお勧めいたしますが、対象件数やルールの数が増えれば増えるほど、自分の手で論理的にルール設計しアップデートを続けていくこと難しくなっていきます。そこでMarketoとDataRobotと連携することで、その悩みを解決しようというのが、今回の取り組みです。

では、実際の事例を踏まえながら、中野さんにご説明いただきましょう。


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株式会社マルケト
ソリューションコンサルタント 石野 真吾


Sansan
様の事例で見るMaketo×DataRobot

中野:それでは、Sansan様の事例をご説明しながら、MarketoとDataRobotを連携することで、どんなことができるのかを紹介していきます。

まずスコアリングとは、「この人は部長だから50点を付与しよう」「この人は見積もりをDLしてくれたから80点を付与しよう」といったように、ケースに応じて何点を付与するのかというルールをあらかじめ設定しておくことで、自動的に確度の高いお客様をあぶり出そうというものです。このルール設計は、これまで現場の方による経験や勘によって行われてきました。

しかし、Sansan様は様々なチャネルで多くのマーケティング施策をされています。整合性をとりながら正しいスコアを反映するのが難しいだけでなく、新しい施策が増えるごとに、多くの労力をかけてルールをアップデートしなければならないという課題に直面していました。

そこでDataRobotを導入していただき、Marketoと連携したところ、機械学習によって非常に高精度なスコアリングモデルを自動生成できるようになり、"どのチャネルがコンバージョンに貢献しているのか"というインサイトも得られるようになりました。

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DataRobotとは、非常に優れたUIでプログラミングなしに、誰でも機械学習を使えるようにしてくれるAIプラットフォームです。さらに、ブラックボックスになってしまう機械学習をグレーボックス化する技術により、結果を解釈して実事業に生かすことができるという特徴があります。

今回の事例では、どのチャネルがアポ取りに効果的だったのかが明白になり、その結果をMarketoからCRMに送ることで、インサイドセールスが、誰に架電をすればいいのかがリアルタイムでわかるようになりました。

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Datarobot Japan株式会社
データサイエンティスト 中野 高文氏


MarketoとDataRobotを連携してスコアリングを見直したことによる具体的な成果としては、サンプリング数が1.92倍に増え、架電リードのアポ獲得精度を1.12倍に高めることができました。トータルで2.1倍のアポ獲得につながると想定されます。

今回はインサイドセールスによるアポ獲得の増加をゴールに設定していましたが、MarketoとDataRobotを連携したスコアリングは、あらゆるマーケティングファネルの場面で活用することができます。

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マーケターがAIと共創する未来はすぐそこに

石野:DataRobotの素晴らしいところは、全自動でAIがスコアリングしますといったブラックボックスな状態ではなく、グレーボックス化されているところですよね。「何がどうなっているかわからないけど、この数字を見て電話しろ」と言われても、営業の方も納得できないじゃないですか。マーケターとしても次の施策に生かしていいものか判断がつきかねると思いますし。納得感を持って、きちんと価値を出せるところがポイントだなと。

有益:そうですね。僕はMarketoユーザーとして4年前にスコアリングにトライしていた頃から、まさに今日お二人が話している未来を夢見ていました。マーケターの方にとって、AIはまだどこか遠い存在だと思いますね。なぜなら、AIを利活用するには、高度な技術を持った優秀なデータサイエンティストの存在が不可欠だったからです。

しかし、テクノロジーの進化によって、「プログラミング」「機械学習・AI技術」「統計学・数学知識」の基本さえわかっていれば、マーケターでもAIを利活用できる環境が整ってきました。

マーケターのみなさんは、普段いろいろな意思決定をされていますよね。チャネルが増えましたし、顧客の興味・関心や行動が多様化していますので、「どこにどんなメッセージを出すべきか」「それらをどう組み合わせるべきなのか」といった多くの難しいことを判断し続けなければなりません。しかし往々にして、その意思決定は属人的に行われているのではないでしょうか。

電通デジタルでは、我々が保有している「People Driven DMP」とDataRobotを連携して、様々な場面でのAIの導入にチャレンジしています。私がお伝えしたいことは、"決してAIはマーケターの敵ではない"ということなんですね。これからは、AIとマーケターが共創の時代を築いていくと確信しています。"AI Driven Marketing"という言葉が一般的になる日も遠くないのではないでしょうか。

マーケターのみなさんには、ぜひAIを怖がらずに、Fearlessに、自分の味方が増えるイメージを持って、これからもマーケティングに取り組んでいただければと考えています。

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株式会社電通デジタル
データ/テクノロジー部門 ソリューションディベロップメント事業部 デジタルイノベーショングループ マネージャー 
有益 伸一氏


石野:
本当にそうですね。何でもそうですが、Fearlessな気持ちで、自分で勉強しながら、新しいことに取り組むことは、すごく大事なことだと思います。

中野:マーケティングの分野では、扱えるデータがどんどん増えて、分析するためのナレッジが必要になっていると思いますが、MarketoやDataRobotのようなツールを使いこなすことで、マーケターのみなさん自身がデータの価値を引き出せる時代が来ています。ぜひその機会を十分に生かしていただき、AI Driven Marketingで絶大な効果を上げていただきたいですね。

MarketoとDataRobot連携の可能性における好奇心から始まった今回のコラボレーション。前人未到のAI Driven Marketingの時代に突入している今、このように好奇心を持って攻めの姿勢でチャレンジしていくマーケターが求められているようです。

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