ここでは、7月6日に開催した「THE MARKETING NATION SUMMIT 2016」の数々のブレイクアウトセッションのうち、「マーケティングって面白い!」というシンプルで熱いメッセージをスライドに掲げ、会場を沸かせたセッションをご紹介します。

檀上に立つのは、freee株式会社のMarketing VPの伊佐 裕也氏。「freee」のロゴ入りTシャツに身を包んでの登場です。同社は、「スモールビジネスに携わるすべての人が、創造的な活動にフォーカスできるよう」というミッションのもと、2012年に創業。クラウド会計ソフト市場でシェア1位の「クラウド会計ソフトfreee」ほか、「会社設立freee」「クラウド給与計算ソフトfreee」などをリリースし、今や導入企業は60万社超(2016年3月時点)と、急成長を遂げています。

セッションでは、同社の躍進を支えるマーケティング活動、その名も「マジ価値マーケティング」のコンセプトと具体的な施策に加え、そのプラットフォームとして2014年より導入したMarketoの活用法についてお話しいただきました。

マーケティングとは「プロセス」。そして「全員野球」で臨むべし

前職のGoogleやデルコンピュータなどでもマーケティング業務に関わり、「マーケティング大好き人間」を自認する伊佐氏。まず前提として、同氏はマーケティングを「ユーザーを徹底的に理解し、それぞれのユーザーが抱える課題に対して、自社のサービス・プロダクトがどのようなソリューションを提供できるかを伝えていく一連のプロセス」と定義しているそうです。

その上で、同社が実践するようなBtoBマーケティングにおいては、「単発の施策ではなく、ユーザーと継続的な関係性を構築し、共感を高め、エンゲージしていくことが必須です」と語ります。さらに、マーケティングチームだけでなく、セールスや開発チームともタッグを組み、「全員野球でユーザーに合わせたコミュニケーションを最適化していくことが肝要」だと言います。

「マジ価値マーケティング」を支える5つの価値基準

では、同社が実践する「マジ価値マーケティング」とは何でしょうか? 伊佐氏がスライドに掲げたのが「freeeの価値基準」。全社員がfreeeらしい行動や価値判断を行なう上での指針のようなもので、マーケティングを実践する上でも、大切な基軸になっているといいます。その5つの指針とは、次のようなものです。

「本質的(マジ)で価値ある」

「マジ価値マーケティング」のコアとなる指針でもあり、「会社や売上のためではなく、"ユーザーにとって価値がある"というのが何より大事です」と伊佐氏。マーケティングについても、「ユーザーにとって本当に価値ある情報を適切なタイミングで届ければ、広告は煩わしいものではなく、重要な情報になり得る」というわけです。

「理想ドリブン」

現在のリソースやスキルにとらわれず、理想から考える。マーケティングについても「こうあるべきという制約を取り払い、新しいチャレンジに挑み続けることが肝要」だそうです。

「アウトプット→思考」

まずアウトプットしてみること。創業時、「確定申告ソフトのあり方」にこだわりすぎてしまい、確定申告のタイミングにサービス開始が間に合わなかったという教訓を経て生まれたもの。Marketoを導入するきっかけになった指針でもあり、「まずはやってみて、徹底的に振り返り、改善する。それこそが、より良いマーケティング活動につながっていくのではないでしょうか」と伊佐氏は言います。

「Hack Everything」

SalesforceやGoogle Appsなど、さまざまなツールを導入して徹底的に活用しているという同社。Marketoについても、「メンバーが徹底的に学び、理解し、使い倒そうと真剣に取り組んでくれたことが今につながっています」と言います。

「あえて、共有する」

同社では、すべてのミーティングの内容を全社員で共有し、フィードバック可能な体制を整えているそう。伊佐氏は「マーケティングでも、うまくいかなかった施策もあえて共有する。そこからのフィードバックこそが、次のプロセスに向かう上での重要なステップになると考えています」と語ります。

月間のセッション数200~300万を誇る「経営ハッカー」

こうした「マジ価値マーケティング」により、実現した施策のひとつが、同社のオウンドメディアである「経営ハッカー」です。これは、「経営上の課題を解決できるような、価値あるメディアを」という着想から生まれ、個人事業主や中小企業の経営者向けに、会社設立、会計、確定申告などの情報を発信するメディア。「アウトプット重視」で、まずはテキスト中心のサイトを立ち上げ、その後ユーザーにとってより分かりやすいサイトにするためにデザインやコンテンツの改善を重ねました。

また、2015年にリリースした「会社設立freee」も、「自社製品のユーザーは会社を設立したばかりの人が多い」という傾向から生まれた、「マジ価値マーケティング」プロダクトのひとつ。会社設立の必要書類を5分で無料作成できるのが売りで、準備期間3カ月でリリースしたと言います。

自社プロダクトをリリース後に徹底して振り返り、改善を繰り返しているのも同社ならでは。「経営ハッカー」もコンテンツやデザインを継続的に見直すことで、いまや月間のセッション数200~300万を誇る人気サイトへと成長しています。これも、ユーザーにとって「マジで価値ある」という原点を突き詰めた結果と言えるでしょう。

「Marketo」はお客様のことを徹底的に考えるためのプラットフォーム

「マジ価値マーケティング」を実践する上で、必要不可欠なツールとなっているのがMarketoです。「経営ハッカー」も、Marketoのフォームを入れてユーザー情報を取得できるようにした結果、ユーザーの興味関心の可視化が実現しました。「ユーザーの興味関心に合わせ、より価値のあるコンテンツをメール配信することも可能になりました。」と伊佐氏。

さらに同社のマーケティング部門は、個人事業主・法人・税理士というユーザーの種別によって3つのチームを作り、それぞれのユーザーの属性や資料ダウンロードなどの行動によってナーチャリング手法を変えるなど、徹底したOne to Oneコミュニケーションを実践していると言います。

伊佐氏は、「このようにお客様の"声なき声"まで徹底的に聞き、パーソナライズされた情報、メッセージを届ける。さらにマーケティング、セールス、サポートの全チームで同じゴールを意識し、しっかりとPCDAを回していくためのツールとしても、Marketoはなくてはならない大事な存在です」と語ってくれました。

セッション終盤、「マジ価値マーケティング」を支える個性豊かなチームの横顔を紹介した上で、伊佐氏が再びスライドに掲げたのが、「マーケティングって面白い!」という冒頭のメッセージ。同社の今後の「マジ価値マーケティング」の行方が気になるとともに、新たなマーケティングのあり方についても考えさせられる、熱いセッションとなりました。

freee様の講演資料講演動画もありますので、是非ご覧ください。

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