10月13日に開催した「THE MARKETING NATION SUMMIT 2017」のセッションの中で、今回は注目の3名のマーケターによるパネルディスカッションの模様をお伝えします。

タイトルは「ライバルでもノウハウ共有? ! ~施策の効果を高めるポイントとは~」。顧客とのコミュニケーションにおいて、マーケターは新しいアイデアやヒントをどこから得ているのか。コミュニケーション施策の効果を高め、Marketoを有効に活用するための考え方、意見を語り合っていただきました。

<パネラー紹介>
株式会社クレスト
代表取締役社長 永井 俊輔氏

株式会社ジャフコでM&Aやバイアウトに携わった後、同社入社。2016年より現職。CRMやMAを活用した施策で、売上を拡大。同社を業界最大手に成長させた立役者。2017年には初の書籍となる『できる100の新法則 実践マーケティングオートメーション』(インプレス)を上梓。

株式会社ビズリーチ
カスタマーサクセスグループリーダー/プロダクトマネージャー 冨里 晋平氏

インフラエンジニア、セールスエンジニアなどのキャリアを積んだ後、2015年7月に同社に参画し、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」のプロダクトマネジメントおよび会員向けのCRMを担当。Tableauを使ったデータ分析やMarketo、KARTEなどマーケティングツールの導入/活用を推進。

トレンドマイクロ株式会社
エンタープライズコミュニケーショングループ 松井 真理子氏

B2Bメールコミュニケーション スペシャリスト。半導体商社でメールを活用した新規リード獲得に従事した後、2013年トレンドマイクロ入社。同社でもMAによる法人向けメールコミュニケーションに一貫して取り組み、メールのエンゲージメントを大きく向上させている。

<モデレーター紹介>
株式会社マルケト
マーケティング本部長 小関 貴志

3名のマーケターは、なぜMarketoで高い成果を上げるまでに至ったのか

小関:まずは、事業内容とMarketoでどのような施策を実施し、成果を上げていかれたのか、自己紹介を兼ねてお話いただけますか。



株式会社マルケト

マーケティング本部長 小関 貴志

永井:弊社は店舗のウィンドウディスプレイのデザイン、設営を手掛けるサイン&ディスプレイ事業を手がけています。実は、私は2代目でして、先代の父親の時代は看板制作をメインに、内装工事業者、代理店などを通じての受注に限られていたのが、Marketoの導入により、取引先を拡大。現在は業界最大手として、4000社以上のファッション、小売、飲食の企業と直接取引をさせていただいています。



株式会社クレスト

代表取締役社長 永井 俊輔氏

また、ガーデニング、雑貨を扱う小売店を買収。店舗経営によって得た知見、蓄積したデータをもとに、リアル店舗におけるユーザーの関心度を数値化するシステムを開発。店舗の立地や設営、広告などの適正化を実現するデジタルソリューションも提供しています。

このように成熟産業にITを組み合わせ、新たな価値を生み出す「レガシーマーケットイノベーション」を理念に掲げ、起業家として新たなビジネス創出に取り組んでいます。

マーケティングに関しては、MarketoにCRM、IDPOS、DMPなどを連携させ、BtoB、BtoCともに実践。購買で終わりではなく、横展開、拡散していただくまでのロイヤルカスタマーの醸成をミッションに、経営戦略の中心にMarketoを据え、経営トップである私自ら、取り組みの推進、統括をしています。



冨里:弊社は、HRテック(HR×Technology)企業として、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」を始め、HR領域を中心に各種インターネットサービスを展開しています。

私の役割としては、「ビズリーチ」のプロダクトマネージャーとして、会員様向けCRMに従事しています。施策としては、Marketoを活用し、会員の方が登録→レジュメ(職務履歴書)更新→スカウト受信・返信または応募・書類合格に至るまでの会員様のアクティベートがメインです。




そのためにメールを始め、さまざまなコンテンツをお届けしていくわけですが、その際に注力している3つのポイントが、「いつ(トリガー)、誰に(セグメント)、何を(個別化)」です。

具体的にはビズリーチの会員様情報、行動データをMarketoに連携。会員の方が受けたスカウト量や転職の意向、職種などに応じてセグメントし、レジュメの改善などを促すメール施策を実践しています。

また、1週間ごとに、スカウトメール数や採用企業様がどんな検索をしているのかを示した個別レポートも送信し、会員様のフェーズ、セグメントに応じたアドバイスをお届けしたり、検索アップが狙えるようなキーワードもお知らせしたりしています。

このようにセグメント、個別化を強化した施策により、メール開封率50%、クリック率も40%を超えるなどの成果を実現しています。



株式会社ビズリーチ

カスタマーサクセスグループリーダー/プロダクトマネージャー 冨里 晋平氏

松井:私は半導体商社を経て、2013年、情報セキュリティソフトウェアベンダーである弊社に転職しました。前職から一貫して、BtoBのメールコミュニケーションに従事しています。

Marketoを導入したのは2014年のことですが、100%自社運用で、導入後のメール開封率は13ポイントアップしました。



ポイントは大きく3つあります。1つ目が月35本の新作メールを作成し、業種別などの細かいセグメントを実施していること。2つ目が、リッチなメールを作成すること。Marketoの導入により業務効率化を実現した分、量、質ともにこだわったコンテンツ制作に注力しています。

3つ目が、改善を重ねること。MarketoのA/Bテストを活用しながら、開封率などの結果を比較し、独りよがりにならないよう、データに基づいた改善をくり返すようにしています。



トレンドマイクロ株式会社
エンタープライズコミュニケーショングループ 松井 真理子氏

ライバル同士が仲良く情報交換!「コミュニティ」で広がるビジネスチャンス

小関:ありがとうございます。では、ここから本題に入りたいと思います。みなさん、施策に関しては日々、試行錯誤、改善を実施されていると思いますが、新しいアイデアやヒントはどこから得ていらっしゃいますか。

冨里:シンプルですが、ユーザーの"声"に耳を傾ける。そこに尽きると思います。

弊社では定期的にユーザーインタビューを実施していますが、それ以外では、ユーザーの心理をより深く理解するため、他社の転職サイトも利用して研究しています。

実際に私が体験したケースですが、スカウトを受けて返信したものの、その返事がなかなか来ず、転職する気もないのに、妙に落ち込んでしまったことがありました(笑)。こうした体験を自社サービスの改善に生かしています。

永井:私も買い物の際に、あらゆるオンライン、オフラインのチャネルを試すようにしています。

実際に試した某自動車メーカーのWebサイトでは、フォームを入力後、送られてきたメッセージが絶妙で......思わず車を買ってしまったこともあります(笑)。

松井:私は本を読むことを習慣づけています。マーケティング関連の書籍のほか、お客様となる情報システム部門のIT管理者が読むような技術系の雑誌も含め、月4冊は読むようにしています。

小関:みなさん、さまざまな形で情報収集されているわけですね。では、マーケターとして自らトコトン考え悩むべきことと、分かる人に尋ねたほうがいいことのバランス、これらの判断はどうされていますか?

松井:日々、数多くのメールを作成するなかで、受け取る方が何を求めているのか。どういった発信がお客様のアクションにつながるのか。コンテンツの内容に関しては、今も常に考え、悩むポイントですね。

一方、やりたいことが明確で、Marketoでどう実践していいかわからない場合は、詳しい人に聞くのが一番だと思います。

私の場合、社内や海外拠点のMarketoのスペシャリストに頼ることが多いのですが、Marketoユーザーならば、情報交換の場として用意されているコミュニティを活用されるのがいいのではないでしょうか。

永井:同感です。先のご質問にひと言で回答するなら、「戦略は悩んで、戦術は即、聞く」。何をするべきは、自分自身でしっかりと頭を回転させることこそがマーケターとしての成長にもつながりますが、方法が分からない場合は、悩むより聞く。オフライン、オンライン、どちらでも気軽に質問ができるので、積極的にコミュニティやユーザー会を活用することをお勧めします



冨里:私は、お二人とは違う見方をしていまして、最初に「どういう施策をやっていますか?」と聞くのもアリだと思います。というのも、最初の施策の打ち方を間違えると、後戻りができないことも多い。

例えば、「ビズリーチ」のような転職サービスでは、アクティブでない会員様にどうしたら活用いただけるかも大きな課題ですが、同業他社のマーケターに聞くと、そういった会員様がアクティブになることはなかなかないという声が多い。ならば、効果が出にくい施策に注力するよりも、もともとアクティブに活動されている会員様に対する施策に振り切ることができるわけです。

小関:冨里さんは弊社のコミュニティの一つ、HR業界に特化したワーキンググループ「HRKETO(ハルケト)」にも積極的に参加され、情報交換をなさっていますよね。

冨里:はい。毎回、40~50人のマーケターが集い、オープンに「こんな施策がうまくいった」「これは失敗した」と話し合い、施策に生かしています。アクティブでない会員様への施策は効果が薄いという声が挙がったのもコミュニティの場でした。

永井:そこがMarketoのすばらしいところですね。今回のテーマにもつながりますが、まさにライバル同士でもノウハウを共有する。私はMarketo以外にも多くのツールを活用していますが、ユーザー同士の連携がここまで密なケースはほかに例を見ないのではないでしょうか。

小関:今の話題に関連し、みなさんがユーザー会やコミュニティの場で解決したお悩み、あるいは他社を参考に取り入れた施策などはありますか。先駆者として、情報発信側に立つほうが多いかもしれませんが......。

冨里:実際のマーケティング施策に関する悩みとは違いますが、意外にハードルとなるのが、Marketoに関して、社内のメンバーをいかにトレーニングしていくかです。

時間的制約もあるなか、ユーザー会に同行してもらえば、てっとり早くその場で操作方法を学んでもらえる。上司に対し、マーケティングに関する理解を深めてもらう場として活用するのも有効だと思います。

小関:永井さんは、ユーザー会の会長を務められていますが、日々、仕事で忙しいなか、そういった役割を担う価値をどこに置いていらっしゃいますか?

永井:私も発信者となることのほうが多いのですが、自分の考えやアイデアを、他社のマーケティングに活用いただけるのは純粋にうれしいですね。

また、コミュニケーションの輪が広がるなかで、一緒に飲んだり、ラーメンを食べに行ったりするような仲間も増え(笑)、引いては新しいビジネス創出にもつながる。知識のシェアがインタラクティブに実現するのは、大きな価値だと思います。

小関:コミュニティが広がれば広がるほど、発信者側にいたとしても、自分に還ってくるものも多くなるということですね。

今回のイベントを「Marketo Nation」ではなく、「Marketing Nation」と銘打っているように、お客様やパートナー企業様と一体となってエコシステム強化に取り組んでいる当社としても、とてもうれしいご意見です。

最後に、3名のパネラーから、来場者に向け、改めて「コミュニティ活用のススメ」、さらに「自社運用でMarketoを活用するメリット」についてアドバイスがあり、当セッションは終了となりました。

本セッションの講演資料はこちらからダウンロードいただけます。講演動画もございますので、ぜひご覧ください。