デジタルマーケティング

アクセンチュアのコンサルタントが語る 消費者化する顧客に、BtoBマーケティングはどう立ち向かうのか

マーケティングオートメーション(MA)の普及によって、近年BtoBマーケティング、すなわち対企業のマーケティング活動に熱い視線が寄せられています。7月6日に開催した「THE MARKETING NATION SUMMIT 2016」においても、BtoBマーケティングに関するセッションは人気を集めました。ここでは、アクセンチュア株式会社 デジタルコンサルティング本部・シニア・プリンシパル 坂井田 大悟氏によるセッション「BtoBデジタル・マーケティングの潮流と要点」の模様をお届けします。

BtoB顧客の購買行動に見られる3つの特徴

世界55ヵ国でサービスを展開するアクセンチュアにおいて、BtoBのデジタルマーケティング・コンサルタントとして活躍する坂井田氏。今回のセッションでは、坂井田氏が日々クライアントの事業計画の策定や企画立案、プロモーションの設計など、マーケティングの実務に取り組むなかでつかんだトレンドや事例をご紹介いただきました。

まず、BtoB企業の顧客購買において、次の3つの特徴をつかんでおきたいと坂井田氏は語ります。

(1)購買の大半は自社営業と接する前に行われる
(2)異なる立場・視点を持つ関係者によって購買検討が行われる
(3)デジタル・ネイティブ世代がオンラインで情報を収集

昨今のBtoB顧客には、こんな特徴があることをご存知でしたか? イマイチ実感が湧かないという方のために、各項目について少しだけ補足しておきましょう。

(1)購買の大半は自社営業と接する前に行われる

インターネットが普及し、情報収集をオンラインで行うのは当たり前という環境になっているのは、何もBtoCに限ったことではありません。BtoBであっても、顧客の購買プロセスの大半は自社の営業と接する前にすでに行われています。「私たちマーケターが一歩踏み込んで、顧客が自社の営業にコンタクトする前の段階のマーケティングを強化することが求められているのです」と坂井田氏は話しました。

(2)異なる立場・視点を持つ関係者によって購買検討が行われる

ハーバード・ビジネス・レビューの調査結果によると、ひとつのBtoB購買が完了するまでには、平均して5.4人の承認が発生するのだそう。CXO(最高○○責任者)・事業部・購買部・経理部などの、視点の異なる複数部門の承認が必要となるため、様々な立場の人から選んでもらうためのコミュニケーションを想定しておかなければなりません。

(3)デジタル・ネイティブ世代がオンラインで情報を収集

現在、BtoB顧客の情報収集担当者の46%は、1980年代以降に生まれた18?34歳のデジタル・ネイティブな世代です。この世代の特徴は、メインとなる情報収集をインターネットで行っていること。つまり、"このデジタル・ファーストの方々にいかに情報を届け、ビジネスにつなげていくか"が、BtoBマーケティングにおいて重要となります。さらに注意したいポイントとして、坂井田氏は「BtoB顧客の42%がモバイルデバイスを通じての情報収集も行っており、そのうち49%は勤務時間内にモバイルデバイスを通じて製品の情報収集を行っているという事実です」と語りました。

BtoB顧客も消費者のような体験を求めている

こうしたBtoB顧客の購買行動の変化から、多くのBtoB顧客がBtoCの消費者のような体験を求めていることがわかります。その証拠として、坂井田氏は4つの調査結果を提示しました。

・71%のBtoB顧客が消費者と同様の体験を期待している
・79%のBtoB企業が顧客体験の差別化がビジネスに繋がると確信している
・86%のBtoB企業が顧客体験を重視している
・BtoB顧客の消費者化に対応する事で25%もの収益増加が起こりうる

消費者も購買担当者も、同じ"人"です。普段から消費者としてAmazonのような便利なサービスに触れているのですから、仕事であるならなおさら納期、在庫、購買自己完結(セルフサービス)、購買の即時性、容易性といった観点を重視していると考えられます。

BtoBマーケティングが顧客のニーズに応えるには?

このような顧客の多様性と消費者化に対応するには、マーケティングとしてどのような打ち手があるでしょうか? 坂井田氏からは「ウェブ・セルフサービス」と「リード・マネジメント」の2つが紹介されました。

ウェブ・セルフサービス

ウェブ・セルフサービスとは、BtoB顧客を起点に、どのように情報を提供するかをマッピングしたものです。顧客に拾ってもらう情報(Pull)と顧客に届ける情報(Push)を区別して、社内役割分担やウェブサイトの機能に落とし込んでいきます。

具体的には、Awareness・Interest・Learning・Evaluation・Action・Order &In-useというようなプロセスに沿って、デジタルで提供できる施策を、顧客が求める情報と、企業として積極的に打ち出していくものに分けて表示しているのが特徴です。

ウェブ・セルフサービス実践のために使えるツールとして、「カスタマージャーニー・マップ」と「プロモーション・チェックシート」があります。

「カスタマージャーニー・マップ」は顧客像と施策のブレをなくすのに有効です。「ただ、事業部の中にマーケティングの機能が内包されている、あるいは横串でマーケティングの部署が存在しているような、マーケティングが主導権を握れないケースもあります。その場合は、『プロモーション・チェックシート』が有効です」と坂井田氏は言います。

「プロモーション・チェックシート」を使って、顧客・地域・対象商材・メッセージなど、プロモーションの前提となる方向性について細かく洗い出していくことで、後になって「これは効果がなかったんじゃないか」と言われるリスクを減らせます。また、マーケター自身が工程表を作る際にも迷いを減らす効果があるのだそうです。

リード・マネジメント

リード・マネジメントは、匿名状態の潜在顧客を段階的に顕在的な顧客へと導く手法でMarketoが得意とする領域でもあります。自社のウェブサイトを訪れただけの、ページビューやインプレッションなどしかわからないような潜在的な顧客を、メールアドレスを取得した特定可能な顕在顧客へと引き上げ、さらにスコアリングを用いて段階的に顧客へと昇華させます。リード・マネジメントを使って、BtoBの営業機能を補完していくことが大切だと坂井田氏は主張しました。

テクノロジーの進化とともに、BtoB顧客の購買行動も変化していることは明らかです。消費者化するBtoB顧客のニーズに対応していけるように、私たちにはよりいっそう、柔軟なマーケティングが求められていると言えるでしょう。

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