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カオナビCOO佐藤氏に聞く「なぜ経営にMarketo Engageが必要なのか」

カオナビCOO佐藤氏に聞く「なぜ経営にMarketo Engageが必要なのか」

高成長企業のビジネスリーダーをお招きし、レベニュー組織構築とリーダーシップをテーマにお聞きする「CRO Meetup」を開催しました。第1回目となる今回のゲストは、株式会社カオナビ取締役副社長 COO 佐藤 寛之氏です。創業者として代表取締役社長 CEO 柳橋 仁機氏とともに、2011年よりカオナビを率いて来られた佐藤氏。タレントマネジメントシステムの市場を開拓するところから、トップシェアを占めるに至るまで、どのような軌跡を辿って来られたのでしょうか。Marketo Engageのカスタマーサクセスを担当しているモデレーターのアドビ 中島 郁が、さまざまなお話を伺いました。

目次

カオナビのレベニュー組織はどのように構成されているのか

中島:まずは現在の組織体制について教えていただけますでしょうか。

佐藤氏:以下の図のように、一般的なSaaS企業の組織体制になっています。黄色いところがお客様と対面するフロントの部門で、アカウント本部がいわゆるフィールドセールス(外勤営業)の組織です。また、カスタマーエンゲージメント本部がカスタマーサクセスグループとカスタマーサポートグループに分かれています。ここにはMA(マーケティングオートメーション)のMarketo Engageを運用しているインサイドセールスの部隊も所属しています。カスタマーエンゲージメント部門でカスタマーサクセスとインサイドセールスの両方を見ているというのが、当社の特徴かもしれません。フロント全体では70〜80人いて、カスタマーエンゲージメント本部には30人ほどが在籍しています。

カオナビ組織図

中島:創業から足掛け10年で今の組織になっていると思いますが、これまでの組織体制の変遷についても教えていただけますか。

佐藤氏:最初はアカウント・インサイドセールス・マーケティング・プロダクトチームにメンバーが1名ずついました。その後、フロント組織の中で最初にメンバーを増やしたのはマーケティングです。創業当初から、基本的にリード獲得においては営業のアウトバウンドアプローチをほとんどやって来ませんでした。コンテンツマーケティングによって、できるだけ当社の思想に共感していただいた方に使っていただきたいという考え方だったからです。

今すぐご契約に至らない企業様までフィールドセールスがカバーできる人的な余裕もなかったので、インサイドセールスがMarketo Engageを活用しナーチャリングとソーティングを行っていました。その結果、受注率は最高48%くらいまで達することもありました。よって、組織としてはまずマーケティングが大きくなり、インサイドセールスが大きくなり、最後にフィールドセールスが大きくなったというのが、新規獲得が中心だった第1フェーズの話です。

第2フェーズに入った現在は、新規で行ってきたTHE Model型(=マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの分業制による営業組織)の取り組みを、既存のお客様に対して行うことにも注力しています。つまり、アップセル・クロスセルに向けて、既存のお客様にもMarketo Engageを使いながら、ナーチャリングやスコアリングをした上で、既存担当のフィールドセールスがクロージングしていくということですね。

中島:それをカスタマーエンゲージメント本部が担当されている狙いは何でしょうか。

佐藤氏:カスタマーエンゲージメント本部が見ているのは、新規/既存は関係なく、ファネルでいうとMQLからSQLの間、要は"案件化する手前のところ"なんですね。だから、どこからどこまでが見込み顧客なのか、どこからどこまでがチャーンしそうなお客様なのか、といった閾値のハンドリングを担っているのがカスタマーエンゲージメント本部というわけです。

中島:カスタマーサクセス組織の中は、新規向けと既存向けで担当を分けていらっしゃいますか?

佐藤氏:はい、半々くらいで分けています。

中島:先ほどインサイドセールスでMarketo Engageを活用されているというお話がありましたが、新規向けと既存向けでは、活用の仕方にどのような違いがありますか?

佐藤氏:Marketo Engageのタグを埋めているのが、新規向けならサービスサイト、既存向けならサポートサイトやユーザーサイトという違いがあります。加えて、既存向けではwebサイトだけでなく、サービスの利用状況や機能の活用度合い、ユーザー会の参加率などを含めたロイヤルティスコアに応じて、カスタマーサクセスアドバイザーからお電話をしたり、メールを送ったりしています。

ただ、既存のお客様も1,800社以上にまで増えていますので、すべての対応を1to1で行うのは難しい。本当にFace to Faceで対応すべきことと、Marketo Engageで仕組み化できることを切り分けて、生産性の高いモデルにしていこうというのが当社の考え方です。

事業や組織の成長とともに変化するマネジメントの役割

中島:事業が大きくなるにつれて、佐藤様の役割も変わってきたのではないかと思います。現在のCOOとしての役割や、マネジメント上で気をつけていることを教えていただけますか。

佐藤氏:前提として、カオナビは2人でスタートした会社なので、私が営業をしていたことからCOOになっただけであって、COOという役職を強く意識しているわけではありません。最近の動きとしてはCROに近いですね。

先ほどご覧いただいた組織図の通り、事業がグロースするスピードを上げるために、分業型のモデルを採用しているので、バリューチェーンが縦で分かれています。ただ、ある規模になってから、縦軸だけで見ていると非効率になると感じることが増えてきたこともあり、当社のCXOたちは横軸で見ることを意識するようにしています。つまり、部門をまたいで全体の最適化を図るのが私たちの役割です。

中島:横軸で見るようにしようと思うようになったきっかけは何かありましたか?

佐藤氏:事業と組織の成長は、"分化と統合を繰り返すもの"だと思っているんですね。組織の効率を上げるためには分化したほうがいいけれど、能率を上げるためには統合したほうがいい。分化すればするほど効率は上がっていくので、内部的な欲求としては、どんどん分化していきたいけれど、外部に対して価値を創造するためには、統合する必要があるんです。私たちがお客様に提供しているメリットは、ブランド・プロダクト・マーケティング・営業・カスタマーサクセスなど、すべてが一体となったものですから。

組織がどんどん大きくなっていく中で、この矛盾をどう解消するかと考えたときに、縦軸と横軸でクロスファンクションに見ていくことが大事だろうと感じました。

中島:なるほど。自分の所属する部内に閉じるのではなく、会社全体として一気通貫でお客様に提供する価値を追求することは、現場にとっても大切な姿勢であると痛感しました。

カオナビが創業初期にMarketo Engageを導入した理由

中島:話は変わりますが、2015年にMarketo Engageを導入していただいております。何がきっかけで、当時はどういった効果を期待されていましたか?

佐藤氏:Marketo Engageを導入した理由は大きく2つあって、まずはベンチャーキャピタルに週次報告するために、「マーケティングと営業の間を可視化するツールが欲しかった」からです。特に求めていた機能はスコアリングですね。リードが取れても受注までに時間がかかるので、「今このフェーズに何件あって、先週からこれくらい増えました」「もうすぐ受注できそうなホットなリードが何件あります」といった説明ができるようにしたかったんです。

そしてもうひとつが、長年営業をしてきた中で、「マーケティングと営業の間にある断絶をなくすために、販売プロセスを科学したかった」からです。伝統的にどちらかが強くて、互いに睨み合っている構図って、一般論としてどこの会社でもあるじゃないですか。それに、販売プロセスを科学することで、確率論の営業から脱却できるとも思いました。高度経済成長時代なら、「広告費を大量に投下して、営業マンを大量に雇って、どこでもいいから突っ込んで来い」というやり方でもよかったのだと思いますが、人口減少が進んで、"量の経済から質の経済"に移っていく今の時代に、そのやり方を続けるのは、あまりにも要領が悪い。質にこだわって生産性を高めていくために、Marketo Engageの導入は必須だと思いました。

中島:そこから5年が経った今、Marketo Engageの役割は、どのように変わりましたか?

佐藤氏:やはりカスタマーサクセスでも使うようになったところでしょうね。

加えて、事業のステージが完全なスタートアップから拡大期に移ってきたことで、お客様もアーリーアダプターからマジョリティに移ってきています。そうなると、SMBのオーナー社長が鶴の一声で決めるわけじゃなくなるので、お客様の検討期間が長くなる。かつてはMarketo Engageのトリガーキャンペーンで、アラートが立った瞬間にインサイドセールスが電話をかけることもあったのですが、今はコンテンツを豊富に用意して、お客様をゆっくりナーチャリングしていくようになりました。

中島:Withコロナ時代に入り、取り組みで変わった点や注力されている点はありますか?

佐藤氏:おそらくみなさんも同じだと思うのですが、オフラインのイベントの開催が難しくなり、当社も展示会に出展しなくなりました。お客様の熱量が伝播する展示会でリードを獲得して、ナーチャリングして、受注する、というのがこれまでの成功パターンだったのですが、それができなくなってしまった。オンラインのイベントやウェビナーは増えていますし、リードの獲得数はオフラインよりもオンラインのほうが圧倒的に多いのですが、オンラインだとお客様の温度感を高めるのは難しいんですよね。加えて、コロナ禍で意思決定者のリスクマネジメントの思考も働いて、受注までの期間が伸びていることもあり、ナーチャリングやソーティングの考え方を見直して、これまで以上に工数をかけなければいけない気がしています。

中島:具体的には、どのようなアイデアがありますか?

佐藤氏:コンテンツを増やしました。イベント・ユーザー会・ホワイトペーパー・ノウハウ集など、さまざまな切り口でコンテンツを用意して、あの手この手で興味・関心を持っていただこうとしています。だから、マーケティングやインサイドセールスの人員をすごく増やしていますね。

中島:オフラインでコミュニケーションしづらくなったからこそ、お客様ごとに響くコンテンツを用意しておく必要があるんですね。

佐藤氏:はい。「対面でやるべき行為」と、「テクノロジーを使うべき行為」をバリューチェーンの中でしっかりと切り分けて、経営陣が自らその最適解を模索していかなければならないと考えています。

中島:ニューノーマル時代の組織のあり方については、どのようにお考えですか?

佐藤氏:先日、当社のイベントで山口周さん(独立研究家・著作家・パブリックスピーカー)が"No Normal"と表現されていたのですが、「Normalという1つの尺度がない時代≒多様な時代」になったということだと思うんです。AとBの二項対立ではなく、No Normalでは「AもBもCもDもEもいいよね」という時代なんですね。つまり、企業組織においては、多様な価値観を持って多様な働き方をする多様な人材に対して、「なぜ、うちの会社で働いてくれているの?」という対話を大切にしなければなりません。

当社は兼業を推奨しているのですが、特にエンジニアやマーケターは兼業がやりやすいじゃないですか。優秀な人がいろいろな企業で仕事をしていると、「自分がカオナビでマーケティングをやっている意味って、なんだっけ?」と疑問を持つようになる。ましてやオフィスで物理的に顔を合わさなくなった中で、自己効力感を保ち続けるためには、メンバーのエンゲージメントを高めるコミュニケーションを、マネジメント層が積極的に行っていくことが求められるのではないでしょうか。

経営課題の解決に向けたMarketo Engageの活用法とは

中島:ここからは視聴者のみなさまからいただいた質問にお答えいただきます。「MA導入時に重視した点や決め手は何でしたか?」。

佐藤氏:2社のMAを比較したのですが、当時はMarketo Engageの機能が圧倒的に優れていたというのもあったのですが、それよりも当時のMarketo Engageの担当者さんが、「当社の営業戦略の中にMarketo Engageをどう埋め込むべきか」というところにまで踏み込んで相談に乗ってくれたことが大きかったです。SaaSを選ぶときには、機能面だけでなく、非機能面を見ることが非常に大事ですよね。設計思想にも共感したので、非常に使いやすいなと感じました。

中島:ありがとうございます。では次の質問です。「実際にMAを導入されて、マーケティングからのメール配信を、営業の方から嫌がられたことはありますか?もしあったら解決のためにとった手段を教えてもらいたいです」。

佐藤氏:当社の場合、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスがいる中で、真ん中のインサイドセールスにMarketo Engageを使わせたのですが、その際に"MAを使っている部門を一番えらくしたこと"が肝だったと思います。今はフラットな関係になっていますが、MAを導入する瞬間は、これがとても重要です。そうしないと、営業は「ちょっと勝手にメール送らないでよ」と言い出すし、マーケティングは「いいからちゃんとアタックしてよ」となりますから。だから最初に「いったんMAを最重視して、Marketo Engageのスコアリングを見ながら議論しようぜ」という風土をつくってしまう。そのためにも当時は私の役員席をインサイドセールス部隊に置いていました。当社は早い段階からMarketo Engageを導入したのでインサイドセールスとMA活用の定着は比較的簡単だったのですが、多くの企業の場合、マーケティングか営業のどちらかが強い状態で導入することになるので、それは苦しいでしょうね。

中島:たしかに。

佐藤氏:もうひとつよくあるのが、営業がSFAにきちんと記録を残してくれない問題ですよね。わかるんですよ。めんどくさいっていう気持ちは非常によくわかるんだけど、「入れなかったらもうリードは渡さないぞ!」くらいの強い意思でいかないと、MAの活用はうまくいきませんから。「可視化した事実をもとに議論をすること」と「顧客資産は営業個人の資産ではなく会社の資産であるという認識を徹底すること」の2つが重要だと思います。

中島:なるほど。では次の質問です。「販売プロセスを科学したことによって、特に可視化できてよかったポイントは何ですか?」。

佐藤氏:やはりリードのステージ管理ができたり、ホットリードを見分けられたりするようになって、マーケティング予算や営業の採用予算に対する投資判断の精度が上がりましたよね。MAがないと、だいたい売上が少ない月に慌てて広告を出すんですけど、リードタイムを考えると成果につながるのなんて半年後とかになるじゃないですか。でもMarketo Engageで「今月はSQLが足りないな」とわかれば、先手で対策を打てるんですよね。経営における意思決定の判断スピードと精度を圧倒的に上げられるというのがMAを導入して最もよかったポイントだと思います。

中島:まさにおっしゃる通りだと思います。では次の質問です。「採用や育成ではどういった点を重視されていますか?テクノロジーの活用によって仕組み化を進めると、リテラシー面でマッチする人材が絞られてくるのではないかと感じました」。

佐藤氏:そうだと思います。だからこそ「企業が大切にしているバリュー(価値観)をしっかり伝える」ということが、採用局面から大切なんだと思います。スキルが多少高くても、バリューがマッチしていない人は採用しないようにする。当社では「仮説思考」「仕組み化」「シンプル」という3つのバリューがあるのですが、仕組み化の観点で言えば、「『自分だけがハイパフォーマンスなスーパー営業マンでいられればいい』という発想の人は要りません」と面接で伝えています。当社では「みんなの成績を上げるための"方法"を見つけられる人のほうが、よっぽどえらい。実際のビジネスとバリューはつながっているので、それを採用の時点で伝え、評価制度にも加え、育成でもそのようなバリューを持った人になるように育成する。採用・評価・育成を通じて一貫したバリューを定着させていくことが重要です。だから質問にあったテクノロジーに関しても、「仕組みを使って生産性を上げられるのなら全部仕組み化したほうがいい」という発想の人が多いというか、そういう人しか採用していないので、当社の中でもさまざまなSaaSを活用しています。

中島:ありがとうございます。では次の質問です。「組織間の異動は盛んに行われていますか?」。

佐藤氏:まだまだではあるのですが、経営者の意思としてはガンガンやりたいです。一部の専門職以外は、ジョブローテーションができるというのがSaaSのメリットだと思うので。創業以来、私自身も開発以外の職種はすべてやってきましたしね。ローテーションすることによって、「営業ではお客様に対してこういうコンテキストでサービスの価値を伝えてきたけれど、カスタマーサクセスに来てみたら、営業がちゃんとこっちの視点も伝えておかないと、結果的にLTVが上がらないじゃないか」と気付くじゃないですか。いろいろなジョブを経験して、縦のバリューチェーンだけでなくメッシュで理解した人がマネジメントゾーンに就くことで、組織としてのファンダメンタルが強くなるのではないかと思っているので、一生懸命取り組もうとしているところです。

中島:本当にそうですね。では最後の質問です。「オンラインシフトによってリードが増えても温度感が低いということがわかりましたが、投資を渋る企業が増えている中で、以前よりもクオリフィケーションのハードルを下げて、とにかくリードの数を増やしたほうが、収益向上につながるとは考えませんでしたか?」。

佐藤氏:たしかにその考え方もあるとは思うのですが、クオリフィケーションのハードルを下げるということは、フィールドセールスの人員を増やすということになりますよね。当社は今、チャーンレート(=解約率)の抑止とLTVの最大化によってストックビジネスが急成長していく局面を迎えているので、売れることも大事ですが、その後チャーンしないことのほうがもっと大事なんです。その辺りのバランスをどう捉えるかでしょうね。それと、フィールドセールスの人件費を増やすのと、当社のようにマーケティング費用を割いてCMを流してリード獲得するのと、どちらの効率がいいのか。マーケティング費用は変動費だからいくらでも調整できますが、人件費は固定費ですからね。私のリスクテイクとしては、変動費であるマーケティング費用を大きくして、多くのリードを集めてクオリフィケーションをきちんとしていくほうが、あとで取り返しがつくと考えています。

中島:本日は貴重なお話をありがとうございました。

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