日本経済新聞社が明かす、Marketo Engage導入から約半年間の歩み 日本経済新聞社が明かす、Marketo Engage導入から約半年間の歩み

日本経済新聞社が明かす、Marketo Engage導入から約半年間の歩み

2021年4月23日に開催したAdobe Marketo Engage(以下、Marketo Engage)のユーザー向けイベント「MUG Day Online」。ユーザーのみなさまにとって有益な情報がシェアされた数々のセッションの中から、本稿では日本経済新聞社による「複数商品をマーケティングするチームの発足からMA運用までの軌跡と設計思想について」の内容をお届けします。B2Bの人材教育事業でMarketo Engage活用に取り組んでおられる、大竹真生氏と菊地麻奈氏にご登壇いただき、導入から約半年間のリアルな試行錯誤についてお話しいただきました。

Marketo Engageでリードを最大活用したい

約30年の歴史を持つという日本経済新聞社の人材教育事業。ビジネスパーソンのスキルアップやキャリアアップを図るべく、多彩なサービスを展開されています。学びのプラットフォームを提供する「日経ビジネススクール」、ベテラン記者経験者が講師となってニュースを解説する「日経 経済知力研修」、ビジネスに必要な幅広い知識と汎用スキルを評価する「NIKKEI TEST」、スマホでビジネス基礎力を身につけられる「ラングリット」、他にもグローバル人材の育成教材である「VERSANT」や「EXCEDO」といった商品があります。これらはコンシューマー向けにも販売されていますが、社内のマーケティング組織はB2BとB2Cで分かれており、Marketo Engageを活用されているのは、大竹氏と菊地氏が所属するB2Bの部門となります。

同社がMarketo Engageの導入に至った背景について、ご紹介していきましょう。2018年にマーケティングチームが発足し、まずはSalesforceを導入されました。数々の商品がある中で、同社では商品ごとの事業部制を採用されています。商品ごとに異なる営業担当者がついており、Salesforce導入前の顧客リストは、事業部ごとにExcelで管理されていました。そのため、「商品Aを購入した顧客が実は商品Bや商品Cも購入している優良顧客なのに、情報が共有されていないのでわからない」「商品Aを購入した顧客は商品Cにも興味があるかもしれないのに、リストを共有できないためにアップセルの営業ができない」といった弊害が起きていたのです。

Salesforceを導入して、顧客の情報管理を一元化&可視化したことで、上記の弊害はなくなりました。さらに、どんなリードを獲得すれば良いのかも見えてきたことから、リード獲得の強化を図り、集めたリードに対してSalesforceを使ったメールマーケティングも始めたと言います。

しかし、ここで新たに次の4つの課題が発生しました。

  1. Salesforceのリストメールという機能では、単発のメール配信になってしまうため、毎回手間もかかるし、ナーチャリングもできなかった。
  2. 1つの商品で失注になっても別の商品を提案できる仕組みを整えたかった。(Marketo Engageで言うところの「リサイクル」を行いたかった。)
  3. Salesforceではリードやコンタクトの重複が発生してしまうため、継続的に施策の効果測定を行うことが難しかった。
  4. インサイドセールスがいないため、多くのリードをホット化してから営業に届ける仕組みをつくりたかった。

これらはMarketo Engageで解決できることばかりです。そこで2020年9月にMarketo Engageを導入され、現在は「潜在層のナーチャリング」「潜在層のリサイクル」「ナーチャリングとリサイクルの自動化」に注力されています。

設計&コンテンツ作成で工夫したポイントとは

Marketo Engage導入後、最初に行ったのは、複数の商品を無駄なくお客様に紹介するための仕組みづくりだったと言います。「私たちがMAで実現したかったのは、単にステップメールを送ることではありません。手間隙をかけて獲得した大切なリードですから、リサイクルをすることで、私たちのサービスについてすべて知っていただきたかった。他のMAとも迷っていたのですが、このリサイクルの思想があったことがMarketo Engageを選んだ大きな理由のひとつです」(大竹氏)

こうした考えをシナリオに落とし込んだのが、以下の図です。

複数商品ナーチャリングシナリオ(改善中)・リサイクルの仕組み
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「まず資料請求やイベントの参加によって『初回接点』が生まれます。そのときの行動によって、そのまま営業に渡すのか、メールによるナーチャリングを始めるのかに振り分けます。その後、ナーチャリングの過程において、私たちが"金行動""銀行動"と名付けた特定の行動をお客様が行った場合、ホットなリードとして営業に渡します。それ以外のものは、商品の特性によって振り分けた3つのグループの中で、複数の商品に関する情報をお届けしながらナーチャリングを続けるようにしています」(菊地氏)

このシナリオに沿って、Marketo Engageで構築したリードライフサイクルが以下の通りです。

複数商品ナーチャリングシナリオ(改善中)・リサイクルの仕組み
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次に、コンテンツ作成において工夫されたポイントを見ていきましょう。

チームのリソースが不十分で、ナーチャリングに必要なコンテンツが不足していることから、次の3つを主軸にコンテンツ作成を行なっていると言います。

① ウェビナーの案内
② ウェビナーの後に作成するアーカイブ動画やセミナーレポート
③ 営業資料をもとに、導入事例や商品紹介を資料化したもの

こうして作成されたメールは次の2種類に分類され、それぞれの目的に応じた配信方法で出し分けているそうです。

A:顧客視点での興味・関心の醸成を行う「ナーチャリング中の人に届くメール」(エンゲージメントプログラムで実装)→②・③
B:売り手視点の告知を行う「リードや顧客全員に届くメール」(デフォルトプログラムで一括送信)→①・③

このようにシステム化することで、企画にかける時間を削減されているのですね。

スコアリングの定義は営業と一緒に考えるのが成功への近道

そして最も苦労されたのが、スコアリングだったと言います。「Marketo Engageの設計〜実装〜運用開始までをマーケティングチームだけで行ない、営業の声をあまり聞いていなかったことが失敗につながりました」と大竹氏は振り返ります。

そんな当初のスコアリングは、以下のように行動スコアと属性スコアの掛け合わせでランク付けをしてMQLとしていたそうです。

1つ目のスコアリングの定義
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失敗した理由として、菊地氏は次の3つを挙げました。

  1. 営業にとってなぜMQLになったのかわかりづらく、フォローするモチベーションが非常に低い結果となった。
  2. 行動スコアの調整がマーケと営業の間でうまくいかなかった。
  3. 商品ごとに営業担当がいるので、他の商品のスコアが高まることに対して、あまり興味を持ってもらえなかった。

これらの反省をもとに、今年の1月から設定した新たな定義が"金行動""銀行動"です。「たとえば"金行動"は問い合わせ、"銀行動"は商品の詳細ページを見た人といったように、スコアが上がる条件を営業と一緒に定義したので、都度、説明しなくてもMQLのフォローをしてもらいやすくなりました」(大竹氏)

最後に大竹氏は、B2Bマーケティングの効果測定に役立つTipsとして、通常とは異なるROIの考え方を紹介しました。

「私たちは『施策別の売上額』を『リード獲得数』で割ったものをROIとして活用しています。というのも、日経IDに対するメール配信の効果測定をする際に、単純な売上額だけでB2Cと比べられてしまうと、B2Bの私たちは非常につらいものがあるんですね。そこでMarketo Engageの『パフォーマンスインサイト』を使って施策別に過去の売上額を出し、それを各施策で獲得したリード数で割れば、『過去に配信したこのメールでは1リードあたりいくら稼いでいる』と実績が示せるようになります。この結果をROIとして見せながら、次回配信するときの交渉をしています」。

複数商材を取り扱うマーケティング部門の課題としていた"リードの一元管理"や、失注したとしても別の商材への可能性をつぶさない"リサイクル思想"、長期的な関係性構築による"商談機会の最大化"、この3つのポイントを日本経済新聞社のビジネス課題と照らし合わせた際にMarketo Engageでの実装が実現し、前に進むことができているのではないでしょうか。
これからも日本経済新聞社の挑戦はまだまだ続きます。

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