【イベントレポート】1名から85名へ<br>Marketo Engageで社内にマーケティングを浸透させたグロービスの軌跡 【イベントレポート】1名から85名へ<br>Marketo Engageで社内にマーケティングを浸透させたグロービスの軌跡

【イベントレポート】1名から85名へ
Marketo Engageで社内にマーケティングを浸透させたグロービスの軌跡

2020年7月29日・30日に開催した「Adobe Experience Makers Live」。本稿では「グロービス全社にマーケティング思考を 浸透させたリーダーシップ」と題し、株式会社グロービス 柳田 佳孝氏にご登壇いただいたセッションの内容をお届けします。「Marketo Champion 2020 Marketing Executive of the Year」を受賞した柳田氏は、Marketo Engageの活用を全社に広げるために、どのような取り組みを行なったのでしょうか。アドビ株式会社 松井 真理子が、その全容に迫りました。

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Marketo Engageを導入してから現在までの5年間を振り返る

松井:まずは「Marketo Champion 2020 Marketing Executive of the Year」の受賞、おめでとうございます。今日は、Marketo Engageの導入から現在に至るまでのご苦労や学びについてお話を伺いたいと思います。

柳田氏:ありがとうございます。Marketoを導入してから現在までの5年間の話に入る前に、前知識としてグロービスの紹介を簡単にさせてください。グロービスは「経営に関する『ヒト・カネ・チエ』の生態系を創り、社会の創造と変革を行なう」というビジョンをもっていて、そのなかで私はヒト領域の中心事業の一つである学校事業のマーケティングに携わっています。

グロービス経営大学院は2006年に開学をしてから、15年間で約14倍の急成長を遂げており、その背景には経営努力やお客様のクチコミなど、いろいろな要因があります。その根幹を支えてくれている重要な仕組みのひとつがMarketo Engageです。今日はこのMarketo Engageをグロービスでどのように使っているのかをご紹介していきたいと思っています。

松井氏:柳田さんは2015年からMarketo Engageをお使いになっているということで、導入から現在までの歴史についてご説明いただけますでしょうか。

柳田氏:最初から全社で使い始めたわけではなく、2015年の春に導入した当初は、「スモールスタート」という感じでした。グロービスが提供しているのは、いわゆる高級の無形商材です。単一の広告を見て購買の意思決定が行われるようなものではなく、まずは体験してみないと商材の価値がわかりづらいプロダクトです。そこで、まずは"東京圏の見込顧客に体験クラスを申し込んでいただくまで"の狭い範囲に絞ってMarketo Engageを使い始めてみました。その頃は、ほぼ私一人で導入プロジェクトをリードしていた状態で、徐々に東京の営業担当を2〜3人巻き込みながらトライアルを進めていきました。

数ヵ月間の運用の結果、「Marketo Engageのおかげで、東京で体験クラスの集客が増えてきた」という実績が溜まってきたので、今度は東京のベストプラクティスを大阪や名古屋エリアに広げて行って、2017年の終わり頃までにはMarketo Engageを35名くらいのスタッフが日々当たり前に使っている状況を作っていきました。これがフェーズ1です。

次に2018年からフェーズ2に入っていくのですが、「体験クラス後からの入学に向けたフォロー、さらには2科目目、3科目・・・といかにスムーズに履修を進めていただくか」「大学院に出願したいと思っていただいた顧客に対して、適切に出願関連の情報提供するためにはどうすればよいか」といったように、さまざまなステップにおける顧客コミュニケーションでMarketo Engageを活用していけるよう、横展開を進めていきました。

その過程で、Marketo Engageを使用するスタッフの数が、フェーズ1の段階で1名から35名に増え、今はどんどん広がって85名にまで増えていきました。今では、スタッフの約8割がMarketo Engageを日々使っている状態になっています。

松井:Marketo Engageの利用者が85名にまで増えると、ルールづくりやトレーニングをしっかりする必要があると思うのですが、その辺りはどのような工夫をされていますか?

柳田氏:そうですね。それだけで1時間は話せるくらい、しっかりとした仕組みを整えています。例えば、プログラムやキャンペーンの命名規則、フォルダの構成、フォルダの各階層に対する権限の付与などルールづくりを徹底しているほか、新人の教育やノウハウの共有についても、かなり細かく設計しています。

Marketo Engageの活用を社内に広げるうえで大切にしたポイントとは

松井:先ほど全体像をお話しいただいたので、次は各フェーズについて詳しくみていきたいと思います。まずは「フェーズ0:ツール選定と社内承認」についてです。「担当者がMAを導入したい」といっても、そのメリットが想像できないと、なかなか社内で承認がもらえないかと思います。柳田さんはどのようなポイントを押さえて進めましたか?

柳田氏:大きく分けてポイントは3つあると思います。

①目指したい状態をとことん考え抜く
当たり前の話ですが、最初に目指したい状態をとことん具体的に考え抜くことがとても大事だと思っています。顧客接点ごとに理想のコミュニケーションをデザインしたり、顧客の導線を具体的に描いてみたり。Marketo Engageの営業やコンサルタントの方に付き合っていただきながら、かなり具体的に考えていきました。これが導入後のよりどころになるので、事前に詰めておくことが重要です。

②検討に必要な情報収集や撤退基準はしっかり準備しておく
これも当たり前なのですが、MAのベンダーごとに50項目くらいについて比較表を作成して比較・検討しました。各ベンダーが出している機能比較だけだと、「どこもだいたい○だね」で終わってしまって、具体的な検討が進みづらいので、「○と書いてあるけど、どこまでできるのか。どのような操作感なのか」と直接営業に聞いて各ツールの具体的な運用イメージを持てる状態になっておくことが大切です。あとは、今回トライアルで導入するという前提でツールの選定を進めていたので、導入後の撤退基準をあらかじめ定めておくことも大事でした。

③試してみないと始まらない
ここまで準備をしたら、あとはもうやってみるしかないと思っています。いくら比較検討しても、実際に導入してみないとわからないことは必ず出てきますし、気づけないこともたくさんあります。ツールを触ってみて初めて見える世界もあるので。

①と②はクイックに進めつつ、③の姿勢でやってみる事が大切だと思います。

松井:①と②で決裁者の方を味方につけるのもポイントかもしれませんね。では次に「フェーズ1:導入〜運用開始」のところで、柳田さんが大切にされていたことを教えてください。

柳田氏:ここからが本当に大変なところです。ここも大きく分けて3つのポイントがあると思っています。

①データ設計・体制
マーケターとしては「1通目のメールをとにかく早く出したい(はやく目に見える成果を出したい)」と走り出しがちですが、それをやってしまうと、後々困ることが多いと思います。何かと言うと、Marketo Engageの活用を、より発展させていこうとか、使う範囲を広げていきたい、と思ったときに、データ構造がどうしてもボトルネックになりがちです。従って、最初の段階で将来の運用を見越した"拡張性のあるデータ設計"をしておくことが大切です。データ設計に自信がないのであれば、早期の段階で情シスなどの関連部門を巻き込んでおくと良いでしょう。

②コンテンツ不足問題
Marketo Engageのユーザー会でみなさん口をそろえるのが、「コンテンツ不足問題に悩んでいる」ということです。我々もこれに関しては、当初は本当に悩みました。ただ、あとで思えば、最初から100点満点のコンテンツを狙いすぎなくても良いんですよね。60点のコンテンツだったら、ちょっとした工夫で簡単につくれます。一生懸命作った「自分たち的に100点」のものが意外と顧客の反応が悪いこともあります。一方で、60点だと思っていたコンテンツが意外と反応がよかったりもします。まずは60点で世に出して、顧客の反応を見ながらコンテンツを増やしたり、修正していくという姿勢が大事だと思います。

③本当に効果出てるの?
これもよくぶつかる壁だと思いますが、「本当に効果でてるの?」と問われたときにどう説明するか、という問題です。これは導入前(グロービスでいうとフェーズ0)の段階でROIを試算をすると思うので、それに照らし合わせながら数字をつくっていくと良いと思います。例えば、Marketo Engageによって獲得した「リードの数」と、実際の「リード獲得単価」を掛け算して、数字を出すといった話です。また、こうした定量面ももちろん大事なのですが、定性面の効果もとても大事です。例えば、現場でMarketo Engageの恩恵を受けているメンバーが「明らかに数字がよくなったよね」とか「Marketo Engageでデータを見るようになって、お客様への提案力が格段に上がったよね」といった実感を持てるように運用することが、とても大切だと考えています。

松井:「フェーズ2:大きく広げる」のところで、柳田さんが大切にされているポイントを教えてください。

柳田氏:フェーズ2では、Marketo Engageを最大限活かすためにSFDCを導入しました。SFDC導入のプロジェクトは業務システム再構築の一環で行ったため、3年がかりの非常に大きな取組でした。多くの会社ではSFDCの運用が定着した後でMarketo Engageを導入すると思うのですが、グロービスの場合は逆のアプローチでした。

結果として良かったこともいくつかあって、そのうちのひとつが「Marketo Engageのデータ構造の考え方にのっとって、SFDCのデータ設計ができたこと」です。Marketo Engageは"顧客中心のデータ構造"になっていると私は理解しているのですが、グロービスとしても「一人ひとりの顧客とのコミュニケーションにこだわっていきたい」という思いがあるので、SFDCもMarketo Engageの思想に合わせたデータ設計にしました。

そのうえで、「SFDCとMarketo Engageはこんな関係性になっていて、これまでの仕組みがこう変わって、こんなことができるようになるんだよ」といった説明会や勉強会を重ねながら、Marketo Engageをさらに社内に浸透させていきました。

その結果、今回ご紹介しきれないほどの成果が上がっているのですが、その一部をご紹介します。

■フェーズ1の成果
・メール経由での体験クラス申込数が2倍に増加。
・Marketo EngageのAdBridgeを活用してFacebook広告のCPAが半減。

■フェーズ2の成果
・Marketo Engageを定常業務に組み込むことで、マーケティングチームのみならず、セールス・カスタマーサポートまで全社員をマーケター化できた結果、社内全体で現場スタッフの顧客理解や提案力が大きく向上した。
・在校生向けの学習サポートを目的としたバッチキャンペーンの平均開封率70%超。
・各種トリガーメールの平均開封率70%超。
・卒業生向けに週次で送付しているメールの平均開封率40%超。

改めて問う、マーケティングとは何か

松井:それでは最後に、今回のテーマである「マーケティング思考を社内で浸透させるには?」という点について、柳田さんのお考えを教えてください。

柳田氏:「言うは易く行うは難し」ではありますが、Marketo Engageを社内の全員が当たり前に使っている状態をつくってしまうことが、一番手っ取り早いのではないでしょうか。ツールはMarketo Engageにこだわる必要はないのですが、何にせよツールを入れて終わりではなく、「そのツールによってスタッフの動き方や考え方をどう変えていきたいのか」という意志をもって変革を推進していくことが大切だと考えています。

松井:本当にそうですね。それを受けて、これからマーケティングに本格的に取り組む方や、悩みを抱えているマーケターに向けて、メッセージをいただければと思います。

柳田氏:そもそもマーケティングとは、"経営そのもの"だと、私は思っています。それはなぜかというと、お客様にとっての最適解をとことん考え、それを提供するために、社内のリソースを最大限に活用しながら「個客の心を動かすために行う活動全般」がマーケティングだからです。しかし、「お客様のためになるから!」と声高に叫ぶだけでは、社内は動きません。ポジションパワー・パーソナルパワー・リレーショナルパワーといった力の源泉を適切に使い分けながら、リーダーシップを発揮する必要があります。すべてを絵に描いた餅にしないためには、マーケターが経営層と同じレベルの高い視座・視野・視点をもつと同時に、泥臭い実行力とリーダーシップを発揮して、組織を牽引していくことが求められます。ぜひ、より良い未来を描きながら、地に足の着いた「実行」を泥臭く行っていきましょう!

松井:ありがとうございました。明日から新たな取り組みにチャレンジするためのヒントが詰まっていたと思いますので、ぜひご参考にしていただければと思います。

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