今回は、マルケト本社ブログの中から、B2Bデマンドジェネレーションのエキスパートである著者Vikas Bhattの記事「Is Your Lead Really Sales Qualified? Here's How To Tell(そのリード、本当にSQLですか?判断の方法)」を取り上げます(原文はこちら)。

「売上・利益、顧客への価値提供の最大化」という共通の最終目標を掲げているにもかかわらず、組織が分離され別々の役割と特性を与えられた営業とマーケティング。
お互いが「あちら」と「こちら」という言葉を使い、敵対心を持つことすらあります。

"営業部は、マーケティングチームからは単に連絡先(つまり「クオリファイド」になっていないリード)だけが渡されると考えていますが、マーケティングチームは、営業側に引き渡した「クオリファイド・リード」が商談化しないと営業部を非難します。
MarketingSherpaによると、実際には27%のリードしかクオリファイされていないにもかかわらず、全リードを営業へ送客しているB2Bマーケターが61%も存在しています。更には、TASグループの調査によると、営業はマーケティングリードの50%を無視していることがわかりました。"

この原因を、筆者は次のように説明します。

"「クオリファイド・リード」が何を意味するかの共通認識が欠如しているのです。各チームが、それぞれの定義を持っているがために、混乱を招くだけでなく、フラストレーションと収益の損失をもたらしてしまっています。"

本記事では、MQLとSQLの定義を再確認しながら、マーケティングと営業が同じ売上という目標に向けてシームレスに連携するためのコツをご紹介します。

リード/MQL/SQL定義の再確認

そもそもMQL(Marketing Qualified Lead)とはどんなリードでしょうか。直訳すれば「マーケティングに値するリード」となりますが、具体的には「自社の製品やサービスを利用することによって利益を得ることができ、自社の理想的顧客ペルソナの定義に適合する可能性がある、マーケティング部門が創出したホットな見込客を指します。

一方のSQLは、「MQLの中でも活動対象として優先させるべきものとして営業が選択したリード」を指しています。

このようにMQLやSQLの定義を理解していないと、購買意欲のない不適切なリードに対して時間を費やして活動することにもつながりかねないと筆者は懸念しています。

"MQLは自社のウェブサイトのコンテンツ(必ずしも製品やサービスに関するページとは限らない)に繰り返し興味を示しており、つまり顧客となる可能性があるリードです。簡単に言えば、これらリードは、自社の潜在顧客プールの中で、浮き上がった存在になったもの、ということです。ただし、重要なのは、MQLは購買からはまだ遠いですが、戦略的育成活動には反応を示すリードであることです。

一方のSQLですが、これらはバイヤージャーニーの道のりをさらに進んでいるリードで、「Sales-Ready(営業担当者と対話ができる状態)」にあります。SQLはバイヤーのペルソナ像に完全にフィットし、営業担当者と対話ができる可能性が高いリードと言えるでしょう。

MQLとSQLの明確な違いの1つは、購入する準備ができている度合いです。MQLは、現時点ではまだ購入する準備ができていない可能性が高いですが、SQLはすぐに営業部がアプローチしても良いであろうとクオリファイされたリードです。

これをわかりやすくまとめると、次のようになります。
MQLとSQLの決定的な相違点は、MQLは自身の課題を認識している"ビジター"であるのに対し、SQLはあなたの会社の製品やサービスが自社の課題や問題への解決策であると理解しているリードであるという点です。"

MQLがSQLに移行したことを察知するためには、リードがバイヤージャーニーのどこにいるのかを判断できる仕組みが必要であると筆者は考えます。リードの購買検討プロセスの進行度合いに応じて、引き続きマーケティングによる醸成活動が必要なのか、それとも営業に送客すべきなのかを判断すべきだからです。これについて見ていきましょう。

営業とマーケティングの円滑な連携を実現し、共通目標に向けて成功を収めるために必要な要素を段階だて整理すると次のようになります。

1) 「社内チームで生み出した事前の深い洞察とアカウントインサイトを収集する仕組みがあってこそ、注目に値する顧客の活動やカスタマージャーニーにおける顧客の位置を知ることができる」

ここでは、ターゲットとなるセグメント、アカウント、購買部門、購買関与者を深く洞察します。対話を通じ、顧客、営業、SEなどの経験や声を反映します。
バイヤージャーニーにおける理想ペルソナを、関係者で共有することが重要です。

理想ペルソナを描く際、次の3つのレイヤーで整理することを筆者は推奨しています。

「一定複合条件を満たすリードは、バイヤージャーニーにおいてはこの段階に位置する」と判断できる仕組みをつくることがまず大前提として必要となります。

では、どの場所にいるのかを効率よく察知するにはどうしたらよいのでしょうか?
その手助けをする手段の一つとして出てくるのがスコアリングの考え方です。

2) その位置は一つの有益な手法としてスコアで測る

1で定義した、注目に値する行動や属性情報を数値化するのが、スコアリングです。
筆者は顧客ステージの設計とスコアリングロジックの策定について次のように説明しています。

"顧客ステージは通常、3つのステージから成り立っています。それは、課題認識、検討、そして決定です。"

"課題認識のステージで私たちが活動対象とするのはリードです。リードが自社製品を検討し始めたとき、潜在バイヤーはMQLに移行します。最後に、リードが課題や問題の解決策として自社製品やサービスを検討し始めると、リードはSQLとなり、営業部からアプローチできる段階に到達したと言えます。"

顧客をあるステージから次のステージへコミュニケーションによって移行させるのですが、移行したことを判断するための「基準」が必要です。それを各ステージのエントリー基準と呼んだり、移行判断基準と呼んだりしますが、呼び名はさておき、「どのような顧客が、どのようなチャネルで、どのコンテンツを消費すれば移行したものとする」という明文化が必要であることに変わりはありません。

"各リードの意図(Intent)を慎重に分析することが不可欠です。そして、この意図を解釈するために、私たちは効果的な移行判断基準を持っている必要があります。[...]つまり、測定基準の設定には注意が必要です。関心が高いであろうと判断できる反応があった場合のみ、リードからMQLに移行させるべきだからです。たとえば、商品/サービスの仕様ページや価格ページの閲覧、送られたメールの消費量の多さ、商品がカートに入れたままになった状態などです。"

このような移行状況を、一つ一つのリードに対して人が判断できればよいのですが、一定期間リード獲得施策を行うと、営業担当者やインサイドセールスの頭数に対してリード数が多くフォローが難しくなります。そこで、どのリードがバイヤージャーニーの中でステージ移行したかを判断する一つの手段として、スコアリングが活躍するのです。メールのリンククリック、Webサイトのページ閲覧、セミナー登録参加などの履歴をスコア化し、スコアの高い順にアプローチして行く事で、営業効率を向上させることができます。また、メールやWebサイトのどこをクリックしたか、閲覧したか、をスコアで数値化することで、見込客の関心領域に応じたアプローチをすることも可能になります。

"多くの時間的リソースが、MQLになるためのスコアリングロジック作成に費やされる一方、MQLからSQLへの移行は簡単に識別できます。無料トライアルに申し込んだり、営業担当者とのディスカバリーコール(見込客へのファーストコール)を設定したりすれば、明らかにSQLと判断できます。

営業チームとマーケティングチームが集まってリードスコアリングメトリクスを共同で導き出すことで、リードサイクルの中で起きうる当て勘的な活動を改善することができます。マーケティングオートメーションソフトウェアを使用すれば、各アクションに値を割り当てるリードスコアシステムを設定できます。これらの行動には、Webサイトの閲覧状況、ダウンロード数、Eメールの活動、またはソーシャルメディアでのやりとりなどが含まれます。"

"リードが決められたしきい値に達すると、それらは自動的に営業チームに送客されます。
しきい値を設定することは当然のことにも思えますが、B2Bマーケターの46%は、リードに対して自動的にアラートを出したり、営業部に送客するスコアしきい値を設定していません。
不思議に思いますよね。

リードスコアリングシステムは一般的にスコアを合計することで成り立っていますが、特定の行動にはネガティブスコアリングを設定すると非常に便利です。たとえば、クオリファイドリードがトライアルにサインアップした後、突然製品との接触をやめ、Eメールにも応答しなくなった場合などです。"

しかし、実際にスコアリングロジックを作成する段階になると、つまずく企業が多いことも事実です。

自社のWebページの1ページずつにそれぞれ厳密なスコアを与えようと決めたものの、存在するページが多すぎて挫折し破綻するケースもあれば、統計解析アプローチに基づきMQLの条件を定義しようと試みたものの、元となるデータ量が足りず、判断材料とするには不十分と判断せざるを得ないケースもあります。

また、MQLに「なる」傾向を分析したものの、実際は恣意的にイベントに参加したり、コールドコールで対話ができただけでMQLに「している」だけであったという自社の状況が明らかになり、落胆に終わるケースも稀ではありません。

そして、先述のとおり、営業やインサイドセールスの頭数に対してリード数が多くフォローしきれなくなった際、リードの「位置」を確認し、優先順位付けの手助けをするのがスコアリングです。つまり、逆に対象となるターゲットの数やリード数が限られている場合、各リードのアクティビティを見て、インサイドセールスや営業への送客対象か否かを目視で見極める方が良いということもあり得るのです。このような、一見アナログで非効率的な手段を採るほうが、スコアリングロジックで自動化するよりも、次の活動内容を判断するにあたって高い精度が得られると考えられるためです。

従って、自社にとって本当に今すぐスコアリングロジックが必要なのか、スコアリングが最も自社の状態に適した顧客のバイヤージャーニー位置判断者なのか否かについても、適切な判断が求められることをぜひ覚えておいてください。

なお、移行基準判断に、スコアリングを採用する場合は、ロジックを決める際にしっかりとした根拠を持つことが重要です。根拠や仮説なしに設定されたロジックでは、振り返りようがなく、最適化も難しいためです。

3) このときはじめてMQLやSQLといったセールスステージが、営業とマーケティングの共通言語となる

この段階ではオーディエンスやリードに対する深いインサイトを得、また1)のステップに反映させるPDCAサイクルを実施します。

それぞれのバイヤージャーニーステージに移行したと判断する基準が明確に定義され、共有され、かつ、そのステージにある見込客に対する企業としての役割分担とアクション項目が明文化され、活動ができている。この場合、MQLやSQLという言葉は不要、と言っても過言ではありません。

見込客のバイヤージャーニー移行判断基準が人間系であれ、スコアリングロジックであれ、明文化され合意されたた基準を定期的に振り返ることは欠かせません。各チームが日常の活動から得たインサイトを活かし、協業してPDCAサイクルを回せるようにしましょう。

営業とマーケティングが手を取り合って、シームレスにリードに適切な対応をする手法について、ご理解いただけたでしょうか。実現できた場合に享受できるメリットについて筆者は次のように語ります。

"リードが正しくかつ戦略的にクオリフィケーションされれば、関係者全員が喜びます。顧客が理解されていると感じ、マーケティングチームはMQLがきちんと扱われていることに満足し、かつ、営業部は商談成約につながる有望リードに満足するという好循環が生まれます。
また、これを実践することにより、購買意欲がない人に対してのセリングをしないで済みます。"

マーケティングと営業がうまく協業できている場合、成約率が67%上がるという調査結果があります。

余談にはなりますが、米国においては、この様に関係者全員がシームレスに目標に向かって協業できるよう、新たなCxOである「CRO」という役割を置く企業もここ数年増えてきています。

CROとはChief Revenue Officerの略であり、これは収益(=Revenue)をより促進するための活動管理をする役割を担う職。当然マーケティングと営業部の両方の面倒を見ることになります。
CROがマーケティングと営業を取りまとめ、両者を一つの収益までのつながった仕組みにできれば、マーケティング部門のリーダーが営業部門を必死に説得するという苦労も減らせるかもしれません。

ただ、ようやくCMOの必要性が認知され始めた国内の事情を踏まえれば、まずは企業のマーケティング部や営業部がリーダーシップをとり、共通する顧客像とバイヤージャーニーステップの移行条件の定義から始めることが先行タスクと言えるでしょう。

今回はリードの顧客ステージ判断方法についてお伝えしました。