導入から5年目にして、Marketo Engage活用が一気に進み始めた理由とは? 導入から5年目にして、Marketo Engage活用が一気に進み始めた理由とは?

導入から5年目にして、Marketo Engage活用が一気に進み始めた理由とは?

2021年4月23日に開催したMarketo Engageのユーザー向けイベント「MUG Day Online」。ユーザーのみなさまにとって有益な情報がシェアされた数々のセッションの中から、本稿ではHamee株式会社による「Marketo Engage に使われる側から活用する側へ ターニングポイントを紐解く」の内容をお届けします。

2016年10月にMarketo Engageを導入してから長い間、活用しきれていない状態が続いていたという同社。そこから2020年9月を機に、活用が進み始めたと言います。そのターニングポイントでは、いったい何があったのでしょうか。同社アカウントマネジメント部マネージャーの高木大輔氏とマーケティングチームの岩本侑子氏にご登壇いただきました。

WhatやHowを追いかけているうちは真の活用には辿り着けない

ECサイト運営業務を効率化・自動化するSaaS型のB2Bシステム「NEXT ENGINE」の顧客育成にMarketo Engageを活用している同社。一般的なSaaS型サービスの事業スキームとは少し異なり、無料体験後にオンボーディング・導入支援・契約・契約更新/アップセル/クロスセルへと進んでいく流れになっています。したがって、以下の図のように、カスタマーサクセスの概念も、一般的なものより広く捉えていると言います。

事業スキーム

高木氏によって、このカスタマーサクセスの思想が導入されたのは、2020年9月のこと。これがまさにMarketo Engageの活用レベルが一段上がった、同社のターニングポイントに当たります。

Marketo Engage活用と、カスタマーサクセスの思想との間に、どのような関係性があるのかを明かす前に、まずは2016年10月Marketo Engage導入当初からの軌跡について、簡単に振り返っておきましょう。

<2016年〜2017年:Marketo Engageに使用されていた時期>

当時の「NEXT ENGINE」の事業スキームは次の図の通りでした。

当時(2016年)の事業スキーム

当時はマーケティング部とカスタマーサポート部で業務が分断されていて、営業部は顧客を横断的に見ていたものの、Marketo Engageを導入したのはマーケティング部だけの状態。当時のマーケティング部長からの「MAツールを入れよう」の一声でMarketo Engageの導入が決まったと言います。突然、「こんなふうに構築したから、使ってみて!」と渡された岩本氏は、Marketo Engageの思想まで、きちんと把握しきることができなかったそうです。

「『Marketo Engageにこんな機能があるから使ってみよう』という感じで、なんだか私たちがMarketo Engageに使用されているみたいでした。ナーチャリングメールやメルマガには使用していましたが、上司からは『メールを送るだけなら他のツールでよくない?』と言われてしまって...。でもMarketo Engageを解約するのは敗北感があるし、ちゃんと使いたい意思はある。じゃあスコアリングに挑戦しようということになりました」(岩本氏)

<2018年〜2019年:WhatやHowばかりを追いかけていた時期>

スコアリングを活用してナーチャリングメールの分岐条件にしたり、スコアリングとWebパーソナライゼーションを組み合わせて表示させるバナーを切り替えたり、一度離脱した顧客の再訪を検知してインサイドセールスにパスしたり、といったように、断片的な施策を重ねていきました。

「しかし本来であれば、Whyを起点に考えて、『自分たちがこうありたいから、ここでMarketo Engageを使おう』と考えるべきですよね。当時の私たちには、この視点がごっそり抜け落ちていました。やっていることすべてが無駄であったとは思いませんが、胸を張って『活用できています!』とは言えない状況でした」(岩本氏)

<2020年9月〜:Marketoを活用できるようになった時期>

ここでようやくターニングポイントが訪れます。高木氏が構想したカスタマーサクセス思考が形となり、これを実現するためにMarketo Engageを活用していくことになったのです。

高木氏が完成したフロー図をもとに、岩本氏が簡略したものがこちらです。

フロー略図

高木氏は、どうやってこのフローを考えていったのでしょうか。次に詳しく見ていきましょう。

カスタマーサクセスのフロー図をつくるための5つのステップ

高木氏は、自身がフロー図を作成する際に使用した思考法をわかりやすく説明するために、絵を描く作業に当てはめて、その手順を説きました。

ステップ1:自分が描こうとしている絵の全体像をイメージする。
ステップ2:小分けのパーツに分ける。
ステップ3:小分けにしたパーツごとに絵を描き始める。
ステップ4:パーツの連結部分を調整していく。
ステップ5:ステップ3・4を繰り返して範囲を拡げていく。

思考の5ステップ(一般化)

これを実際の事業スキームに置換すると、次の5ステップになります。それぞれのステップで、高木氏が気をつけたポイントとともに、ご紹介していきます。

ステップ1:自社に合いそうな消費行動モデルを見つける。
ポイント:全体像を描かずに細部からフローをつくり込まない。(いきなりステップ3からスタートしない)

「あとで縮小or拡大することは可能なので、現時点でどこまで描くのかを決めます。モデリングすることが目的ではないので、AIDMAやAISASのような消費者行動モデルを引っ張ってくるだけで大丈夫です」(高木氏)

ステップ2:自社ユーザーに置き換え、カスタマーライフサイクルを定義する。
ポイント:ユーザーの態度変容・行動変容について、何から何に変えるのか、しっかりと考える。

「先ほど引用したのは一般論なので、一部、自社に当てはまらないところが出てくるはずです。そこを自社ユーザーに置き換えて、顧客行動を当てはめてみます。弊社ではL(ライフサイクル)01〜10のフェーズに分けています。特殊ケースはいったん省き、多くの人が当てはまるケースを考えてみてください」(高木氏)

思考の5ステップ(弊社への置換)ステップ2

ステップ3:スタート地点・エンド地点を確認し、その間を埋めるフロー・ロジックを検討する。
ポイント:できる限り、人による誤認識・誤判断が起こらないようにする。

「スタート地点(L01)とエンド地点(L10)がわかったので、その間を埋めていくためのフロー・ロジックを考えてきます。注意点として、1つのアクションで複数の感情や行動を呼び起こすのは難しいので、できるだけ1つずつロジックを組んでいくほうが賢明です。ただ、細かくすればするほどフローが複雑になり、業務も煩雑になるので、お客様にとっても自社にとっても無理のないものを定義していくことが大切です」(高木氏)

思考の5ステップ(弊社への置換)ステップ3

ステップ4:連結ルール・運用ルールを決める。逸脱した場合は、都度調整・検討・徹底する。
ポイント:人を責めずに、自分の脳内にあるロジックのムラ・ムダ・ムリを責める。

「弊社の場合、ライフサイクルが変わると担当部署が変わってくるので、ちゃんと引き継ぎを行う必要があります。単純にお客様を渡すだけではダメなんですね。どういう条件だったらどうするのか、判断条件を丁寧に決めて共有しておくことが大事だと考えています。勝手な判断を許容すると、フローをつくっている意味がなくなってしまうので、運用が始まった後も、設計者が意図しない挙動をしていないかウォッチしていかなければなりません」(高木氏)

ステップ5:ステップ3・4を繰り返して、範囲を拡げていく。
ポイント:定期的にしばらく寝かせる。

「大切なのは、ステップ3・4の繰り返しを、ひたすら愚直にやり続けることです」(高木氏)

組織を巻き込みながら少しずつ前へ

今回、カスタマーサクセス思想がうまく機能した要因のひとつとして、「フローをつくるだけでなく、きちんと現場に落とし込んだことが挙げられる」と語る岩本氏。高木氏はカスタマーサクセス思想を組織に浸透させるために、どのようなことに気をつけていたのでしょうか。

その回答として高木氏は、次の6つを提示しました。

① 誰がキーマンなのかを見極めて、早期に巻き込む。
② 具体的に話す・示す。
③ フロー図を起点に、すべての行動・発言をする。
④ 小さな成功体験を積み重ねる。
⑤ フロー業務に集中する(させる)。
⑥ 任せるべきは任せる。

「キーマンを見極めて、早期に巻き込むのは大事ではあるものの、自分の立場によって難しいところでもあります。私の場合、アカウントマネジメント部のマネージャーなので、全体を構築するところには意思決定権があるのですが、それを実際に実装するには、現場メンバーの協力が必要となります。今回のプロジェクトを立ち上げる上で、早期に岩本を巻き込めたのはよかった。

いきなり全体を巻き込む必要はないと思うんですよね。イメージとしてはオセロ。だんだん自分の陣地を広げていくイメージです。1つのパーツをしっかり描いて、次のパーツへと移るとき、つまり連結部分ができるときに初めて、隣の部署のキーマンを巻き込んで調整していきます。むやみやたらと声をかけないのも大切です。

カスタマーサクセスは抽象度の高い話なので、細かく丁寧にコミュニケーションを重ねていく必要があります。論点がブレないように、フロー図を見ながら、今どこのことを話しているのか、都度、具体的に示しながら会話することを心がけていました。

また、会社としてカスタマーサクセス思想が成立するという本当のゴールに辿り着くまでは、年月がかかるだけでなく、越えなければならないハードルも数多くあります。そんな中で多くのメンバーを巻き込むには、小さな成功体験の積み重ねが欠かせません。

Marketo Engageのプログラムがひとつ実装されただけでもいい。なんでもいいので、私たちの目指している姿に合致する発言や行動をメンバーがしたときには、ひとつひとつ『それだよ、それ!』と褒めるようにして、『これでいいんだ』とメンバーが自信を持てるよう、気をつけていました」(高木氏)

岩本氏は「高木さんと話すときに、フロー図を理解していないと会話にならない」と感じたことから、自身がわかりやすいフレームワークに落とし込んで、自分なりにまとめてみたのがよかったと言います。

ターニングポイントを読み解く

「どうしても上(マネージャー層)から下(現場)に話が落ちてくる際に、思考がWhyからWhatになりがちです。Marketo Engageの知識は下のほうが多いので、なおさらそうなりますよね。だからこそ、お互いに浸透させる手間を惜しまないことが本当に大切。お互いに質問したり説明したりする権利があると思っているので、相互理解に労力をかけたことが、ターニングポイントにつながったと考えています」(岩本氏)

最後に高木氏は、Marketo Engageの活用が進んできたこの半年間について、次のように振り返りました。

「Marketo Engageの活用は、進めれば進めるほど、どんどん課題は出てきます。しかし同時に、小さな成功が次の成功を呼び込むというのも、実感しているところです。可能性がどんどん広がっていることは間違いない。それが何よりもモチベーションになっています。何も私たちはスペシャルな存在ではありません。私たちにできるなら、間違いなくみなさまにもできると思いますので、ぜひみなさまのお客様に喜んでいただくために、Marketo Engageの活用を着実に進めていただけると幸いです」。

2021 Marketo Engage Champion | Marketer of the Year 岩本 侑子 氏

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