【イベントレポート】地方企業が挑むゼロからのマーケティング|マーケティングオートメーション(MA)ツール・サービス・システムのMarketo Engage

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【イベントレポート】地方企業が挑むゼロからのマーケティング

2020年7月29日・30日に開催した「Adobe Experience Makers Live」。本稿では「地方企業の快進撃 〜問合せ15倍を実現したゼロからのマーケティング〜」と題し、株式会社トヨコン 浦部 将典氏にご登壇いただいたセッションの内容をお届けします。浦部氏が組織にマーケティングを浸透させるために、仲間と5人で奮闘した軌跡をご覧ください。

本セッションのスケッチノートを見る(クリックで拡大)

目次

Experience Makers Live特設ページにてセッション動画および資料をアーカイブ公開しております。以下のリンクより是非ご覧ください。

Experience Makers Live 講演動画、資料

動画/資料ページを見る

地方の中小企業にもたらされた組織変革の息吹

トヨコンは愛知県豊川市に本社を構え、包装資材・倉庫管理・システム開発・省人化機器・包装設計・梱包業務の6つの事業を手がける総合物流商社です。設立56年。従業員数は約150名。

そんなマーケティングから最も縁遠く思われる地方の中小企業が、マーケティングに出会ったのは、営業職だった浦部氏がMarketo Engageの事例動画を見つけたことがきっかけでした。

当時、2015年10月に発足した新事業プロジェクトにアサインされていた浦部氏。メンバー12名、4ヶ月の期間限定でスタートしたプロジェクトでしたが、次々にアイデアを出すも、経営層が納得しません。そこでプロジェクトは延長されることに。メンバー全員が従来業務と兼務でプロジェクトに参加していたため、気づけば人数は5人にまで減っていたと言います。

浦部氏が営業に配属されたとき教えられた営業スタイルは、飛び込み営業・定期訪問営業・押し売り営業でした。「SFAもなければCRMもない。マーケティングのマの字もない営業プロセスのままで、本当にいいのだろうか。そんなときにMAと出会い、『営業プロセスを変えるにはMAしかない』と確信しました」(浦部氏)

意気揚々と経営層にMAの導入を進言した浦部氏。しかし経営層からは「オンラインの追跡をして、何になるの?」「これが新事業?ただのシステムだよね?」など、否定的な意見しか返ってきませんでした。

心が折れそうになりながらも、浦部氏はあきらめません。「MAなら今の場当たりな営業を変えられる。何よりも今のキツイ営業プロセスをもっと楽にできるはずだ」と、強く信じていたからです。

マーケティングの本を読みあさり、MA活用に必要な名刺管理ツールを展示会へ探しにいき、Webコンテンツの制作を委託する制作会社を見つけてきました。こうしてMarketo Engage×Sansan×CMS(コンテンツ管理システム)の3つを掛け合わせて、ド素人でも始められるマーケティングの仕組みを作り上げ、再度、経営層に発表しました。

今度こそ、いい感触が得られるだろうと思いきや、返ってきたのは、またしても否定的な意見ばかりだったのです。「デジタル接触だけで売上が上がるのか?」「希望的観測ばかりで、うまくいくはずがない」「3つも同時に入れる必要が本当にあるのか?」。

...なぜ、こんなにも否定されるのか、全然わかりませんでした。「ここまで言われるなら、もうあきらめよう」。そう思った矢先、それまで口を閉ざしていた社長が、こう言ったのです。

「難しいことは正直よくわからんが、これだけ長い間5人で考えてきて、これが一番いいと思うアイデアなんだろう?わかった。俺の権限で費用は出してやるから、やってみろ」。

非マーケターをマーケティングに巻き込む情熱と戦略

さぁ、ここからがいよいよ本番です。当時、構築した営業プロセスは、このようになりました。

名刺から得た顧客データ(=リード)をMarketo Engageにインポートしてメルマガを配信。ブログサイトの情報を届け、活動スコアを基にホットリードを抽出。そして営業へアラートを流す。

そもそも社内にマーケティングの概念が存在しなかったので、これでもなかなか理解してもらえませんでした。

そこで浦部氏は、さらにシンプルにして、次のように伝えます。

「営業が名刺をもらってくる、名刺をスキャンする。そしたらメルマガを送ります。ブログをよくみているお客様を営業へお知らせします。これが私のやろうとしているMAというものです」と。"とにかく簡単で、面白くて楽しそうなことが始まるんだ"という雰囲気を出すように心がけたと言います。

そしてまず導入したのが名刺管理ツールのSansanです。Sansanの導入には営業マンが前向きだったため、すんなりと受け入れてもらえました。集まった名刺は9000枚。MAでスコアリングを行うことを見据え、名刺の登録と同時に5つのカテゴリからタグ付けもお願いしました。

ところが蓋を開けてみると、「同じ人の名刺なのにタグが違う」「同じ会社なのにタグがすべて違う」「そもそもタグが付いていない」といった問題が起きており、浦部氏は毎日400枚、1ヶ月をかけて、すべてひとりで見直しを行うことになったのです。

加えて、導入から半年経っても、「名刺の数が月に約200枚しか増えていない」という問題も発覚。営業にヒアリングをしてみると、名刺を登録するかしないかを営業が勝手に判断していることがわかりました。

困った浦部氏が営業部長に相談したところ、「"名刺ポイント制"にして、営業の評価に入れてしまおう」ということになりました。もちろん営業からは猛反発があったものの、続けてもらうことにしたと言います。

同時並行で進めていたブログサイトのコンテンツ制作は順調でした。物流業界のトレンドや包装資材の知識、社員インタビューや他社事例、e-bookを掲載。自分たちでMarketo Engageを使ったランディングページの制作も行いました。

1年間でコンテンツは90本にまで増加。ブログサイトの流入数も順調に伸びていき、スタートから1年で問合せ数は15倍に。問合せからの受注率も20%を達成。ブログサイトのUU数はコーポレートサイト の7倍になるなど、デジタルによる接触が大きな効果を上げ始めたのです。

営業行動の見える化から始まるオンラインマーケティング

しかし、オフラインでの営業行動が不明だという問題は残されたままでした。当時の営業管理は、SFAがなかったために、手書きの日報やExcel管理、無料のアプリを使うなど、各営業拠点で管理方法がバラバラ。浦部氏からは営業行動がまったく見えない状態でした。

営業管理のデータ化に向けてSalesforce CRMの導入ももちろん考えたと言いますが、営業には、これ以上、新しいシステムを受け入れる余裕は残されていないと考え、Sansanのコンタクト管理と案件管理を導入することにしました。

「手間が増える」「意味がない」「やりたくない」と反発する営業を動かすために、浦部氏は中堅層と若手層12名を集め、3ヶ月間のトライアルを行うことにしました。

その際、気をつけたのが人選です。通常、各営業拠点の課長に人選をお願いするところですが、それではやる気のない人が強制的に参加させられることになってしまい、導入がうまくいかないと考えた浦部氏は、ゲリラ的に直接本人にメールを送り、トライアル参加に対する意思表明をした人だけを集めたのです。

コンタクト管理の入力ルールは、訪問目的・提案商材・ルートのカテゴリ項目を選択し、メモに会話内容をすべて記載してもらうようにしました。その後、営業全員に対象を広げて半年間限定で導入してもらったところ、「すべての会話を入れるのはとんでもなく大変だから、まとめた内容に変えてもらいたい」という意見が上がってきました。

これは、まさに浦部氏の狙い通り。あえて大変なルールを敷くことで、導入に対して賛成か反対かではなく、「ルールをどうすれば、これからも続けられるのか」という意識に変えられたのです。これは、シカゴ大学の行動経済学者リチャード・セイラー教授が2017年にノーベル経済学賞を受賞した「ナッジ理論」を活用した試みでした。

「相手の行動をいい方向へうまく誘導するためには、『やってください』と強制したり『なぜやらないんですか』と責め立てたりするのではなく、そっと優しく働きかけ、自分の意志で行動することを促すのが効果的だとわかりました」(浦部氏)

その結果、Sansanのログイン率は現在90%。あれほど拒絶していた顧客とのデジタル接触も「すでに課題を持った状態で会えるので、負担が少なくて助かる」「話がスムーズに進むのでやりやすい」という喜びの声も聞こえるようになったと言います。

「Sansanの利用が定着したことで、社内の風向きも変わってきた。4年間に及ぶ営業との戦いが、ようやく終わりを迎えました。これでやっとオンラインマーケティングを本格的にスタートできます」(浦部氏)

当初1000人しか来訪者がいなかったコーポレートサイトは、ブログサイトと統合してリニューアル。今では月間2万人を超えるまでに成長しており、今後はSNSや動画配信も本格的に始める予定です。

現在は、Marketo Engageでナーチャリングプログラムを作成し、個別に自動配信する仕組みも構築。「いずれはインサイドセールスやカスタマーサクセス部隊も作ることで、商品をただ売るだけではなく、デジタルを介した顧客体験の価値も上げていきたい」と展望を語ります。

そして最後に、浦部氏は次のメッセージを送りました。

「自分が実現したい未来があるなら、たとえ最初は理解してくれる人がいなくても、絶対にあきらめてはいけません。みんなが本気になるまで、何度でも情熱を持って話し合いましょう。何事も成し遂げるまでには障害がつきものです。情熱がなければ、ちょっとした障害でもすぐにくじけてしまう。情熱がすべてではありませんが、情熱は大事です」。

株式会社トヨコン 浦部様の講演動画、講演資料は以下よりご覧いただけます。

Experience Makers Live【動画】
株式会社トヨコン

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Experience Makers Live【資料】
株式会社トヨコン

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