前回までの記事では、
についてご紹介しました。
私も含め、多くの企業マーケター、営業は
- 「いま、クライアントは何を目指しているのか」
- 「どんな課題があるのか」
- 「どういった提案を求めているのか」
といったことを考えながら、日々1件1件のリード、顧客と真摯に向き合っています。
これはマーケターや営業が成果を上げる、そしてカウンターパートであるお客様に満足してもらうためにも重要なことです。
しかし、我々マーケターにはお客様とは別のカウンターパート、経営層の存在も忘れてはいけません。
- 「今期・来期の売上見込みは?」
- 「目標へのギャップを埋めるために必要なことは何か?」
- 「追加予算が使えるなら何に投資すべきか?」
といったような問いを経営層は常に持っており、経営判断に資する情報や提案を求めています。
こうした要望に対応することは容易ではありませんし、大きなプレッシャーもかかることでしょう。
しかし同時に、いかに適切に答え、必要な投資を促せるのかが、経営におけるマーケティングの貢献度を証明する、腕の見せ所であるとも言えます。
では、マーケティング部門は経営層のこうした疑問に対してどうすれば良い回答、提案ができるのでしょうか?
購買、成約までのステージを定め、ボトルネックを特定する
今期、来期の売上見込みはSFAでしっかりと営業管理をしていれば、ある程度推測することが出来ます。しかしこれは「現在見えている案件」でしかなく、その先までも見通せるわけではありません。
このような状態で陥りやすいのが、 「去年は売上10億円で10%成長だったから、来年もきっと10%増位で11億円だろう」 といった、どんぶり勘定の根拠のない予測を立ててしまうことです。これでは経営層も納得できないでしょう。
今のマーケティング、営業状況を知り、課題、アクションを見出していく上でまず役に立つのが顧客になるまでのステージを定義することです。
相手が自社を知って興味を持ち、ウェブサイトや展示会で情報収集し、リードになって商談化、顧客化するまでのプロセス、そしてそれぞれのステージを通過する条件を定義します。その条件をもとに何人がそれぞれのステージを通過、停滞、離脱したのか(例えば対象のステージに到達してから90日間までを「停滞」とし、それ以降を「離脱」とするなどここにも定義が必要です)を判断、計測できるようにします。

これが、まず今期の売上を分析するための大事な情報となります。どのステージで多くのリードが停滞したり離脱しているのかを把握することで、そのステージに焦点を当てたより深い分析、考察を導き出すことが出来ます。
例えば1年間のビジネス活動を分析したところインサイドセールスや営業がリードにアプローチする前のステージで40%が停滞、25%が離脱しており、他のステージよりも高い数値だったとします。この場合、このステージに自社のビジネス活動の「ボトルネック」があり、この解決が大きなビジネスインパクトを持っていると判断できます。

もちろんこの後の分析、現実的なアクションプランが重要になりますが、この数字を10%改善し、質の良いリードを今の10%増で営業に引き渡すことができたとしたら、どの位の売上効果があると見込めるのか?こうした試算もより根拠と明確なアクションプランを持って経営層にプレゼンテーションできることでしょう。
ボトルネックの解消とROIの高い施策への投資で経営の効率化に貢献
ボトルネックの特定、対策とは対象に、「投資対効果が高い施策、キャンペーンへの再投資」も重要です。
リードの獲得に際する
- チャネル(Websiteや広告、展示会等)
- 施策(特定のターゲット、課題に対するコンテンツ、オファー等)
の貢献を図ること。また、案件化、成約に至る過程で、
- どういった施策に触れているのか
というマルチタッチでの効果を分析することも、顧客獲得における各施策の貢献度を見極めるのに役立ちます。ここにそれぞれの施策に投資したマーケティング費用を掛け合わせることで、施策ごとのリード獲得、案件化単価、売上貢献度などのマーケティング投資対効果(ROMI)を細かく可視化でき、何に対して投資すべき/投資すべきではないのかを判断しやすくなるでしょう。

全てのツールで実現できることではありませんが、こうしたより高度な分析を可能にするのが、マルケトをはじめとするマーケティングオートメーションを活用する大きなメリットでもあります。
マルケトが考えるマーケティングの分析指標、ROIのあり方について詳しくまとめた資料もありますので、ぜひダウンロードしてご一読ください。
マーケティングの成功方程式を描き、実践する
これまでに述べてきたことを再度まとめます。
- 新規リードに依存する状態から脱却する。過去に「今ではなかった」未案件リードの中に、宝の山がある
- ナーチャリングを通して埋もれた潜在顧客リードの興味・関心を高め、営業がコンタクトする優先順位をスコアリングで分かりやすく可視化する
- 実績をステージ別、施策別に分解することでボトルネックや投資対効果の高い施策を特定する。改善提案とその予測効果に基づく売上見込みを示すことで「経営に貢献するマーケティング」を実現する
これらを実現していく上で重要なのは完璧を求めず、絶えず検証し続けることです。 最初から十分なデータが整っている企業などはほとんどいないでしょう。まずは今あるデータで出来ることに集中し、確実にアクションの実行、そして検証を実施しましょう。その結果を受け、徐々に必要なデータを集めながら精度を高めていく運用を確立、定着することが、ビジネスを成功に導く土台となるでしょう。
その土台づくりと実行を支えるのが、マーケティングオートメーションの役割でもあります。