不動産仲介会社が実践するMarketo Engageを活用した顧客とのコミュニケーション 不動産仲介会社が実践するMarketo Engageを活用した顧客とのコミュニケーション

不動産仲介会社が実践するMarketo Engageを活用した顧客とのコミュニケーション

2021年4月23日に開催したAdobe Marketo Engage(以下、Marketo Engage)のユーザー向けイベント「MUG Day Online」。ユーザーのみなさまにとって有益な情報がシェアされた数々のセッションの中から、本稿では株式会社アンバーによる事例「不動産仲介会社の2つの運用実例【管理画面と設計・設定内容紹介】」の内容をお届けします。代表の大江 健太郎氏にご登壇いただき、アンバーで支援されているFUKUYAグループのMarketo Engageの運用事例を披露していただきました。

事例①Marketo Engageを活用したアンケート運用

運用先企業である福屋不動産販売は、FUKUYAグループの一員として、近畿・東京・福岡に90店舗以上展開している不動産仲介業の会社です。株式会社アンバーでは、福屋不動産販売を含むFUKUYAグループのWEBサイト制作やSNS、広告運用を始めとしたデジタルマーケティング全般を支援されています。

ではさっそく、1つ目の実例を見ていきましょう。

もともと福屋不動産販売のご成約社様アンケートは、紙で運用されていました。しかし2019年2月にデジタル化を行い、さらに2020年9月に運用方法を刷新したと言います。

まず紙の時代に行われていたアンケート業務の流れを振り返ります。ご成約のお客様に、専門部署の担当者が一通ずつアンケートを郵送します。お客様は手書きで記入し封書で返送。返ってきたアンケートは、一通ずつ開封し手入力でアンケート結果を社内システムに入力。その後、お客様へ謝礼を再度郵送します。その数、週に300〜1000通。専任の担当者が3名体制で毎日作業しても、集計作業を行う月初には必ず残業が発生していました。アンケートの郵送代もかかるため、運用コストもかさんでいたと言います。

そこからMarketo Engageに切り替えると、どうなったのでしょうか。ご成約のお客様のリストをMarketo Engageに取り込むと、自動でお客様にアンケートフォームのリンク付きメールが送信されます。アンケートの回答内容は自動でリスト化されるため、それを使用することで集計作業や資料作成時間を大幅にカット。さらに、データをBIツールに取り込むことで、様々な分析やデータの可視化を集計作業時間ゼロで行えるようになりました。結果として、本来の業務であるお客様データのチェックと回答後の業務だけで済むようになったため、担当者を1名減らした専任2名体制とし、残業も一切なくなりました。郵送代がなくなった分、運用コストも約80%削減できたそうです。

ではなぜ再び2020年9月に運用方法を見直したのでしょうか。それには次の4つの課題や改善したいポイントがあったからだと言います。

  • アンケート回答率を改善したい
  • リピーターに別の設問アンケートを送りたい
  • 業務フローの更なる改善を図りたい

そのために約1年間運用した全データを分析し、見えた課題から次の3点の変更を加えました。

1. メールの配信シナリオを複雑化させる

以前はアンケートメールを配信して未回答だった場合、毎週同じ曜日・同じ時間に全5回のステップメールを追送していました。しかし分析した結果、1週目と2週目以降の回答率に大きな差がある事が分かりました。そこで週2回の配信へ変更しつつ、お客様が不快にならないよう、お客様の行動によって2回目のメールのタイミングと内容が複雑に分岐するシナリオを設計。たとえば開封したがクリックしなかった方は「回答を後回し」の可能性から、翌日の同じ時間に専用のアプローチメールを送信。たとえば開封しクリックしたが回答しなかった方は「回答を断念」した可能性を考慮し、メリット訴求メールを送信。その他にも開封した時間や各種サイトへのアクセス有無などによりシナリオが変化するようにしたのです。

2. アンケートパターンの追加と業務サポートの強化

今まで1種類しかなかったアンケートを新規とリピーターに分け、異なる内容を送れるように改善。その他、さらなる業務軽量化に向けて機能を追加。たとえばリスト取込時に誤った取り込みを検知した場合、誤りの可能性毎に異なる文面のアラートメールを送信し、誤った箇所を探す手間を削減する。プレゼント当選発表もリストを取り込むだけで、当選者へメールが配信される機能を設置するなど、細かな機能をその都度追加されました。アンケートのバリエーション追加や当選発表機能の追加など、Marketo Engageで取得するデータを増やす事で分析の余地が広がり、まだまだ改善の余地があると言います。

3. アンケートの回答内容や評価点によって完了ページと自動返信メールを変更する

アンケート結果とその後のお客様の状況や関係性を分析した結果、様々な気付きを得ることができたそうです。仮説通りだったものでは、リピートやご紹介をしていただいたお客様のアンケートは総じて必ず評価が高い。一方で意外だったものとして、提携企業のサービス利用とアンケートの結果に相関性が全くないこと。これらの分析による気づきから、高評価のお客様にのみ紹介やリピートを促進する文面を入れる、記載住所から引越しがまだのお客様にはアンケート評価に関係なく提携企業を紹介するなど、回答内容や評価点によって完了ページと自動返信メールのリンクバナーや文面などを変化させているそうです。

事例②Marketo Engageを活用した新着物件メルマガ配信

福屋不動産販売のWebサイトで会員登録を行い、マイページで物件の希望条件を入力すると、新着の物件情報がメールで届く仕組みになっています。この運用もすべてMarketo Engageで行っているとのこと。

仕組みとしては、Marketo Engageが「ホームページDB」と「物件DB」それぞれとAPI連携しており、最新データを毎日Marketo Engageに取り込んでいるそうです。配信設定はすべてMarketo Engage側で制御しており、現在は前に送ったメールから最短6日あけて新着物件があった場合にメールが送られるようになっています。

これらの作業はすべて自動で行なっているため、担当者として何もすることはないそうです。

サイト会員向け新着物件メルマガ:データ連動
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「いろいろ試した結果、メルマガの配信処理はエンゲージメントプログラムを使用しています。実際に何ヶ月間メールを送っているのか、一目でわかるところが、その理由のひとつ。ストリームは配信開始からの月数で移動していき、1月目〜12月目まで用意しており、13月目には1月目に戻るようにしてあります」(大江氏)

周年もカウントしていることから、2年、3年と長く物件を探している人に対して異なるアプローチをしたり、過去の送信物件履歴やお問い合わせ回数・時期なども紐づけているため、Marketo Engageのサイト閲覧履歴や開封履歴などの行動履歴と掛け合わせることで、お客様の段階・行動・実績に応じたきめ細やかな対応の設計を今後予定しているそうです。

メールのテンプレートはオリジナルで作成。現在は最新の10物件が表示されます。物件データの取得には「マイトークン」を使用していて、HTML用とテキスト用で異なるトークンを用意しているとのことでした。

短期サイクルと長期サイクルの掛け合わせでPDCAを回す

大江氏がMarketo Engageの運用で気をつけているポイントが2つあると言います。

1つ目は「短期サイクルと長期サイクルをしっかり把握しておく」こと。Marketo Engageありきの設計をするのではなく、全体戦略のひとつとしてMarketo Engageでお客様とのコミュニケーションを図るよう、お客様のことを考えたコンテンツ作成を意識しています。

まとめ
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2つ目は「自分たちでできることをしっかり把握しておく」こと。集計に時間がかかると、それ以外のことができなくなるので、Tableauでテンプレート化するなど、極力時間をかけずにできるようにしています。また、Marketo Engageの運用において17項目のKPIを設定しており、そこを見ながら全体設計を行い、拡大を狙っているそうです。

その上で、短期と長期でどのような考え方をしているのでしょうか。

まず短期的には、闇雲に設計するのではなく、しっかりと仮説を立てて、ユーザーメリットを最大化するために、試行錯誤を重ねていきます。そもそもMarketo Engageを使う必要があるのかないのかを検討するようにしながら、年間計画に基づいて、少しでも目標に近づけるよう、KPIを見て都度調整していると言います。

一方、長期的には、将来的なデータ活用を見据えて、中長期のロードマップに従い、拡大を図っていきます。自社でできないことは他社の力も借りてコラボレーションで実現したり、アンケートで得たお客様の意見を聞いてメリットをキャッチアップしたりしていくそうです。

「現在、FUKUYAグループのWEBチャネルは各グループ企業ごとのWEBサイト・会員サイト・コラムサイト・SNSなどがあります。数年かけて各チャネルが独立せず連携していく仕組みを作っており、その仕組みとなる土台づくりはまもなく完了します。その仕組みの柱となる、お客様とのコミュニケーション戦略の核にMarketo Engageを据えています。Marketo Engageでの個別施策は常にブラッシュアップする必要はありますが、短期的な視点ばかりにとらわれず、長期的な視野と現在の位置を常に意識し、全体戦略と長期目標の達成を大切にしています」(大江氏)

大江氏の挑戦はまだまだ続きます。
事例 | 福屋ホールディングス
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2021 Marketo Engage Champion | MarTech of the Year 大江 健太郎 氏
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