株式会社ニューズピックス 取締役事業開発担当 坂本 大典様をお招きしてお届けしている「Fearless Marketer」。

前編に続き後編では、坂本様が組織作りにおいて大切にされている、人とテクノロジーの組み合わせに関する価値観や、お客様との向き合い方について、弊社マーケティング本部長の小関 貴志が詳しくお話を伺いました。

人と人の接点を大切にしたいからこそテクノロジーが必要だ

小関:坂本様が組織をマネジメントする上で大切にしていることは何ですか?

坂本氏:結局、組織の戦略はエンジニア・編集者・ビジネスメンバーの人数比で決まると思っているんです。このバランスを大事にしたい。それぞれのチームにおいて人にしかできないことは絶対にあるし、一方で効率化できるところも絶対にあるので、テクノロジーと人力の組み合わせについても、意識するようにしています。

小関:人への投資配分は経営者の意思の表れですよね。テクノロジーと人力の組み合わせについては、どのような観点で意思決定されていますか?

坂本氏:ユーザーと接するタッチポイントは、できるだけ人のほうが良いと思っています。とはいえ、すべてを人が対応できるわけではありません。僕個人の感覚としては、相手の数が1,000人を超えたらテクノロジーを活用すべきかなと思っているんですね。

NewsPicksでいえば、プロピッカーだけが1,000人以下です。だから、プロピッカーの方とのコミュニケーションは、人の手によって丁寧に行なっていきたい。ただ、それ以上の人数がいるところについては、さすがに手が回らないので、「いかに人に近い体験をどうやって提供できるか」という観点で、テクノロジーの活用を検討しています。

小関:人の手によるコミュニケーションを大切にしたいからこそ、効率化すべきところにはテクノロジーの力を使うということですね。

坂本氏:そうですね。テクノロジーでできる体験から考えるのではなく、人の手によるコミュニケーションを最大化するために、テクノロジー化すべきところを探っていく。僕自身がどちらかといえばIT音痴なので、このユーザーに近い感覚を大切にしていたいと思っています。

小関:そのような中でMarketoのようなMAの使いどころは、どこにあるとお考えですか?

坂本氏:僕は営業メンバーを見ているので、営業にはクライアントと1対1で向き合う最後の接点をちゃんと大切にしてほしいと思っています。クライアントに本質的な価値を提供するために、営業のリソースをフルで割いてもらいたい。だからこそ、Marketoのようなマーケティングテクノロジーを使って、それ以外のところを効率化しておくことが重要だと考えています。

お客様の顔を思い浮かべていますか?

小関:最後に、この記事をご覧になっているマーケターの方に向けて、何かアドバイスをいただけますか?

坂本氏:外資系企業では特に、業務をできるだけ細分化してマーケティングはマーケティング、HRはHR、と閉じていきがちだと思うのですが、本当のマーケティングのプロになりたいのであれば、自分の周りの人たちがどういうロジックで仕事をしているのかをちゃんと知ることがすごく大事だと思いますね。

小関:営業を経験したほうがいいということですか?

坂本氏:それでもいいですし、わざわざやらなかったとしても、営業の動きに対して、感度を高くしておいたほうが良いと思うんですね。結局、マーケティングができるだけでは、レアリティが上がらない。何か他の職能と掛け算したほうが市場価値は高まりますので。例えば、今すごく価値があると思うのは、人事でマーケティングスキルのある人だと思います。このように自分のキャリアにおいて、何を掛け算していくのかを考えておくのは大切なことではないでしょうか。

小関:まさに、おっしゃる通りだと思います。

坂本氏:それと、うちのメンバーにも伝えているのは、「お客様を数値で見るのではなく、ちゃんとそこにいる人を想像して、丁寧な言葉遣いをしなさい」ということです。僕のようにNewsPicksやSPEEDAを立ち上げからやってきた身からすると、お客様としてご利用いただけるのは、とても有り難いことなんですね。だからそんな大切な人たちに対して、「何人、獲った!」とかいう言葉遣いは、やめてもらいたい。「SPEEDAを導入するために、どれだけ社内でネゴシエーションをして、通していただいたと思っているんだ!」と思うわけです。数値の裏にあるストーリーを感じ取れる人であってほしいですね。

小関:よくわかります。そのために大切なのは、坂本様のような古くからいらっしゃる方が文化をキープしていくことなのでしょうか。

坂本氏:それもそうですし、新しいものを0から作る経験をしたら、そういう辛さはわかると思うので、うちのメンバーには立ち上げ経験をどんどん積ませていければと考えています。

小関:我々は"Fearless Marketer"というメッセージを掲げているのですが、Fearlessにチャレンジし続けるためには、何か必要だと思いますか?

坂本氏:何でも新しいことは、結果が出るかどうか、わからないじゃないですか。ただ1つ言えるのは、"1人のお客様を想像する力"は絶対に必要だということです。僕もベンチャーからアドバイスを求められることがあるのですが、エンドユーザーのお客様を想像しない人が、テクノロジー界隈にはあまりにも多いと感じています。

そういう人たちは「これがあったら効率的になるから、世の中は良くなるはずだ」と言うのですが、実際に使っている人をイメージできていなければ、だいたいその後でダメになりますね。"なんとなく、この領域のこのセグメントの人たちは使いそう"くらいのレベルでは、絶対に失敗する。エンドユーザーやクライアントがどう感じるのかを徹底的に考えて、「絶対、あの人なら使うはずだ!」「この人はこれがあったら絶対にやるよね!」といったように、具体的な人物まで思い描きながらチャレンジし続けることが大事だと思っています。

小関:それはマーケティングだけでなく、様々な職種にも当てはまることですよね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

取材日:2018年11月13日