デジタルの力を活用し、従来型の営業スタイルをいかに進化させ、"量と質"の向上を実現していくか。テクノロジーの進歩、消費者の購買行動の変化に伴い、企業はさまざまな変革を迫られる時代が到来しています。

当社では、こうした時代の要請を受け、使っているメーラーやCRM、Marketo Engage、Salesforceといったテクノロジーを統合する新たなソリューション「Marketo Sales Connect」をリリース。メーラー上から顧客行動の変化を見ながら、アプローチのオートメーションとパーソナライズの両立、さまざまなベストプラクティスの共有が可能となっています。

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現在、20社以上のパイロットカスタマーとともにユースケースづくりに取り組み、一人ひとりの生産性向上、行動データの蓄積と分析、ベストプラクティスの共有などの実現により、1人年間1.5カ月分(約245時間)の業務改善が達成できるという定量的成果も出ています。

Adobe Symposium 2019」より当セッションでは、Marketo Sales Connectのパイロットユーザーであり、多様なテクノロジーを連携し急成長を遂げている3社が登壇。営業組織とテクノロジー活用のあり方について語っていただきました。

<パネラー紹介>
ベルフェイス株式会社
取締役 インサイドセールス支援事業部長 西山 直樹氏

2007年新卒にてセレブリックスに入社。大手IT企業のインサイドセールス部隊構築支援を中心に、延べ80プロジェクトの新規セールス部隊立ち上げをけん引。200名を超える営業マンの採用やマネジメントに従事。15年同社を退職し、ベルフェイス立ち上げに参画。現在は収益責任を持つマーケティング、セールス、CSなどのレベニュー部門を統括。

株式会社ユーザベース
SPEEDA Japan SDT General Manager 山本 傑氏

10年間に及ぶコンサルティングファームでの経験を経て、2017年1月、ユーザベースに入社。前職では大中小、様々な規模の広告会社の顧問を務め、戦略立案から実行支援まで幅広い業務に従事。 ユーザベース入社後、同年5月より、西日本支店支店長着任。18年10月より、活動拠点を東京に戻し、SPEEDA Japan Sales Teamのゼネラルマネージャーに着任。

ウォンテッドリー株式会社
執行役員 川口 かおり氏

2007年リクルートエージェント(現リクルートキャリア)に入社。コンシューマ領域の法人事業、新規事業立ち上げ、事業開発部門のマネージャーを経験。15年にはシンガポールのHRテック企業でのマネジメントに従事。17年10月より"採用は「共感」で進化する"を標榜する国内最大のビジネスSNS「Wantedly」を提供する同社執行役員に就任。

<モデレーター紹介>
アドビ システムズ 株式会社
カスタマーエンゲージメント本部 プロダクトマーケティングマネージャー 石野 真吾

ボトムアップ型でツール導入・ROI測定を実践

石野:本日は大きく3つのアジェンダに沿って、お話をおうかがいしていきます。みなさん、実に多種多様なテクノロジーを積極的に活用していらっしゃいますが、セールステック選定と評価の基準についてはどのようにお考えでしょうか。

アドビ システムズ 株式会社
カスタマーエンゲージメント本部 プロダクトマーケティングマネージャー 石野 真吾

山本:いいサービスなら積極的に導入するというのが基本姿勢です。ユーザベースグループとしても「スタートアップ ファーストクライアント宣言」といって、創業1年以内の企業が提供する新サービスの「最初の顧客」になるという宣言を出していますし、ご提案があれば各領域の意思決定者が直接お受けしています。

株式会社ユーザベース
SPEEDA Japan SDT General Manager 山本 傑氏

西山:いい会社ですね、みなさん、どんどん営業しましょう(笑)。当社もいいなと思ったら入れるというスタンスです。基本は現場から作業効率アップのためにツールを入れたいという声が挙がれば検討するボトムアップ型で導入を決めています。

ベルフェイス株式会社
取締役 インサイドセールス支援事業部長 西山 直樹氏

川口:当社も同じです。特にこの2年間で営業の人数が3倍ぐらいに増えまして、先に完璧な仕組みをつくったというより、問題や課題が起きるたびに、その解決のために現場からの提案で導入するというやり方です。

ウォンテッドリー株式会社
執行役員 川口 かおり氏

石野:ツール導入で、参考にしているベンチマークなどはありますか。

山本:特定の企業ではありませんが、今回のようなシンポジウムには社員全員で積極的に参加していますね。ITツールへの感度を高めて、組織を俯瞰してツール導入が有効かどうかといった判断力を養う場としても有効だと考えています。

石野:ROIの検証、試算はどうされていますか。

川口:社員数を含め組織が急速に変わり続けているので、何年後、何カ月後を見据えたROIの試算、比較は難しいというのが正直なところですね。

「現在の課題がツール導入によって、どう解消されたら"良い"とするか」のラインは決めていますが、定量的な側面に加えてメンバーの定性的な声も聞きながら総合的に判断しています。

山本:部署ごとの予算内に収まる費用感ならば、スピード感を持ってGOしています。特に説明責任は求めていませんが、「入れたい」と声を挙げたメンバーには試験導入から本格導入の判断も含めて任せるという、一定の"責任"の所在は明確にしていますね。

西山:ツールによってROIの振り返り方を変える必要があると考えています。

例えばSalesforce導入が、売り上げにどう直結しているか、コスト削減したかという測定は難しい。そういう場合は利用率、使い方で見ます。単純に商談内容を残すだけでなく、分析やスラックと連携しての情報共有など、Salesforceならではの仕組み化ができているならばOKといった具合です。

一方で、クラウド契約の CloudSignなどは、契約数とペーパーを使った場合の印刷代や手間などを換算すれば定量的な測定も簡単にできますよね。

営業の「質の担保を前提とした行動量の最大化」をいかに実現するか

石野:現場のスピード感を落とさないよう可能な範囲で測定し、判断していらっしゃるということですね。次に営業の量と質を高め、適正なバランスをとるためのテクノロジー活用についてお聞かせください。

山本:このトピックに関しては、エントリーマネジメントの考え方が重要だと捉えています。

当社の場合、採用判断強度の強さに加え、経験者が中途採用で即戦力入社しても、平均2カ月は研修を受けてもらい、事前に決めた合格条件を満たさなければ、現場に出れない仕組みにしています。

エントリーの部分で徹底して"質"にこだわって工数を割いているので、その後は行動量を上げていくことに専念するという仕組みですね。

川口:採用ビジネスを展開していく上で、業種業界を超えて全国のより多くの潜在顧客にリーチするためには「質の担保を前提とした行動量の最大化」という考え方を大事にしています。例えば、新規商談数は月80を超すと、質が落ちやすい。

80件を上限に、Marketo Sales Connectなどのツールをうまく使って、いかに質を高めつつ時間を短縮するか。さらに追求していきたいと考えています。

西山:量に振り切るときは振り切り、質にこだわるときは質にフォーカスする。ビジネスにおいては、どちらかに力を入れるべき時があると考えているので、どちらのフェーズにも対応できるチームを目指しています。

当社も創業時は可能な限りアポを入れて、200もの商談を2人のインサイドセールスで回していました。量をこなすことで狙うべきターゲットなどが見えてくるんですね。

けれど、今は質追求に切り替え、Marketo Sales Connectなどでムダな電話、メールを減らし生産性がぐっと上がりました。

来月からは新卒の社員が配属されてきますので、人員リソースが増えたところで一気に量を担保し、売り上げを最大化していくフェーズに切り替える予定です。

山本:例えばbellFaceを使えば、1日3商談が限界だったのを8商談ぐらいまでいけるかもしれませんが、限度を超えるとやっぱりのどが枯れてしまいますしね(笑)。

川口:bellFaceでいえば録音機能を使ってSalesforceと連携すれば、動画のURLが自動で残るので、ワンクリックでメンバーの商談もチェックできる。セールステックは現場だけでなく、マネジメントの生産性アップにも使えると思います。

同じ機能性のプロダクトでも"倍の価格"で売れる営業のあり方

石野:では、最後にセールステックによって急成長を遂げてきた企業だからこそ考える営業のあるべき姿についてもお聞かせください。

山本:人口減少時代にあって、今後、企業が成長する上で最大のボトルネックは採用の遅れだと思います。それでも質を落とさず、急成長を維持するためには人員を厳選し、一人当たりの生産性をしっかり上げていくことが肝要。そこで、どのようにテクノロジーを掛け合わせるかの重要性が増していくと考えています。

加えて、優秀な人材は付加価値の低い業務をする事を嫌う傾向があるので、こういった人が才能を発揮できる環境を整えるという点でもテクノロジー化はポイントですね。

川口:テクノロジーの進化に合わせて、使う人間がいかに変わり続けられるかも大事ですね。そして技術が進歩しても、人間が介在する余地というのは必ず残っていく。テクノロジーで生産性を上げた分、対人スキルをどう磨き続けられるかが、今後の営業チームの課題だと考えています。

西山:テクノロジー企業における、あるべき営業の姿という観点でお話をすると、どんなに技術力のある会社の製品でも、似たようなツールは出てくるもの。その際に同じような機能性のプロダクトでも、価格が倍で売れる営業のあり方、価値の提案を考える必要があります。

機能は同じでも、とことん顧客に寄り添い、根底にある課題の解決策を一緒に考え、提案してくれるような営業マンならば、価格が高くてもその人から買いたいと思うはずです。

加えて、ただ売るだけでなく、こういう機能があればもっと売れるといった社内への提案力も備えられればベストですね。

石野:お話を聞いて、優秀な人材に限りがあるなか、テクノロジーの力でいかに再現性、拡張性を担保していくかがキモになると再認識しました。本日は、貴重なご意見をありがとうございました。

急成長を遂げる企業は、テクノロジーの積極的活用の根底に、全力でプロダクト、そしてお客様に向き合うことを大事にしている姿勢が浮かび上がってきました。そのためには成功・失敗をチーム全体に共有できるマインド、風土を醸成していく重要性にも気付かされるセッションとなりました。