今回は、マルケト本社ブログの中から、コンテンツマーケティングのエキスパートである著者Shaleen Shahの「6 B2B Content Strategy Pitfalls to Avoid(B2Bコンテンツ戦略で回避すべき6つの落とし穴)」を取り上げます(原文はこちら)。

米国における調査によると、「明文化されたコンテンツマーケティング戦略がない」と回答している企業がなんと6割にものぼりました。そして、企業の半数が「購買検討プロセスに沿ったコンテンツ展開ができていない」と回答しています。

日本においても「コンテンツマーケティング」というワードが話題に上るようになって数年が経ちますが、その際に、コンテンツマーケティングが「戦略上、どのような位置づけになるか」や、「売上」「利益」といった観点から考えられたかが肝となります。

今後は、営業、マーケティングを通じての全体の戦略に沿ったコンテンツ戦略を策定しコンテンツ展開できているかが、更に重要になってくるでしょう。

2019年、筆者であるShah氏も、コンテンツマーケティングの重要性が増すと考えています。この分野の専門家である筆者が目の当たりにしてきた、B2B企業が陥りやすい落とし穴と、その回避方法を見ていきたいと思います。

日本のコンテンツマーケティングにおいても有効と思われる4つの指摘事項を取り上げていきますので、ぜひ参考にしてください。

それでは順番に見ていきましょう。

落とし穴#1:
顧客の行動、購買シーンとコンテンツの関連性が考えられていない

商材にもよりますが、B2Bの商談期間は比較的長く、顧客の購買検討プロセスもまた然り。その事実を踏まえれば、コンテンツが直接販売チャネルとして稼働し収益を即座に生み出す、とは考えづらいのですが、現実問題、誤解をしている企業も多いと筆者は述べています。

"コンテンツにより商談化するまでには時間がかかります。コンテンツを直接的な販売チャネルとみなす組織のトップもいますが、このスタンスは忍耐に欠くものと言っても過言ではありません。

そこで、各コンテンツがどれだけの収益に貢献し、そしてどれだけの利益に貢献したのかという、アトリビューションの考え方が必要になります。商談はコンテンツにおける1つのゴールですが、コンテンツ役割をもう少し柔軟に考えてみてはどうでしょうか。コンテンツをゴールまでのピースの1つとして見立てるのです。例えば、見込み客から信頼を得て関係を育むコンテンツ、提供する情報が有用と知ってもらうためのコンテンツというように。"

"あなたが上司に「今四半期のコンテンツマーケティングに500万円を投資します。その評価は"収益"ではなく"顧客との関係づくり(エンゲージメント)"です」と伝えることはできますか?却下されそうに思われるかもしれませんが、これはコンテンツマーケティングの本質です。私の経験上、コンテンツの関与こそが、収益にとって重要なのです。"

解決策:

"コンテンツの効果を測るには、顧客との関係性や顧客に与えた体験の内容を重視すべきです。どのコンテンツが商談を創出するのか、必要性が低いのか数値化する必要があります。その結果をもとに最適化したコンテンツならば、顧客のニーズに応え、その分野でも信頼できる情報源となりうるでしょう。"

結論:

"コンテンツエンゲージメント、そして良質な情報を提供することを念頭にコンテンツを書きましょう。取引前であれ後であれ、顧客と見込客が最初に思い出す情報源となりましょう。"

個客の購買検討プロセス内の位置や、商材・ソリューションのプロダクト・ライフサイクルの位置によって、必要となるコンテンツは変わります。

例えば、コンテンツによっては、今すぐ客を察知するためのキャンペーンコンテンツや、製品詳細カタログのようなものもあるかもしれません。この場合、コンテンツが直接販売チャネルになる可能性は十分あります。しかし、このようなタイプのコンテンツに対して反応が無い、または、反応が薄いリードに対しては、もっと課題を喚起するようなコンテンツを配信し、醸成していく必要性があるでしょう。こういった課題喚起や関心醸成のためのコンテンツは、顧客購買検討プロセスの初期〜中期段階に消費されるべきものであるため、筆者が言う通り、今すぐの引き合いになることは考えにくいものです。

また、ターゲットとする顧客層によっては、初期段階で営業のリソースを割くことが最適でないケースもあります。例えば、メジャーアカウント以外のリードであれば、普段営業が大口顧客にコミュニケーションしているような内容をコンテンツ化し、それらを例えばマルケトのエンゲージメントプログラムに組み込んで発信していくという考え方もあります。こういった観点からも、優れたコンテンツ戦略は営業戦略とも直結しているべきなのです。

落とし穴#2:
明文化されたコンテンツ戦略が存在しない

コンテンツ制作や配信をまずは実施してみる姿勢も重要ではあります。しかし、目的や方針が書かれた文書がなければ、あとで振り返りや最適化をすることは困難です。

MarketingProfs 社より引用

米国MarketingProfs社実施の調査によると、明文化されたコンテンツ戦略があると回答した企業は全体のたった33.3%でした。36%が戦略はあるけれども明文化されていないと回答し、残りの30.6%は戦略自体存在しないと回答しています。

国内においても、コンテンツ戦略を立ててそれに従ってPDCAを実施している企業はまだまだ少ないのが実情です。

売らなければならない商材やテーマが、営業サイドからお題として上がってきたタイミングで、関連記事やキャンペーンサイトを制作し、営業から渡されたリストに対してメール案内をする、などという突発的な活動をしているケースも多く見受けられます。

最低限必要なのは、自社のマーケティング目標と、その達成のために必要な活動、そして成否を判断するための測定方法を明記したコンテンツ戦略書を持つことです。

しかしそれだけでは、ただの戦略の文書化に過ぎないため、もう一歩先に進むべきであると筆者は主張しています。

" 「優れた」コンテンツ戦略は、業界トップになることを妨げている障害、ビジネスの課題、および、それらの課題を克服するためにいかにコンテンツを使用するかが明確になっている文書を指します。[...]つまり、優れたコンテンツ戦略を明文化するためには、CEOの関与が必須であるということです。コンテンツマーケティングに注ぐ努力が水の泡とならぬよう、[...]CEOやその他エグゼクティブチームに、自社のコンテンツに何が必要か、方針を示してもらうべきです。"

結論:

組織と同様、環境に適応して進化し続けるコンテンツ戦略を策定しましょう。

落とし穴#3:
ペルソナが存在しない

CustomLogoCasesより引用

戦略が文書化されていない場合、「ペルソナ」も定義されていないケースが多いのではないでしょうか。

ペルソナは単なる職種や業種でセグメンテーションされた顧客像ではなく、顧客の抱える課題や望んでいる成果、思考プロセス、使用する言葉、検討プロセス、受ける影響や与える影響などの全体を指しています。これらが購買検討プロセスなどのワークショプを通じて描かれ、整理されていなければ、担当者が各々のペルソナを頭に描いてコンテンツを制作してしまうことも大いにあり得ます。相手がどのような人物かを知ることなしに、コンテンツで繋がろうとするのは無理があります。

"ペルソナ設定は先述のコンテンツ戦略の一部でもあります。最も成功しているB2Bコンテンツマーケターの77%がペルソナ設定をしてからコンテンツを作成しています。ターゲットオーディエンスのニーズ(Needs)やウォンツ(Wants)を、より深く理解するために、顧客と直接コミュニケーションを取っています。"

解決策:

"コンテンツ戦略を策定する際、ペルソナも同時に設定しましょう。顧客やリードがどのように自社にたどり着いたかを直接知る機会を持つ営業やカスタマーサポートチームに手伝ってもらうのも良いかもしれません。"

結論:

"ペルソナを設定する際、マーケティング目標とコンテンツとの連動性があるかを確かめて評価しましょう。組織が進化するのと同様に、ペルソナも進化することを覚えておきましょう。"

落とし穴#4:
動画など新たなチャネルの有効性を無視する(目的に合ったコミュニケーションができていない)

【キュレーション骨子】
コンテンツと聞くと、テキストコンテンツを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、それだけではありません。画像、イラスト、動画、音声、インフォグラフィックなども立派なコンテンツです。ここで最も重要なことは、目的に合ったコミュニケーションの手法を選ぶことです。

周囲の企業がやっているから、だとか、トレンドだから、と動画制作をしたり、ソーシャルメディアに投稿したりするのでなく、先述の目的の明確化や、ペルソナの設定がされれば、それに適した手法やチャネルは選定しやすくなるはずです。

伝えるべき内容を、どのように伝えるのがより効果的でしょうか?
ターゲットとするユーザーが最も望んでいる情報の取得方法は何でしょうか。

筆者は、例えばもしそれが動画であると判断するならば、積極的に活用すべきであると唱えます。

"顧客を即時に満足させられるマーケティングが求められています。言い換えれば、顧客が問題を抱えている場合は、即時に解決策が必要ということです。[...]テキストのコンテンツとは異なり、動画は直接答えを提示します。しかし、これはB2Bの世界では難しいかもしれません。製品を簡単に記録し、顧客に提示することが実現しづらいかもしれません。

その場合は、システムや解決策の全貌を動画で提示するのではなく、製品やサービスによって、何ができるようになるのかを見せる必要があります。 実際に、動画マーケティングを実施する場合、動画を使用しない場合より、年間で66%多くの優良リードを獲得しているという事実があります。動画は、商品・サービスを理解してもらうための良い媒体であることは間違いありません。"

B2Bの企業がコンテンツ戦略で嵌まりがちな落とし穴を4つご紹介しましたが、いかがでしたか?

まだまだ多くの企業が試行錯誤をしている段階ですが、コンテンツマーケティングを実施する目的、解消すべきビジネスの障壁などを明文化し、成果を評価できる指標を定めることの必要性をご理解いただけたでしょうか。

今回は「B2Bコンテンツ戦略:回避すべき4つの落とし穴」をご紹介いたしました。