コンサルタント

Adobe Marketo Engageの運用生産性を高めるCOE(Center of Excellence)構築のためにすべきこと

こんにちは。Adobe Marketo Engageコンサルタントの守屋です。

昨今、ITシステムの導入・運用において、COE(Center of Excellence)という言葉がよく使われるようになりました。COEは、ITシステム運用の成果を最大化するために、ベストプラクティスや専門性を持った人材を集約した部門横断的組織を設置し、システムを安全かつ効率的に活用していくことを目指す仕組みです。

本記事では、Adobe Marketo EngageのCOE構築を目指したコンサルティングサービスの内容を通して、MAを安全かつ効率的に運用するために、どのような観点が必要なのか?についてご説明します。

目次

COEコンサルティングサービスを始めた背景

日々お客様の導入コンサルティングをする中で、以下のようなご相談を頻繁に受けます。

  • メール配信対象者の条件設定を間違えて、誤配信をしてしまった。どのような再発防止策を行えば良いか?
  • MAの操作に詳しい担当者が退職することになった。システムの中のプログラムはその人しか理解できず、次の担当者への引き継ぎが難航している。
  • 日本で立ち上げたMA運用を、グローバルの拠点に順次展開したい。施策のフローやコンテンツのデザインを共通化して、データの取り扱いはEUのGDPR基準に合わせたい。

導入当初は、まずシステムの使い方を覚えること、最初の施策をローンチすることを優先しがちです。しかし運用後に上記のような課題に遭遇し、きちんとした運用ルールとガバナンス体制の構築が必要となるタイミングは、必ずやってきます。

誤配信が発生するプログラム(Adobe Marketo Engageで設定するキャンペーンの単位)では、元々のマーケティング施策フローが複雑で、またその実装方法に属人性が高いケースが多いです。お客様は、施策実行前のチェック体制を強化などの対策を挙げられますが、このようなプログラムはチェックでミスを発見しづらいため、併せてプログラムのシンプル化や標準化も重要となります。

また、標準化されたプログラムをベストプラクティスとしてラインナップし、運用ルールを策定しドキュメント化すれば、ミス低減だけでなく、社内展開や担当者間引き継ぎも容易になります。これらをパッケージ化したCOEコンサルティングサービスが「運用設計標準化サービス」です。

COE構築の進め方

以下は、実際の「運用設計標準化サービス」の進め方とメニューです。トピックに沿ってお客様とディスカッションします。

10回程度のセッションは、大きく以下2つの内容に分けられます。

  1. インスタンス設定と運用ルール(第1〜3、8回)
  2. 標準化プログラムの仕様策定(第4〜7回)

インスタンス設計と運用ルール

各トピックで、COEで必要な観点を網羅的にディスカッションしていきます。

• 運用体制と環境設計
Adobe Marketo Engageは個人情報を格納するシステムであり、またマーケティングコンテンツの配信にはお客様の許諾が必須です。適切なセキュリティ設定と法令遵守を徹底するために、COEを担うチームが中心となり、運用体制やアクセス制御などの初期設定要件を定義します。

例)ワークスペースとパーティションによるアクセス制御とドメイン構成

• データベース
コンテンツ配信の対象となる顧客のデータベースに一貫性がなければ、一見正しく設定したプログラムでも思わぬ誤動作に繋がります。複数の運用部門で共通に利用するデータベースの整合性を保つために、項目設計や操作権限、データ更新ルールなどを定義します。

• フォルダ構成と命名規則
プログラムが意図しない動作をしたとき、原因となる処理がどこに設置されているか探すところから苦労する、という光景をよく目にします。プログラムがどこに配置されていて、どの事業の何の役割を持つのか、いつ実施されたものか、これらが一目見て把握できる状態に整理されていることは、ミス防止や生産性向上のためにとても重要です。

例)全体フォルダ構成とプログラム内フォルダ構成、命名規則の例

• ガバナンス
策定したルールは、確実に守られているか、結果に問題がなかったかをレビューし改善していくPDCAとセットで運用する必要があります。またCOEチームが主催する運用部門間での成果共有や課題出しの会議体設置や、定期的なインスタンス内のレビューにより、構築したCOEの継続したレベルアップが実現できます。

プログラムの仕様策定とドキュメント化

Adobe Marketo Engageでマーケティング施策のプログラムを作る際、初めはコンテンツやフローをゼロから構築しますが、運用が軌道に乗れば、似たプログラムを複製してカスタマイズするだけの作業になってきます。

施策の種類に応じた会社共通のコンテンツテンプレートをラインナップし、施策によって異なる文言や画像等に出来る限り「トークン」と呼ばれる一括設定機能を利用することで、この複製作業を最大限に効率化することができます。

運用設計標準化サービスでは、この「プログラムテンプレート」の仕様をお客様とディスカッションして定義します。これにより、以下のようなメリットが得られます。

  • 効率性
    デザインテンプレート、プログラムやノウハウの整備による迅速な施策の開始。
  • 安全性
    プログラムの属人性を排除し、カスタマイズ可能な範囲を限定することで、ミスを低減する。
  • 共通ブランディング
    共通のコンテンツテンプレート利用により、ブランディング要素を統一化。
  • 横展開推進
    各事業での施策実施結果の共有による、ベストプラクティスのスケーラビリティ向上。
  • 法令遵守
    GDPR対応など、最低限守るべきルールの策定と、施策への適用の徹底。

プログラムテンプレートの仕様が決まったら、インスタンスに実装を行い、「プログラム設計書」とカスタマイズ手順を記載した「利用ガイド」を作成すると、他部門展開や担当者間引き継ぎがスムーズになります。

例)イベント用プログラムテンプレートと設計書、利用ガイド

プログラム実行前後のチェックシート

標準化したプログラムテンプレートを使用しても、カスタマイズ後の設定漏れやミスがないかのチェックは必須です。また、プログラム実行後にも、期待通りの動作をしたかのチェックを行えば、万が一ミスが起こった場合に早急に対処できます。プログラムの設計に応じた網羅性のあるチェックシートを作成するとともに、チェックシートの承認プロセスも併せて構築することを推奨します。

例)メールプログラム実行前後チェックシート

以上のようなドキュメントは、作成して終わりではなく、運用ルールやベストプラクティスはPDCAを回しながらブラッシュアップしていくものです。多数のお客様が、COEのアウトプットをスタート地点として定期的に見直しを行いながら、MAのプレイブックとしてご活用くださっています。

実際にCOEサービスをご活用いただいた企業事例は以下からご覧いただけます。

導入事例堀場エステック グループを通じて、お客様に対して違和感のないコミュニケーションを図っていきたい。

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