アドビとデジタルの大海へ漕ぎ出そう#3|マーケティングオートメーション(MA)ツール・サービス・システムのMarketo Engage

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アドビとデジタルの大海へ漕ぎ出そう#3

アドビとデジタルの大海へ漕ぎ出そう#3

~顧客体験変革に向けた航海~

「アドビとデジタルの大海へ漕ぎ出そう」シリーズの今回は、最終回としてデジタル顧客体験変革を推進するためのポイントをまとめていきたい。まずは引き続きアドビが自身の既存ビジネスモデル変革の実現を通じて生み出した「デジタル成熟度評価モデル」の残りの構成要素を見ていこう。

シリーズ第一回はこちら、第二回はこちら

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あらゆるチャネルとタッチポイントで購買体験ができる

ここではデジタル顧客体験変革になぜ購買体験が重要な要素となるのかを先進的な海外の実例をもとに見て行きたい。
今、自分の好きなブランドの商品はどのようなチャネルやタッチポイントを通じて購買体験をしているだろうか?グローバルブランドの購買体験などでは店頭、ECサイト、モバイルやWeb上のアプリケーション、マーケットプレイス、IoT機器経由など顧客が求めるあらゆるタイミングで購買体験の機会が提供され始めているはずだ。いわゆるオムニチャネル戦略を実践している先進企業といえる。こうした戦略を実践するに至った背景には前述したカスタマージャーニーやデータから導き出されたインサイトが前提となっていると考えられる。ここではCXM Playbook内でも紹介されている先進事例、Accent Groupの事例を取り上げたい。

Accent Groupは従業員数9,300人を抱えるオーストラリアのメルボルンにある靴販売チェーン最大手だ。同社はオーストラリアとニュージーランドにおいて10の異なるシューズブランドを430以上の店舗数で展開している。同社が取り扱うVansやDr. Martensなどのブランドは長い歴史の中でそれぞれが独自のカスタマーエクスペリエンスを提供してきた。
しかしこれまで製品や商品にフォーカスをしてきたリテール業界がサービスや体験といった消費者ニーズの変化に適応していく必要性を同社は感じとっていた。

スニーカー専門やアスリート向けなど専門分野を分けてストアを展開している同社だが、変化を感じたきっかけとして各チャネルとタッチポイントにユニークな特徴があった。例えばスニーカー購入者はモバイルやタブレットからのサイトアクセスが大半を占めており Instagramなどソーシャルの影響度が特に高かった。また、アスリート向けの店舗では消費者にシューズの利用用途を事細かにヒアリングしている店舗スタッフの対応にユーザーからの支持があった。
そこでAccent Groupは各専門店へのユーザーニーズに対応するチャネル・タッチポイント・コミュニケーション手段を全体的に見直す取り組みに乗り出した。スニーカー愛好者にはソーシャル連携されたモバイルアプリの提供を行い、アスリート向けにはMyFitアプリケーションサービスをリリースし最高のフィッティング体験をオンラインでも可能にするプラットフォームを提供した。また、店舗共通の取り組みとしてオンラインで購入しストアで受け取ることが可能な「クリック&コレクト」の対応も実現した。

CXM Playbook内で紹介の動画より抜粋

Accent Groupはリアル店舗での体験を、そのままオンラインや他のチャネルに複製・移植するようなことはしなかった。むしろ各チャネルやタッチポイント毎にユーザーが期待する体験が異なるというインサイトをもとに、ユーザーの期待に合わせた体験を各チャネルとタッチポイント毎に用意していった。店舗にはそこでしか体験できないユーザーにとっての価値があり、オンラインストアにもそこでしか体験できないユーザーにとっての価値があると考えたのだ。

CXM Playbook内で紹介の動画より抜粋

Accent Groupはこの変革によって10カ月で10倍の売上を上げる専門店を生み出し、クリック&コレクトを要望するオーダーはデジタル売り上げの30-50%を占めるなどデジタル顧客体験変革による大きな成果を成し遂げた。COVID-19下においても、豪支出は靴がけん引しており同社の存在がアジア経済界でも話題になっている。
カスタマージャーニーやデータから導き出されたインサイトをもとに、あらゆるチャネルとタッチポイントで異なる体験・購買体験ができるブランドへの支持が高まっていくのは当然と言えるだろう。このセクションではBtoCの事例を紹介したが、BtoB(EC)にも適用できる要素は多いのではないだろうか。

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コンテンツが拡張性を持つ

マーケティングを不断の取り組みとして運営していく上で、コンテンツに関する取組みの効率化が非常に重要であることを痛感しているマーケターは多いはずだ。コンテンツの拡張性が顧客体験変革を推進することは、コンテンツの拡張性戦略がない状態を考えると分かりやすい。コンテンツ拡張性戦略がない中で、以下のような状態に陥っているケースを多く見かける。

では、コンテンツが拡張性を持つためにはどうすればよいのか?
CXM Playbookでは下記の5つの要素が重要なポイントとして挙げられている。

    この要素を具体的に言い換えると、
  1. カスタマ―ジャーニーを描いた際に明らかとなった「プロセス毎に顧客が求めるチャネル」と「対応するコミュニケーションメッセージ」が作れていて、
  2. チャネルやタッチポイント毎に迅速に展開できる動的アセットが用意されていて、
  3. コンテンツ権利関係の確認や複雑な承認プロセスを必要としない制作プロセスが確立されていて、
  4. アセットの使用状況が可視化されメタデータの付与なども機械的にもれなく行われていることで、どのアセットを利用するべきかが明確になっていて、
  5. 再利用可能、UIやUX設計が最適化、A/Bテストなどのパフォーマンステストを行える仕組みを伴ったアセットが用意されている
  6. ということだと言える。

「Content is king.」という言葉が欧米の事例で飛び交うことも多く、マーケティング実行におけるコンテンツの重要性は広く認知されている。しかし、それはともすればマーケティング業務の大半を大量の制作物の準備に追われてしまうことにもなりかねない。
コンテンツに拡張性を持たせることは、マーケティングの推進にスピードと実行力を備えるためには欠かせない要素である。

6
顧客一人ひとりに合わせた最適化とパーソナライズ

自身のお気に入りのブランドや世界的なグローバルブランドに抱くイメージというものはそれぞれに存在していると思うが、今日「ブランドの在り方」というものは変わりつつある。
その変化とは、ブランドが一律で一方的なものを顧客に押し付ける時代ではなく、ユーザーそれぞれにとって支持されているブランドイメージに耳を傾け、寄りそうことだといえる。
いわゆるユーザーが、それぞれのFandom(ファンダム=あるブランドに対するユーザーグループ・コミュニティ)をつくりあげており、その存在に耳を傾け寄り添うことがブランドを考える際には重要だ。CXM Playbookでは以下の取り組みが重要なポイントとして挙げられている。

具体的に説明すると、
要素①のカスタマ―ジャーニーのゴールに向けてパーソナライゼーションを機能させるためには、何より精緻にカスタマーセグメントを行えていることがポイントだ。ユーザー自身が示してくれたインサイトに基づきペルソナタイプを割り当て分類することではじめて、パーソナライゼーションが正しく機能する。

要素②については顧客一人ひとりに合わせた最適化とは、何も自社の新たな発想や企画に基づいて行われるものではないことを示している。現在のユーザーとのコミュニケーションにズレはないか?どういった内容に好意を示してくれているのか?は実行しながら改善していくことができる。試行→測定→改善というサイクルをテクノロジーを活かしながら進めることによって顧客一人ひとりに合わせたパーソナライゼーションに近づいていくことができる。

要素③についてはコンテンツ評価データの重要性である。どのデザインが評価されているか?どのコンテンツの消費が進んでいるか?コンテンツのパフォーマンスを管理できる仕組みがあってはじめて、AIテクノロジーなどを生かした客一人ひとりに合わせたパーソナライゼーションが成立することを示している。

まとめ

全3回に渡り、アドビが自身の既存ビジネスモデル変革の実現を通じて生み出した「デジタル成熟度評価モデル」を読み解き、国内企業への適用について考察した。
テクノロジーやコンセプトだけで動かすことは難しく、特に国内企業においては企業文化や風土を変えるための覚悟や部門間の連携を必要とするなど、多くの難題が存在していることにも触れた。

一枚のプロペラが欠けても船は安定して航海できないように、顧客体験変革に向けた各構成要素は密接に関連し合っていることが分かる。
例えば、

私は海外のマーケティングイベントに参加する機会も多いが、ここ数年の事例は売上至上主義からパーパスを問われる時代に向けた取り組みに急速に舵をきっていると感じている。
そこで大事にされる考えは、
Help prospects, Help customers, Help themselves
といった精神であり、カスタマ―ジャーニーの整備もデータの整備もコンテンツの整備もそれらを実現するための手段にすぎないのだろう。

一番重要なのは、各構成要素(プロペラ)を中心で支えるシャフトであり、おそらくそのシャフトは「企業としてのパーパス」なのではないだろうか。

アドビはそうした精神をもってマーケティングを推進する企業を支えながらCXM成功のためのポイントを追い求めている。

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