2017年3月8日に行われた「MARKETING NATION BtoB セールス&マーケティングカンファレンス 2017」から、日本でも本格稼働をスタートした「Marketo アカウントベースドマーケティング」(Marketo ABM)のサービス内容も含め、当社日本法人社長の福田康隆よりお話をさせていただきました。

「この半年ぐらいで、ABMというテーマでメディア取材など、外部でお話をする機会が増えました」と福田。ABMへの注目度の高まりを感じますが、その一方、ABMに関する間違った認識から、質問、疑問を提示されることも多いと危惧します。

ここで福田がスライドで挙げた「典型的な誤解」は5つあります。

・日本は欧米に比べて遅れている。

ABMに限らず、MA全般で受けやすい指摘であり、確かに遅れている部分もあるでしょう。ただし、「日本でも米国でも、『営業とマーケティングの断絶』『CMOがいない』など、抱えている課題にはさほど差がなく、基調講演で余田氏が指摘したように、世界的に見ても、取り組みの二極化が進みつつある。企業格差はますます広がっていく可能性があると見ています」と福田は指摘します。

・営業が行きたいところを攻める

MAでは、営業が足を運べないリードをマーケティングがカバーするという企業も多い。ならば、ABMでは「営業が行きたいところを攻めるのか?」。

「それは視点が少し違う」と福田。営業が行く、行かないという問題ではなく、「大前提として、会社のマーケティング予算、人員、代理店施策など、それぞれのリソースをどこのターゲットに投入していくかという意思決定が重要になります」(福田)

・アカウントベースと個人ベースは別物

答えはズバリ、企業(アカウント)、個人で区別するものではありません。「BtoB、BtoCではなく、BtoH(Human)という考え方で、企業の中に複数存在する部門、役職の人間の嗜好、行動を理解し、統合的にエンゲージメントを適正化していくべき」と福田。

つまり、アカウントは、企業軸、個人軸の両方で見ていくことが大事というわけです。

・マーケティングと営業でプロセスを分業する

大前提として、「何がファネルの入口になるかはわかりません」と福田。オンラインから入ってきた顧客が、そもそものきっかけは一年前に営業がかけた電話で、その後のさまざまな施策の結果、案件化することもあります。

よって、営業、マーケティング、インサイドなど、部署で役割、領域を決めるのではなく、ファネルの一連の流れを、すべての部門が共有できるプラットフォームを構築、運営、管理することがポイントとなります。

・ABMというカテゴリーのツールがある

これも誤解。従来のプラットフォームに、ABMという機能を追加してリリースはするものの、「別のプロダクトがあるわけではありません」と福田。

さらに加えて、「余田氏も基調講演で触れていたように、マーケティングはプロモーションという狭い範囲で語られるものでなく、より広い取り組みとして、多くのパートナー企業とタッグを組み、ABMの可能性を広げていきたい」と提言します。

BtoB、BtoCというカテゴリーで区別せず、事業特性に合わせた施策を提供

その観点から、「そもそもBtoB、BtoCという区別自体が顧客視点ではない」と福田。一般的にBtoBビジネスで知られる企業でも、ビジネスの内容が異なれば、マーケティング施策のあり方もさまざまです。

「よって、Marketoとしても、BtoB、BtoCといった単純なカテゴリーで区別し、情報の発信、サービスを提供するのではなく、顧客側の視点に立ち、どのようなマーケティングが最適なのかにフォーカスし、細やかに対応していくべきと考えています」(福田)

つまり、企業ごとの「事業特性をしっかりと押さえていくことが大事」と指摘。スライドで「着目すべき事業特性」として、7つのポイントを提示します。

例えば、自社の認知度が低ければ、広告予算により多くの投資をするべきであり、著名な大企業であっても新製品に関しては認知度を高める優先順位が高まります。

また、「パレートの法則」(2:8の法則。ある少数・2割が、大多数・8割を占めるといった状態を指し、2割の要素を重視)、あるいは逆のロングテールで広くカバーしていくのか。これも顧客が大企業なのか、中小企業が多いのか。顧客の規模によっても変わってくるでしょう。

あるいは、市場が新しいのか、成熟市場なのかでアプローチは変わり、単一製品で収益を狙うのか、既存顧客に対して、アップセル/クロスセルをかけていくなども、ターゲットによってもさまざまな手法が考えられます。

さらに福田は「販売チャネルも重要な要素」と指摘。

たとえば、「実際の売上の8割は代理店経由というならば、マーケティング施策に投資をするより、代理店の販売力を活性化させるような施策のほうが重要なのでは、と提案することもあります」と言います。

ここに挙げた7つのポイントに限らず、「個々の企業がやりたい、やるべきマーケティングを志向していく。そのサポートをしていく」。これがMarketoの目指すABMの本質というわけです。

ABMの成功のためには、組織横断的な視点、パートナーとの協業が必須

そして、ABMを日本で強化、広めていくうえで、やはり基本となるのは「ターゲットの選定」と指摘。

ここでも、マーケティング、営業だけでなく、ファイナンス、カスタマーサポートなど、組織横断的な視点で、過去の取引データ、CRM、企業の基幹システムのデータ、さらに市場分析データも突合せ、企業の特性を分析。会社全体で共有するKPI、製品の適合性などにより決定していくことが大事です。さらには、類似企業データで理想的な顧客プロファイルに近い企業を選択。レコメンデーション機能を活用するなど、あらゆるツールを駆使していくこともポイントとなります。

すでに米国本社では、外部のパートナー企業とも連携し、適切なデータ分析を実施。商談化の数が1.5倍、セールスタイムが3分の2に短縮するなど、高い成果を挙げています。

ただし、日本では米国に比べ、企業内のデータの整備が遅れている、市場データや類似企業の評点サービスなどが整っていないなどのボトルネックが存在していました。また、マーケティング予算の問題、組織間のコミュニケーション整備といった、日本企業ならではの課題も考慮する必要があったといいます。

さまざまな課題を解消し、日本企業のマーケティングの成果を最大化すべく、パートナー企業との連携強化を推進。データ連携、組織改定、導入プロセスなど、幅広くカバーできる体制をつくるべく、まずは11社と協業し、米国から約5ヵ月遅れでMarketo アカウントベースドマーケティング(Marketo ABM)のリリースを迎えることとなりました。

「ABMとは、私ども1社で実現できるものでもなく、そういうタイプのビジネスでもありません」と福田。

一つのプラットフォーム上で、さまざまな顧客データ、SFA、CRMといった自社データ、外部の市場データを組み合わせ、初めて大きな意味での理想的なABMが実現する。

「当社がお客様、パートナー様と構築するエコシステム『MARKETING NATION』を通じ、サポート体制の強化、ABMの活性化、引いてはお客様とパートナー様双方の成功を支援してまいります」と決意を表明しました。

その後、具体的なサービス、機能についてのABMデモンストレーションを弊社シニアプロダクトマネージャーの新田 達也から解説。多くの方に「Marketo ABM」への関心を持っていただけたセッションとなりました。

アカウントベースドマーケティングに関する講演の模様は動画でも公開しておりますので、ぜひご覧ください。

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